ニラ【韮】|スタミナ増強! 同株から何度も収穫できる強い生命力

ニラはネギ属に属する多年草で、健康促進効果や疲労回復効果のある緑黄色野菜です。

東アジア地域が原産地で、中国西部、ベトナム、インドなどでは紀元前から栽培されてきました。

日本には、弥生時代に中国経由で伝来したとされています。

古事記には「賀美良(かみら)」、万葉集には「久久美良(くくみら)」と呼ばれて親しまれ、これらの語源が変化して現在の「ニラ」という呼び名になったと思われます。

ニラにはとても独特な強い匂いがあり、禅宗などの精進料理では五葷(ネギ、ニンニク、ニラ、ラッキョウ、ハジカミ(ショウガ、山椒))の一つに入るため、食べることを避けます。

この匂いは硫黄化合物の「硫化アリル(アリシン)」からきています。

ニラは、暑さ寒さにも強く、栽培も容易く、春に出た葉を根元近くから刈り取っても、すぐまた次の新しい葉が伸び、同じ株から年に3~4回ほど収穫できる強い生命力を持っています。

収穫後、株のまま越冬し、翌年も収穫できます。

どんどん大きくなっていく株を株分けして、数年間も収穫できます。

今では食材として当たり前に扱われているニラですが、昔は薬膳料理や薬として用いられていました。

因みに、戦国武将「石田三成」の最後の食事が「ニラ雑炊」だったと言われています。

関ヶ原の合戦後、捕らわれの身となった石田三成が「体調を崩したのでニラ雑炊が食べたい」と言うので、その願いを汲んだ田中吉政がニラ雑炊を与えたそうです。

ニラがスタミナ食だという認識は当時からありましたので、「ニラ雑炊を食べ、気力体力を十分に補って再び合戦の場に!」というのが、石田三成の切なる本当の願いだったのではないでしょうか?

また、中国には「雨を冒し韮を剪る(あめをおかしニラをきる)」という故事があります。

「後漢の郭林宗(かくりんそう)の家に、ある豪雨の夜、友人が訪ねてきた。郭林宗は大変喜び、豪雨をものともせずにニラを切り、饅頭を作って友人をもてなした」ことから、友情に非常に厚いことの喩えとして使われます。

ニラが古くから栽培されてきたアジア圏の国とは違い、ヨーロッパではニラは好まれず、ほとんど栽培されません。

 

食材データ

種類:葉菜類
旬の季節:

主な効能

強壮作用
胃腸病、生理不順、生理痛の改善

※効能は栄養成分などから一般的に効果があると考えられているものを記載しています。効果を保証するものではありません。
 また実際にこれらの症状がある方はまず医師に相談してください。

 

栄養成分

韮

ニラを食べると、血液の流れが良くなり、体を温めますので胃腸の働きも良くなります。

常食すると、冷え性や神経痛などの改善に効果的です。

抗酸化作用を持つβ-カロテンやビタミンC、若返りのビタミンと呼ばれるビタミンEなどのビタミン類をはじめ、カリウムやカルシウムなどのミネラル類も豊富なニラは、ご存じの通りの格好のスタミナ食材。

疲労回復や免疫力UP、滋養強壮に働きかけます。

独特の強い匂い成分「アリシン」は、硫化アリルの一種です。

アリシンはビタミンB1の吸収を助け、食欲増進効果と感染症を予防する働きがあります。

アリシンには血液をサラサラにする働きもあり、漢方で言うところの「瘀血(おけつ)」…つまり、体内の血液の流れが滞ることで起こる様々な悪い症状(顔色が悪い、生理不順、下腹部膨満感など)を改善してくれます。

瘀血にはその他にも様々な症状があり、肩こり、頭痛、めまい、耳鳴り、動悸、吐血、下血、鼻血なども含まれます。

血液を凝固させ、止血する効果のあるビタミンKも、ニラには豊富に含まれています。

大腸菌、酵母菌などに対して抗菌作用を持つニラは、大腸疾患を予防する効果があると考えられています。

強烈なニラの匂いが嫌でなければ、ジューサーで絞ったニラの生汁を一日におちょこに1〜2杯飲むという健康法も考えられます……が、胃腸虚弱を改善する目的ならば、ニラ雑炊などを努めて食べれば良いでしょう。

「ニラの卵とじ」、「ニラレバ炒め」などは、栄養バランスも良く、滋養強壮に効果的な調理法であり、速やかな疲労回復や、虚弱体質を改善したい方、貧血や低血圧の方にもお勧めです。

 

特徴

ニラ

栄養価が高く、スタミナのつく食材として昔から重用されています。

代謝や免疫機能を高めて、疲労回復に役立ちます。

ニラの整腸作用は昔から知られており、特に下痢症状に効くとされ、症状が重い時には「ニラの煮汁を飲むと良い」とされます。

漢方では、種子を韮子(きゅうし)という生薬で、腰痛や頻尿に。

葉は、韮白(きゅうはく)という生薬で、強精や強壮作用に使います。

加熱すると独特の強い匂いが和らぎますが、加熱し続けることで色や風味が落ちます。

ニラに含まれるβ-カロテンは脂溶性のため、油で調理した方が効率よく摂取できます。

ニラは、中華料理では、炒め物、ニラレバ炒め、焼きそば、餃子、ニラ饅頭や点心、春巻き、ニラの卵とじなどに使われています。

韓国料理では、キムチやチヂミの具として利用されています。

購入の際は、肉厚で葉の幅が広いもの、濃い緑色で艶があり、葉先が綺麗に真っ直ぐに伸びているニラを選びましょう。

ニラと形状や色が酷似したスイセンの葉を間違えて食べて中毒症状を起こした事例があります。

 

種類

ニラの花

ヨーロッパでは、ニラはほとんど栽培されていません。

国内では、高知県、栃木県、茨城県、群馬県、宮崎県、北海道などが産地です。

ニラには「葉ニラ」、「黄ニラ」、「花ニラ」の3種類があります。

「葉ニラ」は緑の葉を食べるニラのことです。

「黄ニラ」は、軟白栽培(芽が出る前のニラの根株に覆いを被せ、光制限して軟白化)したニラのことです。

「花ニラ」は、ニラの花茎を収穫したものです。

 

レシピ

ニラレバ炒め

これぞスタミナ食、ニラレバ炒め。

豚レバーの臭みを除去するのが肝心。

豚レバーの代わりに、鳥のむね肉でも意外に美味しい。

ニラレバ炒め

 

チヂミ

卵を入れずに作って、サクサクもっちりと。

キムチを入れたり、魚介類を入れたり、ジャガイモを擦り下ろして入れたりとバリエーションに富むチヂミのレシピ。

チヂミ

 

ニラ【韮】 スタミナ増強! 同株から何度も収穫できる強い生命力 まとめ

言わずと知れたスタミナ食。

ニラの独特で強烈な匂いの元は「硫化アリル(アリシン)」からきています。

「アリシン」はビタミンB1の吸収を助け、血行促進、免疫力UP、食欲増進に働きかけます。

血液の流れをサラサラにする効果もあり、漢方でいう「瘀血」の症状を改善します。

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