「おやつの和菓子には緑茶、ティータイムを楽しむ洋菓子には紅茶」という人が多いでしょう。
色の違い、香りや味の違いから、緑茶と紅茶は全くの別物と考えがちですが、実は、緑茶、紅茶などのお茶は全てツバキ科の「茶の樹」からつくられているのです。
「茶の樹」の生葉を乾燥、発酵させて飲料用のお茶をつくります。
製造過程である発酵段階の際、その発酵度合いの差により「緑茶」と「紅茶」の種類に分かれます。
発酵が進むにつれ、カテキン成分が酸化して茶葉は赤くなっていきます。
茶葉を摘んだ後、すぐに熱を加えて発酵を止めて加工し、発酵が浅いのが「緑茶(不発酵茶)」で、発酵が高いのが「紅茶(完全発酵茶)」です。
緑茶の歴史は中国から始まり、奈良時代から平安時代にかけて日本に伝わりました。
この頃のお茶は非常に貴重で、貴族階級等の限られた富裕層の人々だけが飲むことができました。
その後、千利休により茶道としての礼式が確立されて武士階級にまで広がり、その作法は現代にまで受け継がれています。
時代の変遷とともに庶民にも容易く手に入るようになった緑茶は日本人の食生活に密接に根付いています。
紅茶を最も多く飲用するのはイギリス人。
三度の食事のみならず、起床した時、午前や午後の休憩に紅茶を飲んで憩いのひとときを楽しみます。
アフタヌーン・ティー(Afternoon tea)に代表されるイギリス発祥の喫茶習慣は、日本人にとってはお洒落で洗練された習慣で、専ら上流階級の人々のみが楽しむべきものと思われがちですが、現代のイギリスにおいては堅苦しい礼儀作法や会話などを気にせず、紅茶と一緒に軽食や菓子を楽しむことが多いそうです。
食材データ
種類:飲料
旬の季節:一年中
主な効能
中性脂肪の低下
胃ガンの予防
栄養成分
緑茶は、緑茶の渋み成分である含有成分「カテキン」が豊富です。
緑茶は不発酵茶なので、発酵させることによって失われるカテキンの健康成分が多く残っているのです。
カテキンは強力な抗酸化作用があり、免疫力を高めてくれます。
悪玉コレステロールを減らして体脂肪の減少に働きかけ、生活習慣病予防や、虫歯や口臭予防の効果もあるとされます。
「氷水出し緑茶」から出てくるエピガロカテキンは免疫細胞を活性化させるので、さまざまな菌から体を守ってくれる働きが期待されます。
緑茶には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEも豊富です。
各種ビタミンが風邪予防や美肌効果に働きかけます。
紅茶は、茶葉を発酵させた発酵茶です。
含有成分であるカフェインの疲労回復効果、タンニンの免疫力向上効果が注目を浴びています。
紅茶茶葉にはゆうにコーヒーの3倍ものカフェインが含まれています。
ですが、カフェインとタンニンが結びつくことにより、コーヒーのような覚醒作用は緩やかに働きます。
紅茶にはミルクを入れたミルクティー、レモンを入れたレモンティー、ジャムを入れたロシアンティー(但し、ロシアでは紅茶にジャムを入れず、ジャムを舐めながら紅茶を飲む)などの飲み方があります。
紅茶にも緑茶と同様、抗菌作用があります。
喉が痛いとき、緑茶や紅茶でうがいをすると良い、と言われます。
中医学的観点で見れば、緑茶の性味は苦味、甘味で涼性。
紅茶の性味は苦味、甘味で温性となっています。
特徴
緑茶
緑茶の淹れ方は、香りと効能を引き出すため、上質な茶葉ほど低温でじっくり淹れましょう。
- 煎茶→上級煎茶は80℃、普通煎茶は90℃~100℃で。
- 深蒸し煎茶→80℃で。
- 玉露→60℃で。
- 新茶→70~80℃で。
- 水出し緑茶→氷と水を使い、じっくりと抽出することで渋みを抑え、旨みも引き出すことができます。
高級茶葉(玉露、上級煎茶)を使うのがお勧め。
紅茶
一方、紅茶には「ストレートティー」、「ミルクティー」、「レモンティー」、「アイスティー」などの淹れ方があります。
- ストレートティー→英国のゴールデンルールに則って淹れると間違いがない。
- ミルクティー→牛乳を常温にしておくこと。ポットとカップを温めておくこと。
- レモンティー→レモンは飲む直前に入れ、すぐ引き上げること。入れたままだと渋みが出る。
- アイスティー→2倍の濃さのホットティーを入れる。グラスに砕いた氷をいっぱいに入れ、ホットティーを注ぎ入れ、急速に冷やすこと。グラスを割らないよう注意。
種類
「緑茶」の主要産地は、静岡県、鹿児島県、京都府、三重県などです。
煎茶、玉露、かぶせ茶、碾茶、玉緑茶、番茶などの種類があります。
「紅茶」の主要産地は、インド、スリランカ、ケニア、トルコ、インドネシアなどです。
アッサムティー、ダージリンティー、セイロンティーなどが有名です。
レシピ
お茶漬け
残りご飯や、冷やご飯に熱いお茶をかけて食べる。
茶だけでは味気ないので、漬物や塩昆布などをご飯に載せたりもする。
長居しそうな客に、「ぶぶ漬けでもどうどす?」と声をかけ、暗にほのめかして帰宅を促す方法が、京都人の有名な逸話として全国的に知られている。
まともに受けて「それなら」と座り直す客は徹底的に嫌われるとか。
ロイヤルミルクティー
牛乳で茶葉を煮出して作るロイヤルミルクティー。
クリームを加えると、より濃厚に。
カロリーを気にしないのであれば、たっぷりと砂糖を入れて。
ロイヤルミルクティーは日本独特の造語である。
緑茶と紅茶 茶葉の発酵度合いの差が分かれ道。共に抗菌作用を持つ まとめ
色の違い、香りや味の違いがあれども、実は「緑茶」も「紅茶」も、ツバキ科の「茶の樹」の茶葉からつくられます。
茶葉の発酵度合いが浅いか高いがで、「緑茶」と「紅茶」に分かれます。
発酵が浅いのが「緑茶(不発酵茶)」、発酵が高いのが「紅茶(完全発酵茶)」です。
「緑茶」も「紅茶」も抗菌作用を持っています。