シジミとは淡水域や汽水域に生息する小型の二枚貝のことです。
最近では輸入物に押されがちですが、国内の湖や川でも収穫されています。
成分分析などできない昔から、シジミは体に良い(肝臓に良い)といわれてきました。
遙か昔の縄文時代の遺跡からも出土し、古来から食べられてきた貝であることがわかります。
名前の由来にはいくつか説があり、
- 普段から食べ親しんでいる二枚貝の中では小型の貝に分類されるため、『縮み』が転じて『シジミ』となった
- 同心円状に成長し、殻に輪状のスジが刻まれていく。そのスジ模様が縮んで見えるため、『シジミ』と呼ぶようになった
- 殻の模様が織物の縮(ちぢみ)に似ているため、『シジミ』と呼ぶようになった
などの説があります。
シジミの旬は年2回(夏と冬)で、夏のシジミは「土用シジミ」、冬のシジミは「寒シジミ」と呼ばれます。
「土用シジミは腹薬(ハラグスリ)」と民間に伝承され、夏バテにも効くとされます。
ですが、口を閉じたまま死んでいるシジミを見極められず、知らずに食べて食中毒になった人もいたそうです。
「土用シジミの取り置きは危ない」とされる所以です。
江戸中期に発刊された、食品に関する文献にもシジミの表記があり、「二日酔いを治す」、「母乳の出が良くなる」、「寝汗に効く」とされています。
現代と違ってシジミを手に入れることは容易だったでしょうから、朝ご飯にシジミの味噌汁を食べることは江戸庶民にとっては至極当然だったでしょう。
朝早くから声高に呼ばわるシジミ売りの声で、江戸庶民は一日の始まりを実感したことでしょう。
一般的には、「シジミの味噌汁」などでエキスの溶け込んだ汁物を飲むことが、シジミの栄養を余すことなく摂る方法ですが、「津軽シジミ伝説」では「シジミの貝殻を焼き、粉末状にした物を摂取することで肝臓の働きを強化する」と説いています。
この逸話に基づき、弘前大学医学部の研究チームが分析したところ、シジミの貝殻を約500℃で燃焼させると、「カルサイト」という有用成分に変化したそうです。
カルサイトを継続して摂取すれば肝臓の働きがサポートされる、という研究結果が出たそうです。
食材データ
種類:貝類
旬の季節:春・冬・夏
主な効能
肝臓病の予防、改善
貧血の改善
乳汁分泌促進
栄養成分
日本には、「ヤマトシジミ」、「マシジミ」、「セタシジミ」の3種類の在来シジミが生息しています。
「マシジミ」と「セタシジミ」は環境要因のため激減し、今現在、流通しているほとんどのシジミは「ヤマトシジミ」です。
旬のシジミを表わす言葉に、夏の「土用シジミ」と厳寒期の「寒シジミ」があります。
「土用シジミ」には「ヤマトシジミ」、「寒シジミ」は「マシジミ」が美味です。
通常、シジミは身が締まった冬場が最も美味といわれますが、「セタシジミ」だけは春が旬です。
「セタシジミ(瀬田シジミ)」は、淡水の琵琶湖水系で獲れる固有種で、産卵を控えた3~4月の「セタシジミ」はシジミの中でも最高級品とされています。
「セタシジミ」の名の由来は、昔は瀬田川付近でザクザク獲れたことからきています。
過去には、琵琶湖に舟を出すと、シジミが湖底に層になるほど生息していたそうです。
獲れ過ぎて舟がひっくり返りそうになるほどの収穫量だったとか。
ですが、琵琶湖の環境変化などが原因で、収穫量は昭和30年代前半から激減しています。
「マシジミ」は純淡水性で、河口域には生息せず、川の上流の砂礫底に好んで生息します。
「マシジミ」は「寒シジミ」とも呼ばれます。
「ヤマトシジミ」は淡水及び汽水域性で、塩分2.3%以上の水域には生息せず、北海道~九州にかけての大きな川の河口域や、宍道湖の汽水域などに生息します。
「ヤマトシジミ」は「土用シジミ」とも呼ばれます。
「土用シジミは腹薬(ハラグスリ)」、「シジミの味噌汁は肝臓に良い」、「シジミは黄疸に効く」といわれる所以は、シジミには栄養成分が豊富に含まれているからです。
- 肝機能を高め、コレステロール値を下げる効果のある「タウリン」
- 肝機能を活性化する「メチオニン」、「システイン」といったアミノ酸
- 旨味成分の「コハク酸」
ビタミン群では、
- 美肌保持や粘膜強化、視機能改善効果のある「ビタミンA」
- 血流を改善し、老化を防ぐ「ビタミンE」
- 疲労回復効果や神経機能を正常に保つ「ビタミンB1」
- 成長促進や粘膜保持に働く「ビタミンB2」
- 貧血を予防し、神経機能を正常に保持する「ビタミンB12」
更に、ミネラル群では、
- むくみ予防や改善に効く「カリウム」
- 貧血予防や疲労回復に働く「鉄」
- 味覚や生殖機能を正常に維持する「亜鉛」
- 赤血球の形成を助け、貧血を予防する「銅」
など。
シジミには、「鉄」と「ビタミンB12」がレバー並みに含まれています。
双方とも、赤血球の形成に関連があり、貧血予防に効く成分です。
また、シジミには肝機能を向上し、疲労回復に効果的な「オルニチン」も豊富に含まれており、この成分が血液中に溶け込んで体内を循環し、有害なアンモニアを肝臓で解毒してくれます。
アンモニアの解毒効果により、体から漂う疲労臭が低減することが期待されます。
肝臓は人体で最も大きな臓器であり、ここでの機能が維持されることが健康の秘訣と言えるでしょう。
シジミに豊富に含まれる「オルニチン」が、二日酔いの改善や、肝臓のより良い働きをサポートしてくれるのです。
シジミが味噌汁に良く合うのは、旨味成分「コハク酸」を始めとするさまざまなアミノ酸と、発酵食品である味噌との相乗効果が存分に発揮されるからです。
味噌に含まれる酵素が、シジミを効率よく消化してくれます(但し、活きた酵素が入っている味噌を選びましょう)。
このように、シジミには、鉄や銅などのミネラル分と、ビタミンB12などのビタミン群など、日本人に不足しがちな栄養素が豊富に含まれているのです。
シジミの味噌汁を飲めば、肝臓機能強化に効くだけでなく、「母乳の出が良くなる」ともいわれています。
特徴
シジミは水温が上がると酸素不足で死んでしまいますが、死んでも口を開かないため、食べると食中毒になってしまいます。
シジミは、大きくて殻の艶が良く、購入時に活きの良いものを選びましょう。
調理前に砂出しが必要です。
夏は3時間、冬は5~6時間が妥当です。
通常、「アサリは塩水、シジミは真水」なのですが、今現在、多く流通している「ヤマトシジミ」は、淡水に海水が混ざっている汽水域で生息しています。
そのため、約1%の塩水で砂抜きするのが最適だといわれます。
肝機能強化や疲労回復に効果のある「オルニチン」は、シジミの砂抜き後に冷凍することで、生のシジミに比べて7~8倍にも増えます。
種類
主な産地は、北海道、青森県、島根県の宍道湖、茨城県、滋賀県などです。
輸入国は、台湾、中国、韓国、ロシアなどです。
主な種類に「ヤマトシジミ」、「マシジミ」、「セタシジミ」の三種があり、現在流通しているほとんどのシジミは「ヤマトシジミ」です。
琉球列島には大きさおよそ10cmにも及ぶマングローブシジミ属なども生息しています。
また、中国や台湾の淡水域に棲むタイワンシジミ類が外来繁殖し、在来種のシジミの存続を危ぶませています。
レシピ
シジミの味噌汁
味噌汁に深いコクと旨味が出ます。
二日酔いに良く、梅干しとシジミの味噌汁の組み合わせは最強だとか。
インスタントのシジミの味噌汁も販売されており、手軽に飲める。
シジミのアヒージョ
シジミとブロッコリー、トマトなどの野菜にアンチョビやニンニクなどを入れ、ヒタヒタのオリーブオイルでアヒージョ作り。
シジミエキスが溶け込んだオリーブオイルにパンを浸して食べれば、二度美味しい。
シジミ【蜆】 冷凍でオルニチン倍増!肝臓病や二日酔いに効果あり まとめ
豊富に含まれる「オルニチン」が肝機能強化や、二日酔いに効きます。
シジミにはミネラル分やビタミンB12も多く含まれ、それらが赤血球の形成を助けるため、貧血予防にも効果的です。