「赤ワイン」は、黒色系のブドウ品種から造られる酒です。
黒色系のブドウ品種を潰して発酵し、圧搾機で果皮や果肉、種子を取り除いた後、樽やタンクで熟成して造られます。
果皮のタンニンから渋みが出るので赤い色となり、「若い」といわれるワインは紫がかった赤、「熟した」といわれるワインは赤レンガの色に似た色となり、かなり熟成が進むと茶色になります。
独特の酸味とコクを楽しめる酒です。
メソポタミア文明の礎を築いたシュメール人がワインの製法を開発した(ビールの製法も)と言われています。
「ノアの箱舟」で大洪水を乗り越えた「ノア」は農夫となり、畑でブドウを作りました。
ブドウから造ったブドウ酒(赤ワイン)を飲み、天幕の中で裸になって泥酔してしまいます。
末息子はそれを知り、天幕の外にいた二人の兄弟に嘲りながら告げ口します。
二人の兄弟は顔を背け、父親の裸を見ることなく(裸を見られるのは大変な恥とされていた)着物で覆ったのに対し、唯一、裸を見た末息子の行いにノアは憤り、彼の息子に呪いをかけるのです。
その色が物語る通り、キリスト教で赤ワインはキリストの血に喩えられます。
聖餐式でいただくパンはキリストの身体、ブドウ酒(赤ワイン)はキリストの血です。
身体であるパン、血であるブドウ酒(赤ワイン)を摂り込むことで、神との一体化を感じる厳かな儀式です。
肉料理には赤ワイン。
魚料理には白ワイン。
というのが定説ですが、白ワインは魚介類の臭みを取ることに使われることが多く、もし白ワインを切らしていたら、日本酒もしくは料理酒でその用途を補うことができます。
赤ワインを肉料理に使うと肉が柔らかくなり、コクと風味が増します。
もし赤ワインを切らしていても、その用途は日本酒では補えません。
肉の旨味が抜け落ちてしまうからです。
ビーフシチューを作るのに赤ワインは欠かせませんよね。
「赤ワイン」、「白ワイン」に関わらず、高級レストランなどでワインボトルを注文した時には「テイスティング」を求められます。
決して、お好みの味を聞くための試飲ではありません。
ワインに劣化や腐敗がないかを確認するための試飲です。
注いでもらったワインを、テーブルクロスなどの白い物を背景にしてグラスを少し傾け、濁りや異物がないかを確認します。
色を見た後は、香りを嗅ぎ、不快な臭いがしないか確かめます。
一口含んで舌の上で軽く転がし、問題ないならソムリエにその旨を伝えます。
これでテイスティング終了です。
食材データ
種類:飲料
旬の季節:年中
主な効能
造血作用
体を温める
動脈硬化の予防
栄養成分
ワインには、色素成分である「アントシアニン」や、苦みや渋み成分である「タンニン」、「カテキン」等のポリフェノールが豊富に含まれています。
苦味や渋みは酸味と共にワイン貯蔵中に醸し出され、それが赤ワイン独特のコクや旨味となります。
ポリフェノールは強力な抗酸化作用を持っています。
赤ワインに含まれるポリフェノールは、白ワインの約10倍と言われています。
善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やし、動脈硬化や血栓(心筋梗塞や脳梗塞)を予防します。
赤ワインには体を温める作用もあり、冷え性の改善に働きかけます。
また、「鉄」、「クロム」等のミネラル成分も含まれており、「鉄」は貧血予防や疲労回復、風邪の早期回復、「クロム」は糖尿病や動脈硬化の予防に効果があります。
ドイツのワイン・アカデミー科学委員会のニコライ・ボルム博士は、デンマークで13,000人の男女を対象にした12年間の調査結果を以下のように発表しました。
「アルコールを全く飲まない人と比較したところ、毎日ワインを3~5杯飲む人は、心臓病や脳梗塞等の循環器系疾患における死亡率が56%低い」
また、アメリカ・イリノイ大学のJ・ペズート博士らは、米科学誌「サイエンス」に以下のように発表しました。
「ワインやブドウに含まれるレスベラトロール(ポリフェノールの一種)が発ガン抑制に働き、その転移も防ぐ」
「レスベラトロール」は認知症の予防にも役立つとされ、仏ボルドー大学の研究チームが65歳以上の約3800人を対象にした調査を3年に亘り調査し、以下のように発表しました。
「ワインを毎日3~4杯飲んでいる人は、飲んでいない人と比較して認知症発症リスクが約1/5、アルツハイマー型認知症リスクは1/4、死亡率も約30%低い」
因みに、「レスベラトロール」含有量が一番多いのは、「ピノ・ノワール」という赤ワイン用ブドウ品種です。
特徴
健康に良い赤ワイン、という情報ばかりが先に立ち、寝酒に一杯、また一杯と飲んで、そのまま眠りこけてしまうのだけは避けたいところ。
なぜなら、赤ワインに含まれるポリフェノールが時間を経て歯の表面に蓄積され、着色汚れ(ステイン)の原因になるからです。
また、口をすすぎ、歯磨きで磨くのは必須事項ですが、赤ワインを飲んだ直後に磨くのは厳禁です。
ワイン飲用後の口内は酸性に傾き、歯のエナメル質が脆くなっている状態です。
そのままガシガシと歯を磨くと、酸蝕歯になってしまいます。
赤ワインは、肉料理や、肉を使用したつまみと相性が抜群です。
赤ワインの風味が重く感じるのであれば、ソーダやビールと割ってカクテルにする手もあります。
保存温度は、熟成タイプの赤ワインなら18℃前後。
軽いフルーティなタイプの赤ワインなら、15℃前後。
ボジョレー・ヌーボーなら12℃くらいが目安です。
ワインの変質(味の劣化等)を避けるため、直射日光を避け、温度差のない比較的涼しい暗い場所で保管しましょう。
保存場所の理想湿度は65~80%です。
振動の少ない静かな場所で、薬品や塗料などの臭いを吸収しないように保管しましょう。
ワインは必ず横に寝かせて保管しましょう。
種類
フランス、イタリア、スペイン、チリ、日本(山梨や長野)などで生産されています。
「ボルドー」、「ピエモンテ」、「アトス・トスカーナ」など様々な種類があります。
レシピ
赤ワインでつくるカクテル
ワインとフルーツジュースは大変相性が良い。
一口大に切ったオレンジ、イチゴ、キウイなどのお好みのフルーツをシロップと共にソーダに入れ、赤ワインを加えると美味しいフルーツパンチが作れる。
おもてなしなどにちょっと洒落たカクテルとして。
ビーフシチュー
牛肉、ニンジン、じゃがいも、セロリ等の具材を、長時間、手間暇かけて煮込めば、スプーンで押すだけでほろほろと崩れるほど、肉が柔らかく美味しく仕上がる。
皿に残った汁にパンを浸けて食べれば、食べ残しもなく綺麗。
赤ワイン 抗酸化作用を持つポリフェノールが白ワインの約10倍 まとめ
赤ワインに含まれるポリフェノールは、白ワインの約10倍で、強力な抗酸化作用を持っています。
善玉コレステロールを増やし、動脈硬化や血栓予防(心筋梗塞や脳梗塞)に働きかけます。
「赤ワインを毎日3~4杯飲むと、ガン予防や認知症予防になる
という研究結果も発表されています。