トウフ(豆腐)とは、大豆を粉砕して煮込んだ後、ニガリ等の凝固剤を加え、箱の中に流し入れて成形した加工食品です。
地域的には東アジアと東南アジアの広範囲で昔から食べられており、中国、日本、台湾、タイなどの食卓において大変に馴染深い食品です。
トウフは10世紀以前の中国から伝わったとされています。
「豆腐」の字面を見ると、「腐る」という意味合いの字がどうも気になりませんか?
なぜ「腐」の字をあてたのでしょう?
「腐」という字には、中国語においても日本語においても、「腐る」、「ボロボロになり、組織が崩れる」、「ただれる」、「変質する」等の意味合いしかありません。
一説によると、「大豆は消化が悪いので、石臼でボロボロなるまで組織を崩し、粥などに混ぜて食べていたから」らしいのですが。
いずれにせよ、古来からトウフは「豆腐」の表記で綴られています。
「腐」の字を嫌って、「豆富」や「豆冨」と表記する一部の事業者もいます。
確かに、トウフが含んでいる良質なタンパク質等の栄養面から考えれば、「富」の字で表現するのが適しているかもしれませんね。
中国では、トウフを発酵したり、油で調理するのが主流です。
そのため、トウフ自体も水分が少なく、日本のトウフよりも堅く作られているそうです。
日本では、トウフ本来の味を楽しむ調理法が多いです。
トウフ自体も水分が多く、こだわり製法で作られたトウフは、白く柔らかで、口に含んだときにほんのり甘みを感じる滑らかな食感が特徴的です。
昔はトウフといえば木綿豆腐が主流で、今では御馴染みの「絹ごし豆腐」は元禄時代に発明されました。
食材データ
種類:加工食品
旬の季節:年中
主な効能
高脂血症の予防
健脳作用
栄養成分
トウフには、こんなことわざがあります。
「豆腐に鎹(トウフにかすがい)」→「暖簾(のれん)に腕押し」と同様の意味で、柔らかいトウフにいくら鎹を打ち込んでもすぐに崩れてしまうことから、手応えや効果が全く無い事を表します。
いくら意見しても全く手応えのない人のことも指します。
「鎹(かすがい)」とは、材木同士を繋ぎ止める「コ」の字型をした釘のことです。
頼りなさを象徴するような上記のことわざとは真逆に、栄養学的観点から言えば「トウフは良質なタンパク質を豊富に含む健康食品」です。
基礎的な栄養素を含むだけではなく、健康維持を増進する機能性食品としても脚光を浴びているのです。
豆腐の脂質に含まれるリノール酸等の不飽和脂肪酸は、高血圧や、コレステロールが原因の動脈硬化の予防に効果があるといわれます。
不飽和脂肪酸が構成要素である大豆レシチンは脂肪代謝機能を持っているため、動脈硬化の予防に効果があるとされます。
更に、その脂肪代謝機能により肝臓中の脂肪分を減らすよう働きかけるため、脂肪肝の予防にも良いと言われています。
また、学習や記憶等の代謝にも関わりますので、記憶力や学習能力向上効果もあると言われます。
カルシウムは、木綿豆腐100gに対し、約120mg含まれています。
吸収し難いカルシウムですが、「トウフ」という食品を通して摂取することで、その吸収率が格段にアップすると言われます。
カリウム、亜鉛、鉄などのミネラルのほか、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンEも含んでいます。
但し、トウフは製造工程で熱を加えますので、ダイズに含有されているビタミン分が丸ごと移行するわけではありません。
また、御存じの通り、トウフはダイズからできています。
そのため、トウフは良質のタンパク質を豊富に含んでおり(トウフ一丁に対し、卵であれば3個分が相当する)、消化吸収率は90%以上を誇ります。
胃腸虚弱の方、噛む力の衰えた高齢者の方などに適した栄養補助食品と言えるでしょう。
因みに、漢方学の観点から言えば、「トウフ」は「寒性」の性質を持つ食材です。
「熱を取り除き、気を補益し、脾臓や胃の調子を整える」とあります。
従って、冷え性の方がトウフを食べる際は、湯豆腐にする、味噌汁の具にする、などの調理法で食べると良いでしょう。
特徴
ダイズに含まれる「イソフラボン」は、女性ホルモン(エストロゲン)と似た働きをすることから、植物エストロゲンとも呼ばれます。
更年期障害(女性ホルモンの減少によって引き起こされる諸症状)の緩和にイソフラボン効果が期待されるところです。
ですが、最近の研究ではイソフラボンの健康効果には個人差があることがわかってきました。
さらにトウフに含まれるカルシウムが骨粗しょう症予防に役立ちます。
原料のダイズから移行したビタミン群が皮膚の健康維持や美肌効果などに働きかけます。
トウフの唯一の原料はダイズです。
原料であるダイズには、タンパク質含有率が高いもの、香り、遺伝子組み換えの有無などが考慮され、トウフとして加工されます。
更に、トウフが美味しくできるかどうかは「良質な水」が重要です。
トウフのおよそ9割は水で構成されており、製造工程でもトウフを水に晒しますし、日本ではトウフをそのまま食べることも多いため、「水の良さ」は非常に重要な要素です。
トウフは、「冷奴」、「湯豆腐」、「味噌田楽」、「味噌汁」、「すき焼きの具材」、「ハンバーグの具材」など、様々な料理に用いられています。
トウフの副産物として「オカラ」が挙げられます。
これも栄養豊富な食品です。
現代では、飼育動物の餌などに用いられています。
国産ダイズのおよそ6割は、トウフの製造に使われています。
種類
静岡県、福岡県、京都府などで生産されています。
トウフは4種に大別されています。
「木綿豆腐」、「ソフト豆腐」、「絹ごし豆腐」、「充填豆腐」です。
「木綿豆腐」は、「絹ごし豆腐」よりもカルシムが多く含まれています。
「ソフト豆腐」は、京都では「嵯峨豆腐」と言われます。
「絹ごし豆腐」の吸水総量は、原料ダイズの重量のおよそ6倍になります。
ビタミンB1などの水溶性ビタミンが移行され、マグネシウムも多く含まれています。
代謝促進に適しています。
「充てん豆腐」の特徴は、衛生的で保存性が高い点です。
加熱して凝固し、殺菌されます。長期保存にも優れています。
「トウフ加工食品」には、「焼き豆腐」、「生揚げ豆腐」、「油揚げ」、「がんもどき」などが挙げられます。
トウフを加工する過程で出来る「トウフ副産物」には、「豆乳」、「ゆば」、「おから」などが挙げられます。
レシピ
冷奴
夏向きの料理としても、おつまみとしても重宝する一品。
そのまま生醤油をかけるほか、あんをかけたり、洋風出汁と合わせても美味しい。
定番のネギのほか、色々な薬味を工夫すればマンネリからも脱却。
お揚げさん
京都及び周辺地域で、「油揚げ」を呼ぶ時に使う。
京揚げは、水を絞ったもめん豆腐を油で揚げたもの。
サイズも大きく厚みがある。
煮物、うどん、丼、味噌汁など様々な料理に重宝する。
トウフ【豆腐】 良質のタンパク質が豊富で消化吸収率は90%以上 まとめ
トウフの唯一の原料はダイズ。トウフはダイズ由来の良質なタンパク質を豊富に含んでいます。
消化吸収率はほぼ100%。
胃腸虚弱や高齢者などに適した健康食品です。
トウフ単体で食べるほか、鍋の具やみそ汁の具、加工食品の油揚げや豆乳などの様々な食品に姿を変え、私たちの食卓を楽しませてくれます。