タイ【鯛】|豊富なタウリンが胆汁の生成を助け、滋養強壮に効く

「腐っても鯛」→優れている物には、たとえ腐ってしまってもそれなりに値打ちがあるという喩え。

「魚(うお)は鯛」→魚の中で鯛が最上級の魚という意。

などということわざからもわかる通り、日本人の頭の中には「鯛=最高の魚」という考え方が根強くあります。

神代には「アカメ(赤女、赤目)」と呼ばれたタイは、淡紅色の体色が美しく縁起が良い魚とされ、「タイ」を「めでタイ」という言葉に引っ掛けて、お祝いの膳やお正月に尾頭付きのものが出されては尊ばれてきました。

縄文時代からすでに食用にされていた節があり、遺跡からタイの骨が出土しています。

「古事記」や「風土記」、「日本書紀」や「万葉集」にもタイの表記が見られます。

恵比須さま

武士中心の鎌倉時代頃には、甲冑をまとったような勇ましく縁起の良さそうなタイの姿が好まれたとされますし、江戸時代には「魚の中の王」としての地位を確立するに至り、将軍家でもタイを重用するようになりました。

今では養殖技術が発達し、手に入れやすくなったとはいえ、やはり「タイはおめでタイ魚」として尊重され、特別扱いされています。

勝った力士や政治家が大きなタイを手に掲げ、喜びも露わに歯を見せてニカーッと笑っている光景は、海外の方から見ればどうにも不思議で解せない行為だそうです。

それはそうですよね。

鯛

「おめでタイ」と「タイ」の掛け言葉の意味を知らなければ、確かにひどくシュールな光景でしょう。

海外ではタイという魚に特に思い入れはなく、例えばフランスでは「何でも食べてしまう貪欲な魚」という位置づけであり、朝市で大変安く手に入るそうですよ。

 

食材データ

種類:魚類
旬の季節:冬~春

主な効能

高齢者、病人の栄養補給
強心、強肝作用
ダイエット食
乳汁分泌促進

 

栄養成分

タイの刺身

タイ一尾およそ600gとして、可食部は270g程度。

タイ100g換算で、タンパク質は約58g、脂質は約29gという「高タンパク低脂肪」の、食べやすく消化吸収しやすい白身魚です。

高齢者や病中の方、または糖尿病や肥満や脂肪肝、高血圧や血栓症などの生活習慣病の方にも滋養あるお勧めの食材です。

身肉の味は淡泊ですが、必須アミノ酸バランスも良く、旨味成分であるグルタミン酸イノシン酸を多く含んでいます。

「グルタミン酸×イノシン酸」は、旨味の相乗効果が発揮される組み合わせです。

「グルタミン酸」はタンパク質構成要素20種のアミノ酸の一つで、「イノシン酸」は核酸に分類されます。

真鯛の脂は酸化しにくく、イノシン酸の分解速度も遅いので、調理後から時間を経ても旨味成分が保たれます。

これが、「腐っても鯛」の所以ですね。

また、タイはタウリンを豊富に含んでいます。

主に、胆汁の生成を助けて肝機能を強化し、滋養強壮に良いとされます。

タウリンを多く含む食材を摂ることで、

  • 胆汁酸分泌を正常に保ち、胆石生成を抑えて胆石症を予防する
  • 肝細胞再生を促進させ、肝機能を強化する
  • 血中コレステロール値を下げ、血圧を正常に保持する
  • 心臓機能を強化する
  • (肝機能強化を高めるので)アルコール分の速やかな分解促進効果=二日酔い改善
  • 滋養強壮
  • 動脈硬化を防ぐ
  • むくみを防ぐ
  • 視機能改善効果

などの効果が期待できます。

母乳を出しやすくするには水分を多く飲み、和食中心の食事を摂ると良い、とよくいわれます。

良質で低脂肪のタイの白身も良いですし、「タイのあら汁」も良いそうですよ。

ビタミンB2も含まれていますし、DHAやEPAを無駄なく摂取できます。

タイのあら(胴体のゼラチン部分)を摂ることで、冷え性の改善にも役立つそうです。

ミネラル成分ではセレン、ビタミン群ではビタミンDが豊富です。

セレンは、老化や病気から体を守り、ガンの抑制効果もあるといわれています。

ビタミンDは「太陽のビタミン」とも呼ばれ、紫外線を浴びることで体内合成されるビタミンです。

骨や歯を丈夫にし、免疫力を高めてくれます。

 

特徴

旬は秋から春です。

真鯛は産卵期直前の桜の時期に「桜鯛」と呼ばれて珍重されます。

漢方ではタイという食材は、「気を益し血を補う作用がある」とされます。

刺身や塩焼き、蒸し焼きや混ぜご飯など多岐に亘るレシピがあります。

熱を通しても身が硬くなりません。

棄てる部分はほとんどなく、食通には唇の肉や頬肉、カマ(胸びれのつけ根)などが特に好まれます。

体表面はとても頑丈なウロコで覆われています。

購入する際は、「目が澄んでいて体色が鮮やかな赤い色をしており、エラが鮮紅色のもの、身が引き締まっているもの」を選びましょう。

切り身の場合は、「白身に透明感があり、血合いが綺麗な色のもの」を選びましょう。

鮮度の良いタイには、アレルギーの原因となるヒスタミン含有量が少ないので、消化吸収力や抵抗力の弱い乳幼児や高齢者の方にも適した食材と言えましょう。

 

種類

タイ

タイとは、スズキ目タイ科の海魚の総称のことを指します。

一般的に「タイ」と言った場合は、「真鯛(マダイ)」のことを指しています。

外国からの輸入先では東南アジアが最も多く、ニュージーランドやオーストラリアからは近縁種を輸入しています。

国内では、長崎県、福岡県、愛媛県、山口県、兵庫県などで漁獲されます。

兵庫県産のマダイは「明石のタイ」として有名です。

タイ科にはマダイのほか、クロダイ、キダイ、チダイ、ヒレコダイ、タイワンダイ、アカレンコなどが含まれます。

 

レシピ

鯛の炊き込みご飯

小振りのタイなら丸ごと炊き込み、大振りのタイであれば頭部だけ炊き込んでも旨味が出て美味しい。

タイ本来の味を楽しむならあっさりと、少し濃い目に醤油を利かせれば、全くおかずなしでも、ご飯何杯でも食べられそう。

 

鯛の唐揚げ

小振りのタイは唐揚げや天ぷらに。

大振りのタイなら、切り身にしてフライに。

甘酢あんかけにすれば、中華風に。

 

タイ【鯛】 豊富なタウリンが胆汁の生成を助け、滋養強壮に効く まとめ

タイは、高タンパク低脂肪の消化吸収しやすい白身魚です。

豊富に含まれている「タウリン」が胆汁の生成を助け、肝機能を強化します。

タイを無駄なく食べるため、あら汁などの調理もお勧めです。

含有成分の「セレン」と「ビタミンD」が老化や病気から体を守り、免疫力を高めます。

アレルギーを起こしにくく、年少者や高齢者、病中の方や病後の方にも適した食材です。

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