乾燥肌、シミ、ソバカス、皮膚の痒みやイボ等々……
肌トラブルに悩まされている方にとっては、毎日の基礎化粧品(化粧水やクリーム)に活路を見出すことを頼みの綱にされることもあるでしょう。
ですが、それが行き過ぎて、結局、基礎化粧品(コスメ)ジプシーに陥ってしまう。
更にそれが加速し、肌に過大な負担をかけ続け、かえって状況が悪化してしまうことも……
勿論、あらゆる肌質の人にとっても、洗顔後の綺麗な肌に最初に触れる基礎化粧品には、大いに気を遣うところです。
洗顔後の突っ張り感や、乾燥による小皺を防ぐには、まず、(当たり前ですが)肌を乾燥させない事(保湿)が重要になってきます。
そのため、化粧水と一緒に保湿クリームを塗ることは必須事項です。
保湿クリームってそんなに古くからあるの?
昔から、肌に安全性の高い保湿クリームとして、2種類が挙げられてきました。
それは……
- 白色ワセリン
- 馬油クリーム
の2つです。
白色ワセリンは、近年、花粉症予防に有効とのことでピックアップされましたから、記憶に新しいかと思います。
このワセリン、石油を精製してできる油ですが、非常に安全性の高いものなんですよ。
もう一方の馬油クリームも、古来から使われてきた、いわば万能薬とも称えられるものです。
馬油は馬の脂肪の油のことで、「ばーゆ」と読みます。
地方によっては「まーゆ」と呼ばれることも。
馬油の歴史は古く、中国では約4000年前の騎馬民族が戦いで負った傷の治療に用いていたとか。
死んでしまった馬を食用として有効活用したり、馬肉をさばいて余った油を、傷口の治療薬に用いていたわけですね。
日本でも、馬油は古くから火傷、肌荒れ、ひび、あかぎれ、切り傷、痔などの治療薬として使われてきました。
きっかけは、約400年前に中国大陸から渡来した唐の名僧が奈良の都に北上する道中、九州地方において馬油の効用を伝えたことが始まりである、といわれています。
ワセリンと馬油クリームの違いって?
一言でいえば、ワセリンはバリア保湿、馬油クリームは浸透保湿。
といったところでしょうか。
ワセリンを塗布した場合、角質層には浸透せずに皮膚の表面に留まり、そこで油膜を作ります。肌に密着し、肌内部からの水分蒸発を防ぐことでバリアとしての機能を活かします。
一方の馬油クリームは、人が持つ天然の潤い成分である皮脂に最も近い成分の油脂なので、肌に馴染みやすく浸透しやすい、という特徴があります。
しかも、オレイン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、リノール酸、リノレン酸などを多く含んでおり、角質層に浸透した成分が肌の代謝や血行を高め、浸透しながら保湿し、炎症を抑えながら保護してくれます。
馬油って安全なの?
以降は、馬油に特化してお話ししたいと思います。
馬油は、食用馬の全身の脂肪から作られます。
馬の皮下脂肪を原料とする動物性油脂のことで、食用馬を解体する際に、腹や首の部位から採取されます。
冷凍した新鮮な馬の脂肪をミンチにし、蒸気加熱釜で溶かし、ろ過し、不純物などを取り除くなどの数々の作業工程を経て、純度100%の馬油ができあがります。
馬油100%の馬油製品は、防腐剤や安定剤なども入っていません。
通常は固形ですが、融点が30~43℃と低めです。
夏季には容易く溶けてしまうでしょう。
更に、馬油は天然成分であるため、時間が経つにつれ徐々に酸化が進んでいきます。
必ず冷暗所に保管しましょう。
馬油ってどうやって使うの?
元は食材としての馬肉から抽出される成分なので、口に入っても安全です。
人の皮膚に馴染みやすいので、皮膚の弱い方もさほど心配することなく使えます。
漢方を取り扱う病院では積極的に処方される事もあります。
水や化粧水などにほんの少量の馬油を加えて肌に塗り広げていくと、驚くほど広い範囲に使うことができます。
最初は少しべたつきますが、時間が経つと徐々に浸透し、肌に触れると、しっとりとした良い感触が得られます。
但し、つけ過ぎはやめましょう。
馬油おすすめ人気の5選!
馬油を、傷や火傷に塗るだけではもったいないです。
肌荒れや乾燥肌対策として、また、一層の美肌対策や、枝毛・髪の毛の静電気対策としても馬油を活用することができます。
売り上げ上位の5つの馬油を厳選してご紹介しましょう。
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ソンバーユ(尊馬油)
馬油独特の匂いを独自の製法で除去してあります。
無香料タイプのソンバーユは、口中や鼻の中にも気軽に使え、赤ちゃんが使っても安心です。
馬油といえばソンバーユ、と愛してやまない方も多いです。
会社名:薬師堂
URL:http://www.yakushido.com/ -
ピュアホワイト
高濃度の純枠精製法で作られています。
化学物質、合成物質を一切使用していない馬油100%の製品です。
子供の切り傷、火傷、肌の保湿、またマッサージ用にも使えます。
家族の皆からひっぱりだこです。
会社名:北海道純馬油本舗
URL:http://www.junbayu.com/ -
馬の油石鹸
九州・古閑牧場産の純度100%の馬油を販売しています。
クリーンハートの馬油は、ソンバーユの創立者の一人である池田延氏の会社です。
馬油の他、馬油を使った石鹸も販売しています。
馬油石鹸は手間と技術が不可欠である「釜焚きけん化法(枠練り)」によって作られており、なんと、社長が毎日試食して製品の出来を確かめるのだそうです。
会社名:クリーンハート
URL:http://www.cleanheart.jp/ -
ナチュラル馬油
完全放牧で育った馬のたて髪の下層部の脂肪のみを使用している馬油です。
温度と時間に万全の注意を払いつつ、有効成分を丁寧に抽出して作っています。
馬油効果である黄色い色と香りを存分に活かした製品で、赤ちゃんの誕生を手助けする多くの助産師さんからも熱い支持を得ています。
会社名:日本創建
URL:http://www.n-souken.co.jp/ -
純馬油
べたつかず、素早く肌にしみこみます。
朝晩のスキンケアに気軽に使うことができ、乾燥が気になる季節には、顔だけではなく、肘や膝などにも擦り込んで使ってください。
全身の保湿ケアに役立ちます。
会社名:井藤漢方製薬
URL:http://www.itohkampo.co.jp/
馬油の効果 まとめ
薬師堂グループ3社の創業者、直江昶(なおえ とおる)氏は、工場内の鋳鉄場で躓いた拍子に真っ赤に焼けた大鉄釜に左手の掌をつき、皮膚が焼けただれる大火傷を負ったそうです。
火傷した皮膚損傷のあまりの酷さと痛みに途方に暮れていた時、偶然手元にあった馬の脂肪を塗り込んでみました。
その後二ヶ月間、毎日根気よく塗り込むことで、皮膚の完全再生を果たしました。
再生したピンク色の皮膚には、うっすらと指紋までできていたそうです。
直江氏はその瞬間、馬油の薬効効果に確信を持ったといいます。
残念ながら、公式には医薬品のような効能・効果は認められていませんが、馬油が古くから、やけど治療をはじめとする様々な皮膚疾患に効果があるのは周知の事実です。
100%天然由来の馬油は、赤ちゃんからお年寄りまで安心して使用できる万能薬と言えるでしょう。