最初にサツマイモの苗が伝来したのは宮古島でした。
その後、薩摩国(鹿児島)で栽培され始めたことから、サツマイモ(薩摩芋)と呼ばれるようになりました。
繁殖力が高く、痩せた土地でも育つので、初心者でも比較的育てやすい野菜です。
江戸時代の天明2年~7年にかけて「享保の飢饉」、「天保の飢饉」、「天明の大飢饉」という「江戸の三大飢饉」と称される酷い食料飢饉が庶民を襲いました。
「享保の飢饉」はなんとかしのいだが、今後も訪れるであろう食糧難を危惧した八代将軍の徳川吉宗は、青木昆陽という人物に、関東圏でのサツマイモの栽培に着手するよう命じました。
その後、時を経て、「天明の大飢饉」が起きたとき、「困窮切迫した市井の人々が草の根から牛、馬、犬、猫は勿論、餓死した人間の肉を貪ってまで飢えをしのいだ」とも言われており、大変凄まじい惨状だったことが想像に難くありません。
その頃には青木昆陽がサツマイモの栽培に成功していました。
サツマイモの普及で餓死を逃れ、助かった人々も多かったといわれます。
食材データ
種類:根菜類
旬の季節:秋
主な効能
整腸作用
暖下作用
強壮作用
肺ガン予防
栄養成分
サツマイモには、デンプン、ショ糖、ブドウ糖、果糖などの糖質や、ビタミン群(特にビタミンCやビタミンE)が豊富に含まれています。
ビタミンCはリンゴの5倍以上です。
普通、野菜や果実に含まれるビタミンCは壊れやすいことで知られています。
水溶性なので、水に浸けることで溶け出して失われますし、加熱による酸化も見過ごせません。
ですが、サツマイモに含まれるビタミンCは、サツマイモを加熱することで生じる糊化デンプンがビタミンCを保護してくれます。
そのため、ビタミンCが安定し、残存率も高く保たれるのです。
米国国立ガン研究所によれば、「サツマイモ、カボチャ、ニンジンを毎日食べる人と、全く食べない人を比較したところ、肺ガン発生リスクが半分に抑えられる
というデータ結果を得たそうです。
また、中国の大学の研究では、「人間の子宮頸部ガン細胞と皮層ガン細胞を培養し、それにサツマイモの搾り汁を加えたところ、ガンの増殖が5分の1以下に抑制された」というデータ結果もあるそうです。
サツマイモに含まれるβ-カロテンや、サツマイモの搾り汁に含まれるガングリオシドが、ガン細胞を抑制する働きをすると考えられています。
サツマイモを輪切りにすると、白くネバネバした液が滲み出てきます。
これはヤラピンという物質です。
ヤラピンはヒルガオ科の植物に含まれますが、食材としてはサツマイモにしか含まれていません。
ヤラピンには緩下剤としての作用があることが、昔から知られています。
また、サツマイモには食物繊維が豊富に含まれおり、これも便秘の予防や解消に大いに役立ちます。
更には、アマイドという物質が腸内の善玉菌を活性化させる効果もあるとされます。
サツマイモを食べれば、前述の相互作用が腸内環境を整えてくれます。
サツマイモの皮や、紫いもに含まれる紫色の色素成分はアントシアニンです。
サツマイモに含まれるアントシアニンは16種類以上。
熱や光に対し非常に安定した色素であり、活性酸素を抑制し、ガン発生リスクを減らすといわれています。
特徴
サツマイモは、ヒルガオ科サツマイモ属の植物です。
デンプンが豊富でエネルギー源として適していますが、タンパク質の割合が低いです。
そのため、サツマイモばかり食べているとカロリー的にはOKでも、タンパク質欠乏による栄養失調に陥ります。
約60℃で長時間加熱することで、デンプンが糖化し甘味が増します。
皮の近くに繊維が集まっているため、便秘がちな方は皮付きのまま食べましょう。
焼き芋も、皮付きのまま食べた方が胸焼けしないといわれます。
寒さに弱い野菜です。
なるべく早く使い切り、できれば冷蔵庫保存は避けましょう。
買ってきたら、新聞に包み、風通しの良い5℃~10℃くらいの冷暗所で保存しましょう。
天ぷら、煮物、ケーキやスナック菓子など様々なレシピに活用できる食材です。
芋焼酎もサツマイモから作られます。
種類
原産地は、南アメリカ大陸、ペルー熱帯地方といわれています。
海外の生産地には、中国、ナイジェリア、ウガンダ、インドネシア、ベトナム、タンザニア、インドなどが挙げられます。
国内の生産地では、鹿児島県、茨城県、千葉県、宮崎県、徳島県などが挙げられます。
サツマイモの代表的な種類には「紅あずま」、「鳴門金時」、「五郎島金時」、「安納いも」、「紫いも」があります。
レシピ
スイートポテト
サツマイモ本来の甘味を活かしたスイートポテト。
チョコを入れてチョコスイートポテトや、抹茶を入れて抹茶スイートポテト、シナモンやレーズンを入れてパウンドケーキ風に仕上げれば、ひと味変わったスイートポテトの出来上がり。
大学芋
とろりとまとわりつく水飴がサツマイモに絡まり、なぜか懐かしい甘さ。
カロリーが気になる方は、水飴不使用な低カロリーに仕上げよう。
作りすぎたら冷凍保存に。
サツマイモ【薩摩芋】 食物繊維とヤラピンが腸内環境を整える まとめ
食物繊維やビタミンCが豊富なサツマイモ。
サツマイモのビタミンCは加熱することで糊化デンプンに守られて、残存率が高くなります。
更には「ヤラピン」が緩下剤として働きます。
サツマイモに含まれる「β-カロチン」や、搾り汁に含まれる「ガングリオシド」が、ガン細胞を抑制する働きをするとされ、抗酸化作用を持つ「アントシアニン」が、ガン発生リスクを軽減します。
腸内環境を整えたい方や生活習慣病を予防したい方にお勧めの食材です。