「左ヒラメの右カレイ」……
ヒラメとカレイの判別法として良く使われる言葉です。
ヒラメとカレイは良く似ていますが、「高級魚のヒラメ」、かたや「大衆魚のカレイ」としても知られていますよね。
基本的に、両者の判別法は……
白い裏面を下にし、目を上に向けて置き、顔が左にくれば「ヒラメ」、顔が右にくれば「カレイ」です。
ヒラメもカレイも、他の魚とは違って横向きに泳ぎ、偏った位置に目がついていますが、これってなぜなんでしょう?
実は、ヒラメもカレイも生まれた時には左右対称の形をしています。
孵化後、およそ10日目までは他の魚と同じように目は左右に一つずつで、背ビレを上にして泳いでいますが、その後、20日~40日を経て、ヒラメもカレイも、それぞれの本来の位置に目が偏り始め、それに伴って内臓も移動し、体の裏面が白色に、目がある体表部が褐色や赤褐色や黒褐色に変わるのです。
この現象が、目と脳を繋いでいる視神経の僅かな歪みから引き起こされることを魚類発生学の教授が突きとめました。
視神経は、右目と左脳、左目と右脳というようにX形に繋がれています。
X形の交差部の僅かな歪みが脳にも影響を及ぼし、それを発端に脳全体にもねじれが進行し、目の位置も徐々に片側に偏ってズレていくそうです。
更には、非対称な形態形成の決定遺伝子の働きを遺伝子操作で妨げると、カレイの目が本来とは逆の左側に偏る、或いは左右対称になる、という実験結果を得られたそうです。
ですが、左右対称の目を持つことは、カレイにとっては迷惑千万でしょう。
カレイは海底の砂の中に潜って待ち伏せし、イソメなどの底生生物など餌として捕食します。
これは、海底に接触している裏面側に目が無いからこそできる技ですよね。
食材データ
種類:魚類
旬の季節:冬
主な効能
肝機能強化
美肌効果
ダイエット食
栄養成分
カレイの旬は、一般的には冬場です。
産卵期の「子持ちガレイ」は特に美味で、カレイは日本の冬の味覚として親しまれています。
但し、瀬戸内海の大分県、日出で獲れるマコガレイは「城下ガレイ」と呼ばれ、旬は初夏とされます。
前述したように、「左ヒラメの右カレイ」と言われ、白色の裏面を下側に置き、二つの目が付いている褐色を帯びた体表を上から見たときに、「左に目があればヒラメ、右ならばカレイ」と判別できます。
また、「カレイは出目で、ヒラメは平たい目をしている」というのも見分け方の一つです。
砂の中に潜って擬態することで餌を捕まえるカレイは、目が出っ張っているのです。
カレイ100g中にタンパク質は約19g前後で、脂質は約1.3~2g弱です。
(但し、子持ちガレイの脂質は約3倍増え、干しカレイの脂質は約1.5倍増えます。)
基本的に、高タンパク低脂質の白身魚なので、あっさりとした淡泊な味わいで消化にも優れています。
カレイは、浮き袋の無い魚です。
泳ぐ時や海底に潜る時に、背ビレと腹ビレを使って力強く水を掻きます。
そのため、ヒレの付け根である縁側(えんがわ)が発達しています。
コリコリとした独特の歯ごたえのある縁側は、カレイの部位の中でも特に美味で、美肌効果があるコラーゲンが豊富に含まれています。
カレイの煮汁が多くできたら、それを冷まし、ぷるぷるの「煮こごり」を作ってみましょう。
ゼラチンを入れ、口当たりを良くして冷やして食べれば、煮こごりに含まれている、たっぷりのコラーゲンを余すことなく摂ることができますね。
美肌効果もバッチリです!
カレイには、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンD、また、タウリンも多く含まれています。
免疫力を高める効果があり、「太陽のビタミン」とも呼ばれるビタミンD。
肝機能を高め、動脈硬化予防や高血圧予防に役立つとされるタウリン。
カレイを食べることで美肌効果は勿論のこと、様々な病気予防にも効果が期待できますね。
小ぶりのカレイは、唐揚げにして丸ごと食べれば、不足しがちなカルシウムも摂ることができます。
特徴
淡白であっさりした味わいの白身魚。
新鮮なものは刺身や寿司に。
煮つけや焼き物、揚げ物にしても美味しい。
高タンパク低脂質で消化も良いので、体力が落ちている方(病後)や高齢者の方にも食べやすい食材です。
カレイ(生)より、干しガレイの方が栄養価は高いです。
また、産卵前のメスは大きな卵を持っており、「子持ちガレイ」と呼ばれます。甘辛く煮つけたものは冬の味覚として、多くの人に好まれています。
日本料理の作法にとらわれることなく、頭を右にして配膳します。
新鮮なカレイは、裏面が白く輝いて見えるほどです。
エラが鮮紅色で、身が厚いものを選びましょう。
切り身を購入する場合は、身に透明感があるものを選びましょう。
種類
カレイ目カレイ科に分類される魚です。
世界中で100種類ほど生息しているといわれ、種類も多く、日本近海だけでも40種以上になります。
北海道から九州まで広く分布しており、その地方により、呼び名も異なります。
日本近海では、アサバガレイ、マガレイ、マコガレイ、イシガレイなどを含む数十種が挙げられます。
アサバガレイ
北海道沿岸、水深50~100mの砂泥域に生息します。
輪郭は楕円形で、両目が完全に体の表側の右側についています。
産卵期(12月)の前が最も美味です。
煮つけや塩焼き、唐揚げなどに。
マガレイ
弾力のある上品な肉質で、カレイの中でも一級品とされています。
一年を通して、水深150m以浅の大陸棚の砂質や砂泥質の海底に生息しています。
体の表側は青みを帯びた黒褐色で、体の裏面は白いです。
春先の子持ちガレイは煮つけにします。
秋には丸々と太るので、新鮮なものを刺身にします。
マコガレイ
津軽海峡の木古打内湾と函館湾に限られた漁場で、一年を通して漁獲されます。
マガレイに似ていますが、「両目の間にウロコがある」、「背ビレと尻ビレに黒色の条紋がないこと」で区別します。
イシガレイ
体の表側の一部に、石のように硬い一列の骨板を持っているのが特徴です。
体にはウロコが無く、目の無い裏側の方はとても滑らかです。
体の表側は黄褐色で、裏側は純白色をしています。
日本各地に分布しており、水深100mほどの砂泥底に生息しています。
レシピ
カレイの煮付け
カレイを甘辛く煮付けます。
その際、めんつゆを加えても。
骨まで軟らかくするには圧力鍋で調理すると良いでしょう。
カレイの唐揚げ
内臓を処理した後の小ぶりのカレイを油で揚げて作ります。
とろっとした甘酢あんかけをかけて食べるのが一般的。
骨まで食べたい人は、カレイの身を観音開き、または5枚おろしにすること。
カレイ【鰈】 美肌になーれ!ぷるぷる煮こごり、コラーゲン! まとめ
カレイは高タンパク低脂質の白身魚。
あっさりとした淡泊な味わいで消化にも優れ、コラーゲンも豊富です。
美肌を目指す人や、体の弱っている方、高齢者にも嬉しい食材。
ダイエットにも適すると言えますが、子持ちガレイは脂質がおよそ3倍増しになりますので、それは念頭に入れておきましょう。