生涯未婚の男女が増えているというのは近年ではよくいわれていますが、その中でも生涯未婚の男性が女性を上回っています。
男性と女性の人数にそう開きがない日本においてなぜこのようなことが起こるのでしょうか。
男性が力を失ったのか、はたまた女性に魅力がなくなったのか?
ここでは生涯未婚の男性が多い理由を考えてみましょう。
誘導型性欲
聞きなれない言葉ですが、武田邦彦先生のブログで知りました。
一般的に動物はオスに性欲があるため、オスの方が美しいものが多いといいます。
これは性欲のあるオスが働きかけてメスの性欲をかきたてるのだそうです。
このことからオスが出生率を決定する鍵となります。
しかし、人間の男性は性欲を失っているというのです。
これを誘導型性欲といって、女性が着飾って男性に働きかけることで男性の性欲が初めてわくというのですから他の動物とは真逆です。
この理屈からいうと男性には性欲がないので、女性が出産する気にならないと男性に働きかけることはしませんから、出生率が落ちている原因は女性にあるというものです。
鍵を握っているのは女性なのですね。
生涯未婚率
少子化問題を抱える日本では重要な課題である生涯未婚率というのを調査しています。
この生涯未婚率は「50歳の男女のうち結婚歴がない人の割合」を示すものです。
1990年の調査によると男性5.6パーセント、女性4.3パーセントと大きな差はないが、2015年の国勢調査では男性23.4パーセント、女性14.1パーセントと10パーセント近くの差が生まれています。
また、全体としては3~4倍も増加していることがわかります。
女性に魅力がなくなったわけではありません。
これは誘導型性欲の話でいうと、女性に結婚しようという気持ちがなくなったからなのでしょうか。
この世代の価値観
ここで異論があります。
生涯未婚率は50歳の男女を調査したものということです。
50歳を過ぎてから最初の結婚をする人の割合が低いので、50歳で未婚であれば生涯未婚としているのはわかります。
しかし、この50歳というのが曲者です。
45歳から50代にかけての日本人はどちらかといえば「お金はなくても幸せならよい」とか「お金は汚いものだ」という考えがあるような気がします。
実際、彼らが幼少の頃のドラマや映画などはそういったテーマが多く、当時でいう新しい価値観だったのかもしれません。
この価値観から難しい人間関係をこなしていくよりも、ひとりでいいから人生を自分なりに楽しもうという人が多いのではないでしょうか。
また、この年代はバブル後期から崩壊を経験しています。
バブル末期では色々な遊びが流行り、その後は結婚以外の新しい男女関係も生まれています。
男女それぞれが、楽しければいいという考えは男性にしてみれば都合のよい解釈だったのかもしれません。
結婚観と責任感
昔の人の結婚観というのは「責任」という言葉をよく使います。
「これだけ遊んだんだから責任をとって結婚しなさい」なんていうのがそれです。
しかし、結婚以外の新しい男女関係が生まれると男性はこの「責任」を放棄します。
女性も結婚したくない人はいるでしょうが、男性の責任感が変化したといえるのではないでしょうか。
この責任感の変化は「強さ」にも表れているように思います。
今も昔も女性は強い男性に惹かれます。
この「強さ」の意味合いは変わってきていると思いますが、やはり責任感を持った男性に惹かれるのだと私は思います。
女性にとってみれば強い男性が現れないから男性に働きかけないのではないでしょうか。
再婚男性と初婚女性
では、強い男性に女性は集まるのでしょうか。
一夫多妻制なら強い男性のところへ女性が集まるので、未婚の男性は結婚相手を選ぶ機会を失うので男女の未婚率の差が発生して当然です。
しかし、日本は一夫多妻制ではありませんよね。
ここで男女の未婚率の差の理由として鍵となるのが「再婚」です。
近年、結婚した男女3組に1組が離婚するといわれる世の中です。
問題は、「再婚男性と初婚女性」のカップルと「再婚女性と初婚男性」のカップルの割合です。
これが同数なら結婚歴の男女差はなく、「強い男性に女性が集まる」ということは「無い」といえます。
しかし、実際は2016年度の調査によると「再婚男性と初婚女性」が9.7パーセント、「再婚女性と初婚男性」が6.9パーセントと、1.4倍の違いがありました。
これは過去40年以上にわたり、続いていたというのですから差が開くわけです。
「再婚男性と初婚女性」の結婚の方が多いという状況は、強い男性に女性が惹かれているといってもいいのではないでしょうか。
また、女性が働きかけようと思う男性は、既婚であるということもあるでしょう。
これは既婚男性に魅力があるとも言えますが、やはり「責任」を全うできる男性に惹かれるからではないでしょうか。
結果的に「責任」を放棄した男性は、結婚しようという考えもなく、また相手を選ぶ機会も失ってしまう、ということが生涯未婚の男性が増え続ける理由というのは聊か強引すぎますか?