キュウリとは、インド北部ヒマラヤ山麓原産のウリ科キュウリ属のつる性一年草及びその果実のことです。
漢字で「木瓜」または「黄瓜」と書かれたことが、その名の由来です。
その名の如く、熟したキュウリの実は黄色くなって、更には苦味が出てしまいます。
日本では平安時代から栽培されていました。
江戸時代末期までは、キュウリを食べる際に黄色くなるまで完熟するのを待ってから食べていたため苦味が出て不味い野菜として位置付けられており、人々が好んで食べる野菜ではありませんでした。
皆さまご存じ「水戸黄門として名高い徳川光圀」は、「キュウリには毒があり、植えても食べてもいけない」と言い、江戸時代の儒学者の貝原益軒は、「キュウリは瓜類の中でも下品な野菜だ。不味いし、少量の毒を持つ」と言い放ったほど不人気の野菜だったのです。
毒扱いまでされたのは、キュウリの苦味成分のせいかもしれません。
キュウリの苦味成分は「ククルビタシン」というステロイドの一種で、キュウリのほかにもスイカやメロンなどのウリ科の植物に含まれています。
通常、キュウリに含まれるククルビタシンは微量なので苦味を感じることはありません。
ですが、キュウリが完熟していくうちに苦味が増してしまうのですね。
食材としては不人気なキュウリでしたが、打撲や切り傷などの外用薬としての役割が与えられていました。
キュウリを薄切りにし、湿布薬代わりに傷口に貼りつけたのです。
食用野菜としては酷い扱いを受けていたキュウリですが、幕末にキュウリの産地(現在の江東区)において品種改良され、「歯応えよし、味よし」のキュウリができたため、瞬く間に人気の野菜として脚光を浴びることになりました。
尚、現在では苦み成分が出る前の未熟なうちに実を収穫して食用にしています。
売られているキュウリが緑色なのは「未熟な実」というワケだからですね。
国外の歴史をさかのぼれば、古代ローマ帝国の礎を築いた初代ローマ皇帝オクタヴィアヌスの食事には、どうやらキュウリが欠かせなかったようです。
彼は酒を日中に飲むことはせず、その代わりに冷水で湿らせたパン、または一本のキュウリ、もしくは若いレタスの葉、または酸っぱい林檎などを食べていたそうです。
食材データ
種類:果菜類
旬の季節:夏
主な効能
むくみ、高血圧、腎臓病、暑気あたりの改善
脱毛予防
栄養成分
ウリ科の植物のスイカやキュウリなどにはカリウムが豊富に含まれています。
また、キュウリに微量に含まれているとされるインクエルシトリンという成分はフラボノイドの一種で、多くの植物に含まれています。
現段階では、この成分が利尿作用に多大な影響を及ぼすとは言いきれません。
一方、キュウリに含まれるカリウムはミネラル成分の一つであり、カリウムを摂取することで、体内に溜めこんだ過剰なナトリウムを効率よく排出してくれる働きがあります。
キュウリは、およそ95%が水分でできています。
水分とカリウムをたっぷり含むキュウリを食べることで利尿作用が促され、体内の余分な熱分が排出されるので、火照りやのぼせの改善に役立つとされます。
この利尿作用は、高血圧や心臓病、腎臓病や肥満予防にも効果があると考えられます。
漢方の考え方からみれば、南方産の野菜であるキュウリは体を冷やす陰性食品とされます。
漢方では、食べる物の性質によって体に影響が及ぶと考えるのです。
例えば、暑がりで陽性体質の人が前述に挙げた病であった場合、利尿作用を持つキュウリを食べることで体が冷やされるので改善の見込みが望める、とされます。
ですが、冷え性の人にとっては、陰性食品のキュウリを食べて更に体を冷やすことは逆効果です。
陰性食品を食べる場合は、ひと手間加えることで食品の性質を変えることができるとされ、冷え性の人がキュウリを食べる場合は、ぬか味噌漬けや浅漬けなど、塩を加えて陽性に変えてから食べる工夫が必要とされます。
95%が水分、栄養素としてはカリウムとビタミンC……くらいで、「世界一栄養がない野菜」などと不名誉な称号が与えられることもあるキュウリ。
ですが、皮膚や毛髪の健康に不可欠な成分であるミネラル成分シリカ(ケイ素)が含有されていることはあまり知られていません。
シリカには、毛髪や爪を強くして光沢を与える効果や、関節を良好に保つ効果、またコラーゲン生成に関連し、ツヤツヤして弾む素肌を作る効果があるとされます。
特徴
キュウリは温暖な気候を好むつる性の植物で、栽培されているキュウリの2/3は生食できます。
完熟していくうちに苦味が出てくるので、未熟な実を摘んで食用とします。
採取したてのキュウリには薔薇のトゲ状のイボがあり、これを素手で触ると痛いです。
鮮度が失われると徐々にイボが柔らかくなるので、これをキュウリの鮮度の目安にできます。
イボ部分には雑菌が付着する可能性もあるため、イボ無しキュウリも開発されています。
購入の際は、皮が鮮やかな緑色で、持った時に重いものを選びましょう。
キュウリは生食することが多く、味噌やもろみを付けて齧る、サラダ、かっぱ巻きなどで食べられています。
また、キュウリの浅漬けやキムチ漬けの材料としても良く使われます。
日本ではキュウリを加熱調理することは稀ですが、中華料理では煮物や炒め物として、また、海外ではスープの具材としても用いられます。
種類
原産地は、インド北部からネパールのヒマラヤ山麓です。
主要生産国は、中国、トルコ、イラン、ロシア、ウクライナで、国内の主な産地は、宮崎県、群馬県、埼玉県、千葉県などです。
キュウリの輸入は、アメリカと韓国からされています。
キュウリの種類は非常に多く、世界中で500以上の品種が栽培されています。
果実の性質により、白イボ系と黒イボ系に大別されます。
白イボ系は、皮が薄く歯切れの良いキュウリです。
栽培されているキュウリの90%以上が白イボ系です。
黒イボ系は、皮が厚いタイプのキュウリです。
白イボ系の旬の味に劣るとされ、現在ではあまり作られていません。
そのほか、ピクルス用の品種のキュウリもあります。
レシピ
かっぱ巻き
かっぱの大好物とされるのがキュウリ。
なので、キュウリを巻けば、「かっぱ巻き♪」
今一つ食欲がない時、酢飯とキュウリを海苔で巻いたシンプルなかっぱ巻きは、アッサリ味で良いですね。
ツナ&マヨネーズ、カニカマ&マヨネーズ、納豆などをキュウリの間に挟み込んで作るかっぱ巻きも一味違って美味しいです。
キュウリの漬物
糠漬け、酢漬けはご飯のお供の定番です。
ゴマ油&鶏がらスープの素で和えれば、居酒屋風の漬物に変身。
キュウリ【胡瓜】 ミネラル成分シリカが脱毛予防に効く まとめ
キュウリの成分のほとんどが水とカリウム。
相乗効果が利尿作用に働きます。
特に、カリウムは、体内の過剰なナトリウムを排出してくれる効果があり、高血圧予防や腎臓病の予防に期待できます。
塩分過多で肥満気味な方にも、キュウリはお勧めの野菜ですね。
生で食べることが多いキュウリですが、屋台で売られている一本漬けのキュウリに雑菌が繁殖し、病人が出たことは記憶に新しいです。
生のキュウリを食べる際は、十分に衛生面に気をつけましょう。