ナポレオンといえば「私の辞書に不可能はない」の名言が有名です。
数々の功績を打ち立て、英雄のイメージをほしいままにした人物ですが、時の流れを越えて残る、不思議な逸話があります。
116年後の不可能を覆したナポレオンの手紙に、好奇心がくすぐられてしまいます。
ナポレオンのエジプト遠征
1798年に、イギリスに打撃を与えるべくエジプト遠征へと乗り出したナポレオン。
フランス軍は、わずか三週間でエジプトをほぼ征服という状態にまでこぎつけました。
しかし、イギリス艦隊にフランス艦隊を壊滅させられたことから、補給や退路の道を絶たれてしまうことに。
その後、エジプトでのペスト流行に加えて、フランス本国が諸外国に攻め込まれ危うくなったことから、1799年に帰国を決意します。
第一次世界大戦中に届いたナポレオンの手紙
第一次世界大戦中、オスマン帝国軍がクリミア半島を砲撃し、ロシア帝国との国交が断絶される事態が勃発。
ここで、抗議の声をあげたのがイギリスとフランスの両国でした。
しかし、抗議は無視されることに。
英仏は連合艦隊などを結成し、オスマン帝国軍と敵対することになります。
1915年、エジプトとパレスチナの中間に位置するシナイ半島の砂漠で、あるイギリス部隊が敵兵に包囲されてしまう事態が起こりました。
水や食料、弾薬などの補給もままならないため、部隊全滅の危機に直面します。
このとき、部隊の指揮をとっていたのは、ケイザル大尉という人物でした。
餓死か、全滅覚悟の突撃か。
究極の選択を目の前にした大尉のもとに、部下が一人の老人を誘ってきました。
年の頃100歳をも越えそうな老人。
「ケイザルという人物に必ず渡さなければならない手紙を預かっている」と、大尉に一通の手紙を差し出します。
たしかに「ケイザル」という人物に宛てられた手紙。
差出人の名前を確認すると、驚くことに、かの有名な「ナポレオン・ボナパルト」ではありませんか。
大尉の思考は、一気に混乱に陥ります。
ナポレオンのエジプト遠征といえば、100年以上も前のできごとです。
116年の時を越えて、なぜ自分の手元にこの手紙が届くのか・・・
ナポレオンからの手紙の内容とは
時を越えた手紙に、半信半疑のケイザル大尉。
老人の「あなた以外には絶対に見せてはならないといわれ、今日まで大切に保管してきたのです!」という真剣な訴えを受けて、封を開けて中を確認することにしました。
そこには、以下のような内容が記されていました。
親愛なるケイザル。
この手紙は、現地の子どもに預ける。
お前たちがいる陣地の下には、弾薬と食料が埋めてあるので速やかに掘り出せ。
そして、エジプトとの国境に向かうのだ。
国境へのルートは3つ存在するが、砂漠の中央を通るルートを使え。
飲み水が得られる水穴の場所を記した地図も同封しておく。
無事に脱出できることを願って。
ナポレオン・ボナパルト
その手紙を読んだとき、ケイザルは、自分が名前を引き継いだ曽祖父の存在を思い出しました。
同じケイザルという名前の曽祖父が、ナポレオンと共にエジプト遠征に参加し、戦死した話を幼いころに聞いたことがあったのです。
この手紙はナポレオンが曽祖父に宛てたものなのでは!
そう直感したケイザル大尉は、一筋の光明にすがる気持ちで、手紙に記された場所を掘り返します。
食料や弾薬なければ、どのみち死ぬことは決まっているのです。
はたして、手紙のままに補給物資は現れました。
100年以上も昔に埋められたものとは思えないほどの、万全な状態で。
劣化した様子がまったくない食料や弾薬を前に、奇跡を体験したイギリス部隊でした。
しかし、奇跡はこれだけでは終わりませんでした。
手に入れた食料と弾薬のおかげで、包囲網を突破することに成功したイギリス軍は、国境を目指します。
手紙に記された砂漠の中央ルートを選び、進み続けたその先には、100年以上前の地図に示されていた水穴が変わらずに存在していました。
飲み水の補給もできた部隊は、無事に援軍と合流を果たし、全滅の危機から生還することができたのです。
手紙を届けた老人
老人の話を詳しく聞いたところによると、ナポレオンから手紙を託されたのは、彼が15歳のときだったということでした。
すぐに、当時のケイザルのもとへと届けようしましたが、すでに部隊は出発してしまい、1915年まで手紙を預かり続けることになったのです。
手紙を届けられなかったという事実は、老人の心の中にとどまり続け、100年以上のときが流れてしまいました。
そして、時を越えてめぐり合った、もう一人のケイザル。
今度こそという一心で手紙を渡すことに成功しました。
そのときの老人の年齢は130歳。
手紙を無事に届けるまでは、安らかに眠ることすらできなかったのかもしれません。
ナポレオンの手紙~100年以上前の手紙がイギリス部隊を救う!~ まとめ
かつてナポレオンが敵として戦ったイギリス。
補給を絶たれ、苦い思いをさせられた国は、第一次世界大戦では、フランスと連合を組んでいました。
イギリス部隊を救ったナポレオンの手紙、ロマンですね。