ミカン(温州蜜柑)は、ミカン科の常緑低木及びその果実のことです。
日本では「冬には炬燵にミカン」がお決まりのようにアニメや映画にもよく描写されるほど、私達にとっては大変馴染深い果物です。
ミカンは、アメリカやヨーロッパでも「テレビを見ながら手軽に食べられるオレンジ」という意味合いから、「テレビオレンジ」と親しみを込めて呼ばれているそうです。
名前の由来は、「甘い柑橘」から来ています。
漢字で「蜜柑(ミッカン)」と呼んでいたのがいつしか略され、「ミカン」になりました。
ミカンの旬は、10月から1月。
温暖な気候を好む性質があり、主に関東以南の暖地で栽培されますが、柑橘類の中では比較的寒さに強いです。
発祥地はおよそ3000万年前のインド東北部のアッサム地方近辺とされ、その後、ミャンマー、タイ、中国などに伝わっていきました。
「日本書紀」に柑橘の最初の記述があり、それには「垂仁天皇の命を受けた田道間守が橘の実と枝を持ち帰った」とありますが、「タチバナ」なのか「ダイダイ」なのか「キシュウミカン」であるかの詳細は不明です。
その後も中国から「キンカン」などの様々な柑橘が伝来してきましたが、当時は食用というより薬用に用いていたそうです。
最初に日本に食用としての品種のミカンが普及したのは、紀州ミカンでした。
「ミカン舟伝説」で語り継がれた豪商「紀伊国屋文左衛門」の話が有名です。
「紀伊国屋文左衛門が20代の或る年、紀州ではミカンが大豊作だった。収穫したミカンを江戸に運ぼうにも、酷い嵐で運べない。江戸ではミカンが高騰しているが、紀州では安い。ひらめいた文左衛門は大金を借りてミカンを買い集め、ボロ舟を修理して嵐の中を船出し、凄まじく荒れ狂う大波を幾度も超え、死ぬ思いを味わった末、ようやく江戸にたどり着いた。ミカン不足の江戸ではミカンは飛ぶように売れ、紀伊国屋文左衛門は一代で巨万の富を得た」
という有名な伝説ですが、史実ではないとも言われています。
食材データ
種類:果物類
旬の季節:秋~冬
主な効能
風邪予防
ガン予防
血管強化
栄養成分
ミカンには、ビタミンAとビタミンCが豊富に含まれています。
特にビタミンC含有量が多く、ミカン2~3個で1日の必要摂取量を補えるほどです。
ミネラル分(カリウム、カルシウム、リンなど)も含まれています。
柑橘類に含まれる酸味を持つ成分の一種「クエン酸」には、食欲増進効果や、乳酸の生成を抑制し、筋肉痛を防ぐ効果があります。
柑橘系の果物に含まれる「ビタミンP」とは「水溶性ビタミン様作用物質」であり、「ポリフェノールの一種」です。
ビタミンPは、熱や空気に弱く壊れやすいビタミンCを安定させ、抗酸化作用の効果を持続させることができます。
これにより、丈夫な毛細血管を維持したり、老化予防や、高血圧の予防に働きかけます。
温州ミカンに特徴的に含まれている「β-クリプトキサンチン」は、ミカンの橙色の色素です。
「β-クリプトキサンチン」には免疫力を高める効果があるので、将来的にはガン予防に効果的な成分として実証されるかもしれません。
柑橘類に含まれる食物繊維の一種「ペクチン」は、「コレステロール値を下げる」、「便秘を解消する」効果があります。
ミカンの実だけではなく、袋にも含まれているので、「健康だけど、少し便秘気味」という方は、一房ごと食べるのが良いでしょう。
漢方では、ミカンの果肉は「身体をやや冷やす→微寒」の性質があります。
健康時の口の渇きや水分補給に良いですが、ビタミンCと食物繊維が多く含まれているため、風邪気味の方はお腹が緩くなるかもしれません。
「風邪の時は食べてはいけない」とされています。
漢方では、ミカンの未成熟な果皮を干したものを「青皮」、熟した橙々色になった果皮を干したものを「橘皮」、橘皮が時を経て古くなると「陳皮」と呼んで区別し、薬効利用します。
「青皮」は、自律神経症状、精神不安、のぼせ、胸苦しさ、歯ぎしりなどの症状に。
「橘皮・陳皮」は、食欲不振、吐き気、腹部膨満感、胃のもやもや感、喘鳴、咳、痰などの症状に。
「青皮」を使用した漢方薬には「柴胡疏肝湯」があります。
「橘皮」を使用した漢方薬には「釣藤散」などがあります。
「陳皮」を使用した漢方薬には「補中益気湯」、「清肺湯」などがあります。
手作りで「橘皮」を作ることができます。
食べ終わったミカンの皮を、庭やベランダで陰干しして乾燥させれば出来上がり。
お湯を注いで飲めば、胃腸の疲れに効きます。
お風呂に散らして入浴すれば、爽やかな柑橘系の香りでリラックスできます。
皮5個分で入浴すれば冷え性や腰痛、肩凝りなどが改善されるといわれます。
ミカン果汁でマッサージすると、しもやけ防止効果があると言われますが、細かい傷口に柑橘系の汁がジワッと滲みて痛そうですね。
オレンジアレルギーという症状もあるそうですので、ミカンは塗るより食べた方が効果的です。
特徴
ミカンは生で食べるほか、ジュースや缶詰に加工されます。
地域によっていろいろな食べ方をされています。
「焼きミカン」や「冷凍ミカン」など。
学校給食にミカンジュースを出汁代わりにして炊き上げる「ミカンご飯」があるのは、愛媛県の一部の地域です。どんな味がするのでしょうか?
ミカンを食べ過ぎると手の平が見るからに黄色くなる「柑皮症」という症状になります。ミカンの色素「β-クリプトキサンチン」が角質層や表皮に沈着するために起こる現象ですが、一時的なものであり、健康に全く心配はありません。
ミカンを軽く揉むと、ミカンが甘くなります。
箱詰めのミカンを腐らせずに長持ちさせる方法は以下の通りです。
- ミカンの中に傷んだものがあれば、予め取り出しておく
- 大きめのカゴやバスケットを用意
- ミカンのヘタを下にして、並べて置いていく
- 置き終わった1段目のミカンの上に新聞紙を敷き、再びヘタを下にして置いていく
- ミカンを置き終えたら、廊下や玄関などの風通しの良い涼しい場所に常温で保存
種類
中国、スペイン、トルコ、ペルーなどで栽培されています。
国内では、和歌山県、愛媛県、静岡県、熊本県、長崎県などで生産されています。
ミカンの種類は、世界で考えると900種類以上を超えると言われます。
「温州ミカン」、「紀州ミカン」、「ポンカン」、「デコポン」などがあります。
レシピ
ミカンのコンポート
甘味が薄かったり、カスカスして美味しくないミカンにひと手間加えて(白ワイン&砂糖)美味しいおやつに。
不味いミカンも無駄にせずに済む。
ミカンジャム
甘さ控えめにして、パンやクラッカーにつけても良し。
紅茶に入れても上品な美味しさに。
ミカン【蜜柑】 食物繊維が豊富。便秘改善には一房ごと食べよう まとめ
ビタミンAとビタミンCが豊富に含まれ、ミカン2~3個を食べれば、1日のビタミンC摂取量を補えるとされます。
柑橘系の果物に含まれる「ビタミンP」はポリフェノールの一種で、壊れやすい「ビタミンC」を安定させ、抗酸化作用の持続に働きかけます。
これらの相乗効果により、老化予防や高血圧予防、毛細血管の健やかな維持に効果があるとされます。
漢方では、ミカンの皮を干したものが薬効成分になります。