世界三大穀物の一つであり、稲の種子を精米したものがコメ(米)です。
コメには炭水化物が豊富に含まれており、我々の主食となる穀物であり、エネルギー源としても大変に重要な位置を占めています。
乾燥させると長期保存が可能なため、炊いたコメを軽く水にさらし、天日に干した「干し飯(ほしいい)」を、戦国時代の武士たちが携帯用の食事として持ち歩いていました。
米の栽培は紀元前3500年ほど前、東南アジアの丘陵地帯で始まったとされています。
中国大陸から朝鮮半島を経由して日本へ伝わったのは、縄文時代後期だといわれています。
日本の気候や風土はコメの栽培に適しているため、徐々に品種改良が重ねられた結果、今では豊富な品種が出揃っています。
現代では様々な炊飯器(値段も非常に高価だったりと色々です)があり、簡単にコメを炊くことができますが、昔は釜と薪を使ってコメを炊いていました。
コメを炊くときの火加減を表わすのに、こんな言葉があります。
「はじめチョロチョロ中パッパ、ジュウジュウ吹いたら火を引いて、赤子泣くとも蓋とるな、最後にワラを一握りパッと燃え立ちゃ出来上がり」
コメを炊き出したら、その場を離れて他の仕事をすることはできなさそうです。
コメを美味しく食べるための理想的な目安は、精白後2日程度で炊ききってしまうことです。
……となると、スーパーに並んでいる、一ヶ月前に精白したとかいう表示のコメは、既にコメの香りも旨味も飛んでしまっているわけですよね。
食材データ
種類:穀物類
旬の季節:秋
主な効能
高脂血症予防
糖尿病予防
健康、生命のもと
栄養成分
穀類の一種である稲の種子から籾殻(もみがら)を取り除いた状態が「玄米」です。
「玄米」は三種類の皮(表皮、果皮、種皮)で覆われています。
内部は「胚乳」で、それが「玄米」のおよそ92%を占めます。
残り5~6%が「糠(ぬか)」、あとの2~3%が「胚芽」です。
「玄米」から「糠層」を除去したものが「胚芽米」です。
「玄米」から「糠層と胚芽」を除去したものが「精白米」で、普段から我々が口にしている白米です。
デンプンを主体とするコメには、体内で消化・吸収されてエネルギーの元となる炭水化物、ビタミンやミネラルなどの栄養分が豊富に含まれており、生活習慣病予防、脳の活性効果、腸内環境を整える、などの様々な効果が期待できます。
コメは精製度が低いほど栄養価が高いといわれており、精白米と玄米を比較した場合、玄米の方がビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養分を豊富に含んでいます。
玄米には、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンEなどのビタミン類や、カリウム、鉄、亜鉛、銅、マグネシウムなどのミネラル類のほか、食物繊維も豊富です。
ビタミンB1、ビタミンB2には脂肪を完全に燃焼させる効果があります。
玄米は、ゆっくりと血糖値を上昇させる食材なので、ダイエットにも用いられます。
ビタミンEには強力な抗酸化作用があることから「若返りビタミン」とも呼ばれており、老化予防が期待できます。
玄米に含まれるガンマオリザノールには、肥満予防や糖尿病予防の効果があります。
コレステロールの吸収も抑制するので、動脈硬化などの生活習慣病予防にも期待できます。
サプリメントでもよく見られるGABAは玄米に含まれている成分の一つで、コレステロールと中性脂肪の増加を抑制する働きがあります。
玄米に含まれる豊富な「不溶性食物繊維」が腸の蠕動運動を促し、不要物質を体外に排出することで腸内環境を整えます。
完全栄養食とも呼ばれ、玄米だけで一日に必要な栄養素のほとんどを摂取できますが、消化しにくいので、玄米を食べる際はよく噛むことが大切です。
また、コメから作られる「米油」に含まれるオレイン酸は、悪玉コレステロールの値を低下させますし、リノール酸は、血中コレステロール値を低下させて血管の硬化を防ぐといわれています。
コメは、「結合して消化されにくい『難消化性デンプン』」の塊です。
コメを炊くことにより、デンプンの結合が解けて吸収されやすいデンプンに変化します。
ご飯が冷めることで再びデンプンは結合し、「難消化性デンプン=レジスタントスターチ」に戻ります。
通常のデンプンに比べ、レジスタントスターチはカロリー半分。
但し、主食のおよそ20%がレジスタントスターチに変わるという研究データがあり、それに基づくと「温かいご飯を食べたときより、冷や飯の方が約10%カロリーオフ」という結果になるそうです。
「冷や飯=レジスタントスターチ」は消化しにくいので、小腸で穏やかに吸収されて大腸まで運ばれます。
大腸ではゆっくりと発酵するので、その結果、余分な糖質の吸収が抑えられ、血糖値の上昇を抑制するとされます。
冷や飯は自然と良く噛んでから飲み込みます。
咀嚼回数の上昇は免疫力を高め、空腹感を抑えられるので、肥満予防にも役立つことが期待できます。
「レジスタントスターチ」が一番増える温度は、4℃~5℃です。
特徴
コメには炭水化物が豊富に含まれています。
糖質と食物繊維を合わせたものを炭水化物と呼び、糖質は脳にとっての唯一のエネルギー源です。
糖質が不足すると、集中力が落ち、効率も悪くなります。
コメを食べると元気が出て、脳の活性化を促します。
また、栄養価が高い「胚芽玄米」や、玄米を発芽させた「発芽玄米」なども人気です。
コメが炊き上がり、口に入るまでには「洗米」、「浸漬」、「加水」、「蒸らし」、「混ぜ」、「保温」の工程が必要です。
「洗米」はたっぷりの水で素早く行い、「浸漬」は時間をかけてじっくりと、「加水」は正確に計るのがベスト、「蒸らし」は15分~20分、「混ぜ」は難しいが、慣れれば強みになる作業で、「保温」は炊き上がりから約1時間が限度。
これが、コメを最高に美味しく食べる秘訣だとか。
種類
主な生産地は、中国、インド、インドネシアなどの東南アジア、ブラジル、アメリカ、日本です。
コメの種類は大きく分けて3種類。
熱帯・亜熱帯で栽培されるインディカ米と、温帯で栽培されるジャポニカ米、インドネシアでつくられるジャパニカ米です。
品種分類は、なんと2万種類以上ともいわれています。
日本の品種では、「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「あきたこまち」、「ななつぼし」などが挙げられます。
レシピ
卵かけごはん
シンプルに卵と醤油で食べるのも美味しいが、時には納豆やオクラ、野沢菜などをご飯の上に敷きつめ、その上から卵を落とすのも贅沢。
卵の殻に付着している菌が気になる方や、抵抗力の弱い方(幼児や高齢者)は、生卵を食べるのはやめましょう。
おにぎり
手軽で簡単、作り置きが可能なおにぎり。
梅干し、昆布、鮭、たらこの定番おにぎりのほか、具材にローストビーフやアヒージョなどを使えば、洋食のオードブルにもなりそう。
コメ【米】 冷飯(レジスタントスターチ)が血糖値を下げてくれる まとめ
コメには炭水化物が豊富に含まれており、我々の主食として、また、脳を活性化させる貴重なエネルギー源として役立っています。
白米より玄米の方が格段に栄養価が高いため、最近では好んで玄米を食べる人も増えています。
玄米は消化しにくいので、胃腸の弱い方は注意しましょう。
また、冷や飯に含まれるデンプン「レジスタントスターチ」は、血糖値の上昇を緩やかにし、ダイエット効果もあると考えられています。