ナス科ナス属の植物及びその果実である「ナス」の原産地はインド東部説が有力で、インドでは有史以前に栽培されており、その後、およそ紀元前5世紀にはビルマ経由で中国へ、ヨーロッパへは13世紀頃に、日本には奈良時代に中国経由で伝わったとされています。
世界中で、大きさや色や形も多種多様なナスが栽培されています。
平安時代に編纂された文献「延喜式」には、ナスの栽培法や漬物の作り方の記述があります。
初夢の縁起物として有名なのが「一富士、二鷹、三茄子」ですが、この由来は徳川家康公の言葉が発祥です。
家康公が駿府に隠居することを決めた際、愛妾が「大きな江戸をさしおき、なぜ小さな駿府に御所を移されるのですか?」と訊ねたところ、「駿河には一に富士山がある、これは三国(日本・中国・天竺)の中でも唯一の名山である。二に鷹が良い(ので鷹狩りが思う存分に楽しめる)。三に茄子が名産で、ほかより早く食べられるうえ、まことに美味である」と家康公が答えたそうです。
これが、「一富士、二鷹、三茄子を夢に見れば、諸々の全ての事が大吉になる」という縁起物の始まりです。
また、お盆の期間中、マッチ棒や折った割り箸で四本足を作ってナスに差し込み、歩みの遅い牛に見立てた動物状に作るならわしは、「故人の霊魂がナスの牛に乗って、この世からあの世へ帰還する」という考え方からきています。
歩みの遅いナスの牛に乗れば、この世からあの世へ帰還するのがゆっくりであり、この世の供物を牛に載せて持ち帰れるように、との意味が込められています。
食材データ
種類:果菜類
旬の季節:夏~秋
主な効能
動脈硬化、高血圧の予防
虫歯、歯槽膿漏の予防と改善
※効能は栄養成分などから一般的に効果があると考えられているものを記載しています。効果を保証するものではありません。
また実際にこれらの症状がある方はまず医師に相談してください。
栄養成分
「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざがあります。
この解釈には二通りあり、一つ目は「秋ナスは大変美味しいので、憎い嫁に食べさせるなんて勿体ない」という嫁を憎む姑の心情を表しています。
二つ目は「ナスを食べると体を冷やす。たくさん食べれば必ず腹痛が起き、下痢をする。胃腸や子宮も冷えるので、流産したら大変だ」という嫁の体を案じる姑の心境を言い表しています。
体を冷やす働きがあるナスは夏バテ予防や暑気払いに効果的ですが、寒い時期に冷え性や低血圧の方が食べる際は、体温を上げる効果がある塩や、発酵食品で免疫力を高める効果のある味噌を加えた調理法で食べると良いでしょう。
ナスの成分の90%以上は水分です。
栄養価はさほど高くありませんが、ビタミンCやビタミンP(ポリフェノールの一種。ヘスペリジン、ルチンなど)が多く含まれています。
ビタミンCもビタミンPにも抗酸化作用があります。
ビタミンPが出血性の疾患を予防し、生活習慣病の予防や改善に働きかけます。
「止血のビタミン」と呼ばれるビタミンKも豊富です。
骨の健康にも深くかかわるビタミンとして知られています。
鮮やかな青紫色の色素である「ナスニン」は、ポリフェノールの一種です。
ポリフェノールの優れた抗酸化作用により、体の老化や生活習慣病(動脈硬化など)に効果があると期待されます。
ナスニンにはコレステロール値を下げる効果もあるとして注目されています。
ナスに含まれるプロテアーゼインヒビターと呼ばれる物質は、炎症や痛みを抑制する作用があります。
ナスのヘタや茎の黒焼きの粉を歯磨き粉にし、虫歯や歯槽膿漏予防にするなど、ナスの効能は外用薬にも利用されています。
特徴
日本で栽培されるナスの大部分は果皮が紫色か黒紫色ですが、ヨーロッパやアメリカなどでは、白、黄緑、明るい紫、縞模様などのナスも多く栽培されています。
ヘタの部分に鋭いトゲが生えている場合があり、ナスが新鮮であるほど鋭くなっています。
淡白な味のため、ほかの食材と合わせやすいです。
様々な調理法(挽肉との相性が良い)があり、油を吸収しやすい食材です。
ナスの皮には「ナスニン」というポリフェノールが多く含まれているため、皮ごと食べるのが良いでしょう。
また、調理の際には、切ってすぐに水にさらしておくとアクが抜けます。
種類
世界では、中国、インド、エジプトなどが生産地です。
国内では、福岡県、高知県、熊本県、茨城県、群馬県などです。
品種は、世界では1000種類もあるといわれており、国内では180種類を超えています。
「賀茂ナス」、「水ナス」、「大和丸ナス」、「博多ナス」、「大長ナス」、「佐土原ナス」などがあります。
レシピ
焼きナス
甘味が強く水気の多い、大きくて肉厚なナスを使えば食べた時の満足感が強い。
フライパンを使用するほか、レンジ、オーブン、トースターなどを利用すれば簡単に作れる。
熱々の焼きナスに鰹節と少量の醤油をかけて食べよう。
麻婆茄子 (マーボーナス)
ナスは油との相性が良く、挽肉とも良く合う食材。
だが、火にかける時間が長すぎると油を吸収し過ぎてカロリー過多に。
更にはナスの水分のほとんどが無くなってしまう。
辛めに味付けすると、ご飯が進む。
ナス【茄子】 色素成分ナスニンがコレステロール値を下げてくれる まとめ
ナスの成分の90%以上は水分ですが、ビタミンC、ビタミンP(ポリフェノールの一種。ヘスペリジン、ルチンなど)が多く含まれています。
双方の成分とも抗酸化作用があるため、生活習慣病の予防や老化防止に期待できます。
ビタミンPは出血性疾患を予防します。
「止血のビタミン」と呼ばれるビタミンKも豊富です。
ポリフェノールの一種である鮮やかな青紫色色素の「ナスニン」が、優れた抗酸化作用で老化や生活習慣病(動脈硬化など)に働きかけます。
「ナスニン」にはコレステロール値を下げる効果もあるといわれています。