線路の置石や踏切での立ち往生|損害賠償事例

踏切で自動車が立ち往生してしまったことはありますでしょうか。
よくニュースでもみる自動車の踏切内立ち往生ですが、列車と衝突してしまうと多額の損害賠償金を支払わなくてはならないということはご存じの方も多いでしょう。

また、線路に置き石をした中学生なんていうニュースも耳にしますが、これは悪戯では済みません。
自動車などが踏切内で立ち往生してしまった場合と同じく、線路の置き石にも列車往来危険罪により重い刑罰に処されます。

さらに、列車往来危険罪は重い刑だけでなく損害賠償金の大きさに驚くのではないでしょうか。
小学生が電車をみたい為に線路に置き石をして多額の損害賠償金の支払いを命じられたこともありました。
小学生ですので刑務所ではなく、児童相談所へ書類送致ということになりますが、たとえ子供であっても親が支払うのですから損害賠償金は免除されません。

列車往来危険罪での賠償金は高額であるというのは聞いたことがあるとは思いますが、いったい幾ら位の金額なのでしょうか。
今回は損害賠償の事例について見ていきましょう。

列車往来危険罪

刑罰について少しおさらいしておきましょう。
刑法125条1項、「鉄道もしくはその標識を損壊し、またはその他の方法により、汽車または電車の往来の危険を生じさせた者は、2年以上の有期懲役に処する」
これは列車往来危険罪の刑罰です。
線路上の置き石、踏切内での立ち往生、線路内侵入、鉄道運行に必要な設備の破損等は全て列車往来危険罪に問われます。

危険行為による結果が最悪の場合「死刑または無期懲役」の判決が下されることもあります。
列車往来危険罪についてはこちらの記事を参考にしてください。

列車往来危険罪|線路に置き石で死刑または無期懲役

線路上の置石事故による損害賠償事例

京阪置石脱線事故

1980年2月20日、京阪電鉄京阪本線で列車の先頭から2両目までが脱線し、民家に突っ込んで乗客104名が負傷するという大事故がありました。
調査によると線路上にコブシ大の置き石があり、そこを通過した列車が脱線したといいます。
この石を置いた中学生5人組のうち4人は犯行を認めましたが、うち1人は「現場に居たが置き石はしていない」と主張しました。
京阪電鉄は犯行を認めた4人に対し、それぞれ和解金として840万円の損害賠償金を支払うという条件で和解しましたが、うち1人は支払いを拒否したため提訴しました。

京阪電鉄の被害総額は約1億6000万円。
そのうち京阪電鉄が受っとった保険金は約5000万円。
置き石はしていないと主張した1人に対する電鉄側の訴訟の内容は被害総額から保険金を除いた約1億1000万円という多額の損害賠償請求でした。
和解金を拒否したことでこんなに高額請求が来るなんておもってもみなかったのではないでしょうか。
結局、裁判は最高裁までいったものの最終的には他の4人と同様に和解金として840万円の支払いを命じられました。

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1995年には小学生が置き石をして大分県豊肥線の脱線事故が発生しました。
小学生だったため、児童相談所へ送致となりましたが、賠償金の判決では450万円を支払うよう命じられています。
都心部の京阪電鉄と地方の豊肥線では乗客の数も違うでしょうから、その差が金額にも表れています。

踏切内で自動車が立ち往生した時の損害賠償事例

踏切

自動車を運転中にも列車往来危険罪に問われることがあります。
その中でも最も多いのが踏切内での自動車の立ち往生でしょう。
踏切では車が道路を踏み外したり、前の車と衝突したり、エンストして動けなかったりとあらゆる危険が想定されます。

踏切内で自動車が立ち往生しているところに大型トラックが衝突を回避するためにハンドルを切ったところへ通過中であった4両編成の電車と衝突するという大事故がありました。
この衝突事故による損害賠償金は1両目の廃車費用と残り3両分の修理費として約9000万円。
そして、事故の復旧に必要な人件費と乗客の振り替え輸送代を含めて約2000万円。
合計1億1000万円という高額な損害賠償金を命じられました。

電車と自動車の衝突は大きな事故になりますし、車両の破損も大きいため損害賠償金が2億円を超えることもしばしばあります。
これを避ける方法を次に解説します。

賠償責任を負わない為に必要なこと

トラック衝突事故

それは道路交通法を順守することです。
道路交通法33条では「踏切内で立ち往生した場合、運転手は速やかに電車に停止を促さなければならない」ということが義務付けられています。
もし、踏切内で立ち往生したとしても設置されている非常用通報ボタンを速やかに押し、鉄道会社に非常事態の報告ができていれば損害賠償責任に問われることはありません。

電車は目視してからでは止まりません。
この道路交通法を守らず、衝突してしまった場合は損害賠償請求されます。

あわてずに非常用通報ボタンで鉄道会社に知らせましょう。

線路の置石や踏切での立ち往生|損害賠償事例 まとめ

京阪電車置石脱線事故現場

電車の事故による損害賠償金は高額です。
線路の置き石でも多額の損害賠償金を請求されますので絶対にしてはいけません。

線路の置き石や踏切内の立ち往生だけでなく、飛び込み自殺でも数億円の損害賠償を請求された事例もありますので立ち入り禁止の線路内には近づかないようにすることが大切です。

線路内への飛び込み自殺による損害賠償責任についてはこちらの記事を参考にしてください。

電車飛び込み自殺による人身事故に対する損害賠償責務の相続

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