「サバ」と聞いて、ぱっと思い浮かぶのは「サバを読む」という言葉ではないでしょうか。
「適当に数を誤魔化す」という意味で、実年齢より年齢を若く言って誤魔化す場合などによく使われます。
この語源にはいくつかの説があります。
最も知られているのは、「水揚げ量が多いが傷むのも早く、水揚げ後はできるだけ急いでサバの漁獲量(匹数)を数えなければならなかった」という説です。
気がせいて早口のため、サバの数を正確には数えられなかったであろうし、サバが傷む前にどんぶり勘定でさっさと売ってしまいたい、という漁師の心情が、「数を誤魔化す=サバを読む」という言葉を作り出したとされています。
他にはこんな説もあります。
「鯖街道説」と言われるものです。
福井県小浜市から滋賀を経て京都にサバを運ぶルートは、通称「鯖街道」と呼ばれていました。
この長距離を移動するにはサバに塩を振って運ぶしかなく、水揚げ後のサバに塩を振って鯖街道を運んでいくと、ちょうど京都に到着する頃にはサバが食べごろになっているというワケです。
このことから、時間の経過を読むことを喩えて「サバを読む」という言葉が生まれたとされています。
四国八十八か所霊場の番外札所の八坂寺(鯖大師本坊)には、「3年間、鯖を食べないで祈願すれば願いが叶う」という珍しい願掛けの「鯖断ち」があります。
弘法大師と、塩サバを馬で運んでいた馬子とのエピソードがその由来となっています。
食材データ
種類:魚類
旬の季節:春・秋
主な効能
脳梗塞、心筋梗塞の予防
貧血に効果あり
認知症予防、健脳効果
栄養成分
「秋サバは嫁に食わすな」は、「秋ナスは嫁に食わすな」と同様、よく聞かれますよね。
秋に脂が乗って美味しくなる秋サバを嫁には食べさせたくない、という嫁いびりの意味が込められているといわれます(その逆で、「サバは傷みが早いので、嫁に食べさせて食中毒になったら大変」と嫁を気遣う意味もあるとされます)。
サバと言えば、通常は「真鯖」のことを指します。
一般的に、サバは秋が旬とされ、通常のサバには12%ほどの脂質が含まれていますが、秋の季節を迎える10月~12月にかけてはゆうに20%を超え、これが「秋サバは、脂が乗って旨い」とされる所以です。
但し、天然サバでも、秋サバは脂が乗りすぎてこってりして食べにくいと感じることもあります。
その点、春先にかけて水揚げされる春サバは、脂は軽やかで、味はさっぱりしていて食べやすく繊細で、特にしめ鯖にして食べるのがお勧めです。
春サバは4月~5月の時期と思われがちですが、実際に味が良いサバは1月~2月に水揚げされるものです。
4月~6月はサバの産卵期なので、脂肪が減って味が落ちてしまいます。
銚子沖のサバは3月を過ぎると味落ちが目立ってきます。
1月~2月に水揚げされたサバは安値で美味。
産卵後、再び栄養を蓄えて太ったサバが秋サバとして10月~12月に水揚げされ、我々の味覚を楽しませてくれます。
一方、関西では、「春サバ」が特に旨いと言われています。
「若狭春鯖のなれずし」と題し、北大路魯山人が春サバの妙味を心向くまま称えています。
概略すると……
上品な小味をもち、一度口にしたら忘れがたい風味をもつ美肴。
〆しめさば、鯖寿司、サバの切り身の汁物や焼き魚として賞味すれば、後口の味わいに深い印象を残す。
サバを語らんとする者は、ともかくも若狭春秋のサバの味を知らねば論じられない。
春と言っても、3月ものは未だチト尚早、4月ものは脂の乗り塩梅が申し分ない。
とあるので、産卵直前の脂の乗った春サバのことを語っているのだと思われます。
サバの脂質には、多価不飽和脂肪酸であるEPA(エイコサペンタエン酸)と、DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれています。
EPAは、「動脈硬化予防」、「高脂血症予防」、「コレステロール値の改善」、「血流改善」などの効果が期待できます。
DHAは、「記憶力・判断力向上」、「血流改善」、「視力回復」、「アレルギー症状の緩和」などの効果が期待できます。
EPAとDHAの相乗効果により、脳梗塞や心筋梗塞などの予防に効力を発揮すると考えられます。
サバは、ビタミン分や鉄分も豊富です。
血合い肉には鉄分を始め、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2などのビタミン群も多く含まれます。
血合い肉を食べることで、貧血の改善や美肌効果が期待できます。
サバは鮮度落ちが特に激しい魚です。
新鮮なサバは目が澄んで、エラは赤紅色。
腹が硬くて締まった感触のものが新鮮です。
大型のサバの方が、脂肪の乗り具合が良いです。
調理の際に、臭みを消したり、吸着させる工夫をしましょう。
特徴
サバを食べると発疹やじんましんが出たり、悪心や嘔吐、下痢症状が出たりするときは、俗に言うところの「鯖アレルギー」です。
サバにはヒスチジンというアミノ酸が含まれており、体内に持つヒスタミン産生菌がヒスタミンを生成します。
ヒスタミンが魚の体内に溜まっており、なんらかの誘引原因があると、それがアレルギー症状を引き起こします。
保存環境の影響で鮮度が落ちると、ヒスタミンが増大し、酷い時にはアナフィラキシーショックに陥ることがあります。
サバの鮮度を見るには、前述した通り、「体色が鮮やか」、「目が澄んでいる」、「エラが赤紅色である」などで見極めましょう。
サバは、身全体のおよそ20%が血合いです。
血合いには鉄分が豊富に含まれており、これを積極的に食べることで、脳の老化予防や動脈硬化の予防、脳梗塞の予防などが期待できます。
DHA含有量は、同じ青魚であるイワシやサンマよりも多いです。
身体機能が既に構築された成人の健康にはEPAが必須、脳が作られる成長段階の乳幼児にはDHAが必須だと言われています。
種類
サバはスズキ目サバ亜目サバ科サバ属に分類される魚の総称です。
国外では、主にノルウェーから輸入しています。
国内では、茨城県、千葉県、東北三陸地方や静岡県、長崎県などで獲れます。
一般流通のサバの種類には、「真サバ」と「ゴマサバ」、ノルウェーなどからの輸入の「太平洋サバ(ノルウェーサバ)」が挙げられます。
ブランド価値の付くものでは、「清水サバ」、「関サバ」などが有名です。
レシピ
サバの味噌煮
臭みも消え、コクのある旨味のあるサバの味噌煮はご飯のおかずの定番中の定番ですね。
カルピスを入れて更にまろやかにする方法や、余ったサバの味噌煮をリメイクしたサババーグも美味しそう。
鯖寿司
しめ鯖の酢加減と酢飯の量がポイント!
寒い時期には多少は日持ちがするため、おせち料理や、人を招いたときに出しても見栄えがしますね。
ちょうど良い酢加減が、格好のお酒のおつまみにも。
サバ【鯖】 豊富なDHAは脳の栄養素。海馬が活性し記憶も明晰に まとめ
「秋サバは嫁に食わすな」と言われるほど美味しくて栄養があるサバ。
豊富に含まれるEPAとDHAの相乗効果で、脳内の海馬が活性化され、「記憶の向上」や「学習能力のアップ」、また、EPAとDHAの血流サラサラ効果により、脳梗塞や心筋梗塞などの予防に効力を発揮すると考えられます。
血合いは生臭く食べにくいですが、新鮮なサバを購入し、美味しく食べられるように一工夫するのも良いでしょう。
但し、何らかのアレルギー症状がある方は食べるのはやめましょう。