産卵のために生まれた川に帰って来る「回帰性」は古くから知られ、この習性を利用して捕獲し、重要なタンパク源として昔から食べられてきた馴染深い魚、サケ。
おかずとして食卓に載るだけでなく、おやつやおつまみに「鮭とば」チップスも美味しいですよね。
サケは本来、白身の魚。
ですが、見た目の身の色は赤いですね。
あれは、サケが餌とするオキアミなどの動物性プランクトンの中にサケの体色を赤くする要素が含まれており、サケが常食することによって色素が沈着するのです。
赤い色素成分を「アスタキサンチン」と呼びます。
アスタキサンチンには強い抗酸化作用や抗炎症作用があり、化粧品やサプリメントにも使われています。
サケには気血を補う作用があります。
胃腸を温める効果もあり、食べれば血行を良くして冷えや貧血を改善してくれます。
血行が良くなればむくみ対策にもなりますし、肥満予防にもなりますよね。
サケの皮にはコラーゲンも含まれていますし、美容に関心がある方は皮ごと食べるのがお勧めです。
「鮭は冬越しの薬食い」
栄養価の高いサケを身も皮も余すことなく食べれば、どんなに厳しい冬も乗り越えられるだろう、という意味です。
食材データ
種類:魚類
旬の季節:秋
主な効能
冷え性、貧血、肥満の改善
抗動脈硬化、認知症予防
栄養成分
本来は白身魚であるサケが赤身なのは、カロテノイドの一種であるアスタキサンチン色素の影響です。
赤い色素を含む餌をサケが常食するため、サケの体色も赤くなります。
気血を補う食材ですので、サケを食べれば体を温め、血流が良くなり、水はけを促してむくみを改善してくれる作用があります。
そのため、虚弱体質の方、冷え性や貧血の方、肥満気味の方にとってもお勧めの食材です。
サケの切り身80g中、タンパク質がおよそ18g、脂質はおよそ3.6g含まれています。
サケにはビタミン類が豊富に含まれ、特に「ビタミンD」が特筆すべき成分です。
「ビタミンD」は骨の強化に作用します。
美容ビタミン及び発育のビタミンとも呼ばれる「ビタミンB2」が、タンパク質などの代謝を促進してエネルギー代謝を助けます。
「ビタミンB6」が、タンパク質の分解及び合成を助け、皮膚や粘膜の健康を保ちます。
サケに含まれる脂肪酸「EPA(エイコサペンタエン酸)」が血液をサラサラにして動脈硬化や血栓を予防してくれます。
同じくサケに含まれる脂肪酸「DHA(ドコサヘキサエン酸)」が神経細胞を活性化させ、脳の働きを良くします。
記憶力向上や、学習能力の向上、認知症予防にも期待できます。
老化予防、若返りビタミンとして名高い「ビタミンE」が、「イクラ」や「スジコ」に多く含まれています。
アンチエイジング食材としてもお勧めです。
前述の、サケの赤み色素成分「アスタキサンチン」は強い抗酸化力と抗炎症作用を持ち、疲労回復を容易にさせます。
活性酸素を除去する「アスタキサンチン」は体の深部まで届くため、目の奥の細胞まで浸透し、眼精疲労の改善にも期待できます。
以上のことから、サケを食べると次のような効能があると考えられます。
眼精疲労の改善、活性酸素を除去して老化予防、神経細胞を活発化して脳の働きを向上、動脈硬化や血栓症を予防。
日本では、室町時代から魚の「サケ」を漢字で「鮭」と表記してきました。
面白いことに、中国では「鮭」の漢字は「フグもしくは魚一般」を指すそうですよ。
特徴
さまざまな調理法と加工法が存在し、日本人にはとても馴染深い魚です。
焼き魚や刺身、サーモン寿司、ルイベ(元はアイヌ料理)などのレシピが挙げられます。
サケの卵は筋子やイクラとなり、食用にされます。
サケは川で産まれて海に下り、数年経た後、再び産まれた川に戻って産卵します。
これを「母川回帰」と呼びます。
この回帰性には種ごとに差があり、マスノスケやベニザケは回帰性が強く、支流まで突き止めて遡上します。
ですが、シロザケ、カラフトマスは回帰性が比較的弱く、川を間違えて遡上し、「迷子ザケ」になってしまいます。
魚にも方向音痴はいるということですね。
海洋産のサケ類の肉にはアニサキス幼虫(寄生虫)が寄生していることがあります。
アニサキス幼虫に寄生された餌をサケが食べることで感染します。
疑わしい食材には、「アニサキス幼虫は熱に弱いこと」、また、「-20度以下で長時間冷凍保存すれば死滅する」などの方法で対処します。
養殖技術が発達している今、養殖物の魚には寄生虫がいる可能性は少なく、むしろ「個人で釣り上げた魚を船上で調理して食べる」、「釣った魚を、内臓の適切な処理なく長時間持ち歩く」、などの行為がアニサキス食中毒の危険性を高めるとされています。
種類
産地は、世界では、チリ、ノルウェー、アラスカなどが挙げられます。
国内では日本近海。
日本海一帯と、太平洋側では利根川より北に分布します。
なかでも、北海道が有名です。
サケの種類には、「シロサケ」、「マスノスケ」、「ギンザケ」、「ベニザケ」、「タイセイヨウサケ」が挙げられます。
レシピ
鮭のホイル焼き
癖がなく食べやすいサケですが、焼くとパサパサしがち。
野菜と一緒にホイルに包んで焼くことにより、サケ本来の旨味と野菜の旨味が合わさってジューシー感満載。
洗い物も少なくて済む。
ご飯にも合うし、パンにも。
ホイルの残り汁をパンに浸して食べれば、栄養が無駄なく摂れる。
鮭のムニエル
フライパンで焼いて、皮はパリッと香ばしく、中身はジューシー。
ジャガイモを添えても美味しい。
自家製タルタルソースをかければ、なお美味しい。
サケ【鮭】 サケは温性の白身魚。胃腸を温め、冷えや貧血の改善に まとめ
気血を補い、体を温める作用のある魚。
血流を促し、貧血や肥満予防に働きかけます。
豊富に含まれるビタミン群は体内の代謝を促し、強い抗酸化作用を持つアスタキサンチンが眼精疲労の改善や老化予防に働きます。
癖もなく食べやすく、たいへん栄養価の高い魚です。