「ラッキョウ」とは、ネギ属の多年草及び野菜のことを指しています。
中国、ヒマラヤ地方が原産で、ラッキョウの漢字表記「辣韮」は「辛辣な味を持つニラ」の意味です。
寒さに強く暑さに弱い多年生植物のラッキョウは、鱗茎(短い茎の周りに養分を蓄えた多くの葉が厚みを増して重なり合い球形になったもの)が肥大したものです。
ラッキョウの花は淡い紫色の小さな花です。
ラッキョウの花は鳥取市の市花でもあり、鳥取砂丘のラッキョウ畑にはラベンダーにも似た美しい紫色のラッキョウの花が咲き誇り、収穫前のひととき(8月に種をまき、5月に収穫される)、通りかかる人々の目を楽しませてくれます。
昔は、収穫前のラッキョウに十分な栄養を溜めるため、咲いた花を摘んでいました。
現在では、品種改良とともに土壌改善も進んだため、花を咲かせてから収穫しても美味しいラッキョウが獲れるそうです。
ラッキョウは、古代の医学書にも取り上げられるほど薬効が高く、別名「畑の薬」とも言われています。
中国では、既に紀元前には薬として利用されていました。
日本に伝わったのは平安時代。
ラッキョウが食用にされ始めたのは江戸時代からです。
特有の強い香りと辛みは薬味として最適です。
たまり漬けのラッキョウをご飯のお供にしても良し、また、福神漬とともにカレーライスの付け合せには欠かせない存在となっています。
食材データ
種類:根菜類
旬の季節:一年中
主な効能
疲労回復
痛みや肩こりの予防
狭心症、心筋梗塞の予防
栄養成分
ラッキョウは鱗茎が肥大したものです。
地下茎ですが、広義では根菜類に分類されます。
ニラ、ニンニク、ネギ、タマネギと同じくネギ属の野菜で、同じような薬効があります。
タマネギにも含まれる「硫化アリル」成分特有の強い刺激臭と辛味をラッキョウも持っています。
硫化アリルはビタミンB1(乳酸タンパク等の疲労物質の分解作用)の吸収を助けるので、ラッキョウを食べることで疲労回復、肩凝り及び凝りによる痛みの軽減が期待できます。
ラッキョウに含まれる硫化アリル化合物の「ジアリルスルフィド」がガン発生を抑制すると言われます。
硫化アリルには血液凝固を遅らせ、血液の流れを良くする働きがあり、動脈硬化や心臓病の予防に役立つとされます。
更に、身体を温めて発汗を促す、殺菌作用を持つ、という作用もあります。
風邪症状や発熱時に効果的とされます。
また、消化液の分泌を高め、食欲を増進させる働きもあります。
ラッキョウはゴボウの3倍以上の食物繊維を含んでおり、腸内環境を整えてくれます。
因みに、咳と痰が出て胸と背が痛み、呼吸の深さと数が異常に増す症状の時に使われる漢方薬に、括呂実(カラスウリ)と薤白(ラッキョウ)を使用した「括呂薤白白酒湯(かろがいはくはくしゅとう)」というものがあります。
さすが、別名「畑の薬」と言われるだけのことはありますね。
前述しましたが、ラッキョウに含まれる硫化アリル成分には疲労回復、感染症予防、動脈硬化予防、食欲増進等の多岐に亘る健康効果が期待できます。
ですが、硫化アリルは刺激物でもあり、過剰摂取すれば胃腸を刺激して腹痛を引き起こしたり、酷い場合は貧血を起こすケースもあります。
健康目的で食べる際は、ラッキョウ1日3~4粒で留めておきましょう。
特徴
ラッキョウは栽培される土質を選びませんが、砂質土壌で栽培することにより、良質のラッキョウが収穫できます。
外皮に傷が無く丸みを帯びており、白くて硬く艶のある粒ぞろいのラッキョウが良品です。
泥付きラッキョウはすぐに芽が伸びてしまうため、早めに使いきりましょう。
健康効果が謳われることの多いラッキョウですが、栄養価は低く、カロリーは高いので食べ過ぎには気をつけましょう。
食後の口臭対策が欠かせません。
甘酢漬けが一般的なラッキョウの調理法ですが、ほかにも醤油漬け、蜂蜜漬け等があります。
水溶性食物繊維が豊富ですので、漬け汁も捨てずに摂取しましょう。
独特の刺激臭と辛味の元である硫化アリルは熱に弱く、水に溶ける性質があります。
効果的な摂取方法は生で食ベることです。
種類
日本では宮崎県、鳥取県、鹿児島県等で生産されます。
ラッキョウの種類には「らくだ」、「八房」、「九頭竜」、「玉らっきょう」があります。
レシピ
ラッキョウの甘酢漬け
ご飯のお供に。
福神漬けと一緒にカレーライスの付け合せに。
島ラッキョウ
ネギに似た強い辛みがある。
塩漬けにして鰹節をかけて食べるほか、天ぷら、玉子とじにも使われる。
ラッキョウは「牛肉の甘辛炒め」や「パスタの隠し味」としても使うことができ、シャリシャリした食感を楽しみながら、美味しく食べることができる。
ラッキョウ 血流改善効果を含む高い薬効食材。別名「畑の薬」 まとめ
高い薬効があるため、別名「畑の薬」とも呼ばれるラッキョウ。
食物繊維を豊富に含み、腸内環境を整えます。
ラッキョウに含まれる硫化アリルが疲労回復、感染症予防、動脈硬化予防、食欲増進等に効果的に働きかけます。
ですが、硫化アリルは刺激物でもあるため、1日3~4粒で留めておき、大量に食べることは避けましょう。