日本では鶏卵が良く食べられています。
その他、食用として烏骨鶏(うこっけい)の卵や、ウズラの卵があります。
また、今でこそ食べなくなりましたが、昔はアヒルの卵なども普通に食べていたそうです。
ビタミンCを除き、タマゴはビタミンA、ビタミンEを始めとする多くの必要栄養成分をほぼ含みます。
ビタミンAは免疫力を高め、ビタミンEは細胞の老化を予防してくれます。
タンパク質も豊富に含まれ、それが含有する必須アミノ酸が理想的なバランスになっていることから、タマゴは「完全栄養食品」と呼ばれるのです。
昔は宗教上の理由から鶏卵は敬遠されてきましたが、江戸時代に入り、ようやく食用としてのタマゴの位置づけがなされてきました。
その頃の料理本「本朝食鑑」には、ゆで卵や卵焼き、卵酒などの調理法が掲載されています。
但し、庶民の食卓に日常的に上るわけではなく、病人や虚弱体質の人のための滋養強壮用の食材として、当時は認識されていたそうです。
その後、品種改良や配合飼育等による大規模飼育が可能になった昭和30年代以降には、庶民でも気軽に食べられる栄養食品となりました。
鶏卵のほか、大きさといい、種類といい、様々なタマゴが存在します。
卵黄自体が一つの細胞なので、ダチョウの卵の卵黄も「一つの大きな細胞」なのです。
与える栄養価の高さからか、その発生過程の不思議さからか、タマゴはしばしば復活の象徴として認識されます。
復活祭で作られる「イースター・エッグ」が良い例です。
また、「役者のタマゴ」や「画家のタマゴ」と人を喩えるのは、「その人がその道において初心者である」ことを示します。
同時に、「これからタマゴから孵って成長し、その道を究める見込みがある」との意味もあります。
但し、タマゴから孵るのは飽くまでも「ヒヨコ」なわけで、人を揶揄する言葉には「このヒヨッコめ!」なんていうのがありますから、立派に成長していくのはなかなか大変な道のりだと言えましょう。
食材データ
種類:肉類
旬の季節:一年中
主な効能
滋養強壮
保温効果
老化予防
栄養成分
卵は、「卵白」と「卵黄」からできています。
卵白はほぼ90%が水分で、残りの主成分はタンパク質です。
そのため、卵白のプロテインスコアは非常に高いと言えるでしょう。
プロテインスコアは1955年~1957年頃、国際連合食糧農業機関によって定められた、食品のタンパク栄養価を表す指数です。
人の体内では作れない8種類の必須アミノ酸をバランス良く含んでいれば、全体指数が高くなります。
一つでも必須アミノ酸が不足している場合は、全体指数は低くなります。
タマゴは必須アミノ酸組成が理想的であるため、基準値の100として設定され、その基準値を元にして、その他の食品のプロテインスコアを算出しました。
プロテインスコアで考えれば、豚肉や鶏肉などの哺乳類の肉でも80~90の値に留まりますので、タマゴがいかに栄養価の高い食品か、ということがわかると言えましょう。
但し、最も古い評価基準であることは否めませんので、それを特に重要視するかどうかは、研究者の間で意見が分かれるところです。
卵白のタンパク質は、「オボアルブミン」、「コンアルブミン」、「オボムコイド」、「オボグロブリンG1(リゾチーム)」などで構成されています。
その中の「オボグロブリンG1」とは「リゾチーム」のことです。
リゾチームは真正細菌の細胞壁を分解する酵素のことで、別名「溶菌酵素」とも呼ばれます。
卵白から抽出したリゾチームは、消炎酵素剤の塩化リゾチームとなり、総合感冒薬や鼻炎薬等の医薬品に配合されています。
卵白のアレルゲンには、「オボアルブミン」と「オボムコイド」が挙げられます。
このうち、オボムコイドは熱や消化酵素に対する影響を受けにくく、アレルギー活性が非常に強いことで知られています。
卵黄には、脂質(32%強)、タンパク質(15%強)、炭水化物(約1%)、ビタミン、ミネラルが含まれています。
脂質は、約65%が中性脂質、約24%がリン脂質、その他で構成されています。
リン脂質は、細胞膜の主要な構成成分であり、生体内でのシグナル伝達にも関わっています。
リン脂質の一種の「レシチン」は、人体を構成する細胞全ての細胞膜を構成している主な成分です。
レシチンは水と油を混ざり合わせる「乳化作用」を持っているため、細胞内に栄養を摂り込んだり、逆に、細胞から老廃物を排出させることもできるのです。
卵は、「コレステロール」を多く含んでいます。
鶏卵1個を約50g換算とすると、コレステロール値は200~240㎎程度です。
これまでは、1日のコレステロール目標量は男性で750㎎未満、女性で600㎎未満にするように言われていました。
高コレステロール値の食品は、高脂血症、動脈硬化、心筋梗塞、脳梗塞の方には忌避すべき、という認識があったからです。
ですが、「日本人の食事摂取基準2015年版」で、コレステロール目標値はなくなりました。
なぜなら、コレステロール目標値の算定根拠がなく、タマゴを食べることでの各種疾病との関連性が見出せないからです。
摂取したコレステロールは、体内で常に一定量が保たれるように肝臓が調整しており、食品から多く摂りすぎれば、肝臓がコレステロール合成量を減少させ、食品から摂取したコレステロール量が少なければ、肝臓がコレステロール合成量を増加させます。
常に「血中総コレステロール値」は安定しているので、食品から摂取したコレステロールが直接反映されることはない、というのがその理由です。
そのため、「健康のために1日2個のタマゴを食べると良い」と推奨されています。
ですが、勿論、タマゴ自体が大きなタンパク質の塊であることは否めず、食べ過ぎて便秘になったり、タマゴに対して強いアレルギーを持つ方も多いので注意は必要でしょう。
タマゴはタンパク質、脂質のほか、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンE、ミネラル分等、多くの必要栄養成分を含んでいます(ビタミンCは除く)。
ミネラルの中には「亜鉛」も含まれており、皮膚や粘膜の健康維持のほか、滋養強壮にも役立ちます。
特徴
卵黄に含まれるリン脂質の一種「レシチン」が細胞単位での代謝に役立ちます。
卵白には良質なタンパク質が含まれています。
その中には、真正細菌の細胞壁を分解する「リゾチーム」が含まれ、医薬品に応用されています。
主な成分は以下の通り。(卵2個換算)
エネルギー 166kcal
タンパク質 13.5g
脂質 11.3g
カルシウム 56mg
マグネシウム 12mg
リン 198mg
亜鉛 1.4mg
鉄 2mg
ビタミンA(レチノール相当量)165μgRAE
ビタミンB2 0.47mg
ビタミンE 1.1mg
タマゴは2~3週間持ちますが、勘に頼るのではなく賞味期限の残り日数で判断しましょう。
保存の際は、冷蔵庫の奥の方へパックに入れたまま保管します。
温度変化の激しい扉ポケットに入れておくことは、くれぐれも避けてください。
タマゴの尖った方を下にして保存しましょう。
栄養成分が長持ちします。
生卵を食べる場合、サルモネラ菌による食中毒に特に注意が必要です。
汚染経路は、卵殻を経た菌が外部から侵入する「オンエッグ」と、卵細胞自体が菌で汚染される「インエッグ」の2経路が考えられます。
タマゴは新鮮な物を食べましょう。
種類
中国、アメリカ、インドなどが生産国として挙げられます。
国内では、茨城県、千葉県、鹿児島県、広島県、岡山県、北海道、新潟県、愛知県などです。
鶏の種類により、タマゴの殻の色に差が生じます。
白い殻以外を有色卵と呼んでいます。
ヨードやDHAなどのエサを食べさせて産卵させたタマゴも多く流通しています。
パック詰めの規格基準により、重量別にSS~LLサイズに分けられます。
「白玉」、「赤玉」、「青玉」、「薄赤玉(ピンク卵)」の種類がありますが、個々の栄養価は大差ありません。
レシピ
茹でタマゴ
ビタミンやミネラルをまんべんなく含む「完全栄養食品」であるタマゴを余すところなく食べられる。
固ゆでにしたタマゴで喉を詰まらせないように、飲み物は手近なところに置いておこう。
半熟にして、細長く切ったパンを浸けて食べても美味しい。
タマゴかけご飯
TKGと略されることもあるタマゴかけご飯。
生タマゴを食べるのは日本独自の食文化。
アメリカでは食品衛生上の理由から加熱調理が基本とされている。
専用の醤油が販売されているほか、アレンジを加えてごま油や納豆を加えても美味。
タマゴを割り入れるときに、殻を一緒に入れないように注意しよう。
新鮮なタマゴを使うのは基本中の基本。
高齢者など免疫力が下がっている人は、生食は避けた方が良いだろう。
タマゴ【鶏卵】 ビタミンCを除く栄養成分をほぼ含む完全栄養食品 まとめ
ビタミンCを除き、ほぼ全ての栄養成分を含む「完全栄養食品」、タマゴ。
良質のタンパク質、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンE、ミネラル分などの多くの必要栄養成分が含まれており、「1日2個程度のタマゴを食べれば健康維持ができる」と研究者は推奨しています。