笑いには幸せを呼ぶ効果があると聞いたことはありませんか?
ロビン・ウィリアムス主演の映画に、『パッチ・アダムス』というものがあります。
ユーモアによる治療が重要とクリニクラウン(臨床道化師)を行う映画ですね。
実話に基づいて作成された映画のヒットをきっかけに笑いと健康、笑いと幸せという概念が一般的になったと考えられています。
ここでは、笑いと幸せの関係について見てみましょう。
笑いはどこまで効果を及ぼすのか
「笑う門には福来る」ということわざがありますが、笑いがもたらす「福」は実にさまざまです。
心の底から楽しいと思えるだけでなく、笑いが健康の鍵となることは医学的にも証明されています。
笑いが及ぼす「福」としての効果を一つひとつ確認してみましょう。
身体を鍛えることに効果あり
笑うということは、一見なんでもない動作のように見えますが、意外と大きな筋肉の働きを必要とします。
そう言われてみれば、大笑いしすぎて「腹が痛い!」という状況に陥ることもありますね。
「腹が痛い!」と感じるとおり、笑うときはお腹、腰、背中の筋肉をフルに使うことになります。
さらに、揺れた横隔膜などが内蔵のマッサージまでしてくれるうえ、複式呼吸も余儀なくされます。
その結果、呼吸量が通常の4倍にもなり、肺の強化までも可能としています。
このことから、大笑いは別名「内臓のジョギング」とも言われます。
実際の運動に置き換えると、運動不足解消以上、早歩き未満といった効果が見込めます。
つまり、慢性的に運動不足な人や、運動量が落ちた高齢の方には、最適な運動になるということです。
毎日の運動は厳しいですが、毎日お笑いを見ることであれば簡単に継続できそうですね。
病気の予防に効果あり
笑いは、免疫機能を向上させることにも繋がります。
人の体内には、細菌やウィルスから身体を守る働きを持つNK(ナチュラルキラー)細胞と、侵入してきた病原体に対する抗体を作る働きを持つB細胞というものがあります。
驚くことにNK細胞とB細胞は、笑うだけで活性化させることができるのです。
患者に大笑いをさせて測定をしたところ、NK細胞が通常の85%以上も増加したという研究結果もあります。
笑えば笑うほど、免疫機能は向上していくと言われています。
また、NK細胞は体内で生成されるがん細胞を破壊する役割も果たします。
がん細胞は、日々体内で生成されるため、NK細胞の数が追いつかなければ、がんを発症するリスクが高くなります。
NK細胞を増加させるということは、がん予防にもなるのです。
心の安寧に効果あり
笑いは、自律神経機能のバランスも整えます。
自律神経が乱れると、身体機能に支障が生じるだけでなく、ストレスやうつ病など、精神的な面でも問題が生じる可能性があります。
しかし、笑うことで交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになり、自律神経のバランスが良くなるのです。
また、笑うことでエンドルフィン、ドーパミン、セロトニンといった脳内ホルモンの分泌が活発になります。
この三つのホルモンは、幸せホルモンとも呼ばれているものです。
例えば、エンドルフィンにはストレスを解消させる効果や鎮痛効果があります。
ドーパミンは、やる気や生きる意欲を湧き立たせ、セロトニンは気持ちをリラックスさせ、睡眠を促すホルモンです。
ストレスが溜まりすぎてネガティブな思考になってきたり、なんだかよく眠れないと感じたりしたときに、大笑いで解消するように努めましょう。
若返りに効果あり
人が笑うと末梢血管が広がり、血行が良くなるため、新陳代謝もアップすると考えられています。
代謝のアップは、老化予防に繋がります。
皮膚のターンオーバーも促進させるため、ハリ・ツヤのある肌をキープすることが可能となります。
女性には見逃せない効果ではないでしょうか。
笑いすぎると、笑いジワが定着するのでは?と心配する女性も多いですが、笑顔を作るためには20種類異常の表情筋を動かす必要があります。
表情筋を鍛えるためのトレーニングとして最適ですね。
表情筋を引き締めることで、顔の印象も若々しくなります。
イメージアップに効果あり
笑わない人よりも笑っている人の方が、印象が良いのは当然ですね。
人の感情は、非言語メッセージとしての役割を果たすので、笑顔を心がけることはイメージアップにつながります。
アメリカで行われた研究によると、笑顔は「優しそう」「親切そう」といった人柄に対してのポジティブな印象を相手に与えるだけでなく、「能力がありそう」というスキルに対してもポジティブな印象を与える効果があるとされています。
どんな笑いが効果をもたらすのか
笑いがもたらす効果は、いろいろな意味で人を幸せにするものばかりです。
何を幸せとしるかは人それぞれですが、心身の健康には、欠くことのできない要素の一つではないでしょうか。
では、どんな笑いが良い効果をもたらすのでしょうか。
まず、大切なのは、毎日の笑いが大切だということです。
人との会話で笑う、お笑い番組を見て笑う、思い出し笑いをするなど、笑うことであればなんでもOKです。
いざ意識すると、毎日笑うことが難しくなるときもあるかもしれません。
そんなときは作り笑いをするだけでも大丈夫です。
心から面白いと感じることも大切ですが、笑顔を作るときの筋肉の収縮だけでも、脳に情報を与えることができます。
形だけの笑顔でも脳を騙すことができるので、本物の笑顔と同じ効果が得られると考えられています。
また、笑顔を向けてくる相手に、条件反射で笑顔を返すことがありますね。
このように、周囲の人につられて浮かべる笑顔でも、同じように効果が得られるとされています。
笑顔を作るときのポイント
作り笑いをするとき、どのような表情であれば脳を騙すことができるのでしょうか?
基本的には、左右対称で口角がU字になるように上がっていればOKとされます。
自信がない人は、朝の洗顔や夜の入浴時などに、鏡の前で練習してみると良いですね。
本格的に練習するのなら、次のような手順で進めてみましょう。
- 顔の筋肉をマッサージしてほぐす
- 目と口を大きく開き、筋トレをする
- 「あいうえお」の形にゆっくり動かす
- 口角を片方ずつ、ゆっくり引き上げる
- 口角を左右同時にゆっくり引き上げる
- 大きく口を開いて大声を出して笑う
ウォーミングアップから始めて、大笑いで締めくくれば完了ですね。
このとき、鏡の自分に向かって「良い笑顔だった!」「気持ちの良い笑い方だった!」など、ポジティブな一言も添えてあげると、より効果的です。
たとえ自分が発したものでも、良い言葉を投げかけられることで、生き生きとしてきますよ。
笑いの効果|幸せになりたければ笑うことが重要 まとめ
日本のことわざに「笑いは人の薬」というものがあります。
また、ノルウェーには「笑うものは命永し」ということわざもあります。
時代や国を越えて、いろいろな場所で、笑いの効果についての言葉が残されているなんて興味深いですね。
医学的に証明されずとも、笑いが良い効果をもたらすことは、昔から知られていたのだと考えられます。