くしゃみをするのは、誰かに噂されているから、こんな言い回しを聞いたことはありませんか。
いったいどんな由来から生じたものなのでしょうか?
また、2度3度と重なると、違った意味を持つと言われています。
「風邪じゃない?」というツッコミは抜きにして、それぞれの意味を調べてみましょう。
くしゃみと噂の由来
くしゃみをするのは、誰かが噂をしている証拠。
こんな言い回しが使われるようになった背景には、自分で止められないというやっかいな性質が関係していると言われています。
止めることができないくしゃみは、悪霊などが取り憑いて、意思とは関係なくさせられていると解釈されていました。
そして、悪霊に取り憑かれるのは、呪いを受けたためと考えられたのです。
しかし、時間が流れるにつれて、「呪い」の部分が、「噂」に転じていきました。
現代社会では、呪いよりも、噂の方が身近ですね。
くしゃみと噂の由来には、呪いによる産物という背景がありました。
回数ごとの意味
くしゃみの回数ごとの意味は、いくつかのバリエーションがあります。
基本的な形は、以下の通りです。
「一誹り(そしり)・二笑い・三惚れ・四風邪」
「誹り」とは、批判されたり悪口を言われたりしていることを意味します。
「笑い」は笑い者にされている、「惚れ」は誰かに好かれている、と考えてOKです。
同じ噂でも、悪口から好きな人の話まで、幅が広いですね。
「一褒められ・二憎まれ・三惚れられ・四風邪」
こちらは、「褒められ」で良い噂をされている解釈できます。
「憎まれ」は、二と語呂が良いから選ばれたような気がしないでもないですね。
三は「惚れられ」なので、好きな人の話になります。
全体的に、良い噂の方が多い傾向にあるパターンですね。
また少し違うバリエーションでは、二に「振られ」という言葉が入るパターンもあります。
褒められ、振られ、惚れられ、風邪をひくんですね。
恋愛傾向が強い言い回しです。
笑える点は、どのバリエーションも四回目は風邪で統一されていることです。
確かに、それだけ繰り返したら、風邪の可能性は高いですね。
しかし、ご紹介した意味は、花粉症やアレルギーという概念が生まれる前から言われてきたものなので、最新版では「五、花粉症」と追加することができそうです。
くしゃみの意味のワールドバージョン
くしゃみの意味は、世界各国で違うものが揃っています。
海を越えた場所なのに、くしゃみに意味を持たせるという概念が共通しているのは、興味深いですね。
ちなみに、日本で言われている意味は、紀元前9世紀から7世紀にかけてまとめられた、中国最古の詩集『詩経』の一節から来ていると言われています。
中国語なので、言い回しは異なりますが、翻訳すると「くしゃみをしたときは、誰かが噂をしている」のような記述があります。
ちなみにスペインやポルトガルといったラテン文化圏では、「一健康・二お金・三愛・四私に幸運を」という意味になります。
くしゃみをした後に、実際に同じことを声掛けする習慣があるのですが、もとはペストの流行から始まった習慣だと考えると、恐ろしいものがあります。
とくに4度目に、「私に幸運を」と声掛けする点が、「ペストに感染していませんように」という意味がありそうで怖いですね。
現在では、そんな心配はありませんが、習慣だけが残っているようです。
同じヨーロッパでも、ドイツでは「一凶・二物がもらえる・三幸運」と言われます。
オランダでは、くしゃみを3度すると晴れると信じられています。
また、イギリスやアメリカで親しまれている童謡の『マザーグース』には、「月曜日のくしゃみは危険」、「日曜日のくしゃみは、その週ずっと悪魔に支配される」というフレーズのものがあります。
回数ではありませんが、くしゃみに意味を持たせるのは、世界共通だということが分かりますね。
くしゃみをすると噂されている?その由来は?回数の意味は? まとめ
昔の人は、くしゃみに意味をもたせました。
現在でも、各地で伝承されたものが残っています。
独特の言い回しは、「くしゃみは危険」という生活の知恵を後世に伝える意味もあったのかもしれません。