冬の味覚の代表、カニ。
毎年11月初旬になると、待ち焦がれた「カニシーズン」の到来です。
電車の中吊り広告に「日帰りカニ食べ放題!」の魅惑的な文字が踊るのを見て、胸が高鳴り、心を躍らせる方も多いはず。
特に関西地方の方は、このシーズンに突入すると「どこにカニ食べに行く?」と仲間うちでワイワイと楽しく相談し、カニを食べねば冬が始まらないといった風情です。
いわゆる、「関東での初ガツオ」と似たような感覚なのでしょう。
普段は饒舌な人も、カニを食べている時は無口になるものです。
カニの殻を剥き、身をほじくり出すことに集中しなければ、カニの旨味を堪能できないですよね。
そして、カニの食べ方も人それぞれ。
身をほじくり出して次々とカニの脚に手を伸ばしていくタイプと、自分の分を予め確保しておいて、身を皿に全部ほじくり出してから、おもむろに食べるタイプ。
どちらのパターンでも、やはり、人はカニを前にすると無口にならざるを得ませんよね。
日本人がカニ大好き国民なのはご承知の通りですが、他の国ではどうでしょう?
アメリカのボルチモアでは、カニ料理が名物です。
居並ぶレストランでは、ビールとカニを堪能し放題です。
カニの身をほぐし、ハンバーグのように焼いた「クラブ・ケーキ」や、脱皮直後の柔らかなカニを焼いたり揚げたりする「ソフトシェルクラブ」など。
メリーランド州では、チリなどの香辛料をたっぷりとまぶした蒸しガニが食卓にてんこ盛りで出され、それを木槌で豪快にぶっ叩いて食べます。
上海では、上海ガニを高級食材としていますし、香港では辛めに炒めたワタリガニが美味、また、イタリアではワタリガニをパスタの具材に使います。
とろっと溶けたチーズや、ちょっと酸味のあるトマトをワタリガニの旨味汁と合わせれば、絶品パスタの出来上がりです。
フランスでは繊細なカニ料理は勿論、適量の塩とローリエやタイムのブーケガルニを入れた大鍋でカニを茹で、シャンパンと一緒に食べたり、裏漉しした甲殻類(カニ、エビ)をベースに作るスープ「ビスク」も有名です。
さて、カニは大変に美味な食材であることは間違いありませんが、こんな風にも言われています。
「カニは食っても、ガニ食うな」
ガニは、カニの左右の脚の付け根にある灰色のヒダのことで、そもそも全然美味しくないし、雑菌などが繁殖している可能性があるため、活蟹のガニは食べてはいけません。
冷凍技術の発達していない頃には、この部位を無理矢理食べて食中毒になった人も多かったとか。
また、カニとの喰い合わせの悪いものとして「カニ+柿」「カニ+カキ氷」が挙げられます。
とりあえず、無理に喰い合わそうとしなければ、滅多にお目にかかれない組み合わせではありますが、カニは体を冷やす食材で、同様に柿もカキ氷も体を冷やす食材。
一緒に食べれば相乗効果で体を冷やすことになるので、お腹を壊す原因になるのです。
食材データ
種類:甲殻類
旬の季節:冬
主な効能
免疫力強化
強心、強肝作用
貧血の改善
栄養成分
カニの身には様々なアミノ酸が含まれています。
旨味成分であるグルタミン酸、甘味成分のあるアラニンやグリシン、苦味成分のアルギニンなどがバランスよく含まれています。
実は、カニの旨味は筋肉自体に付いているわけではなく、筋肉と筋肉の隙間に旨味が滲み込んで、カニ独特のあの旨味が引き出されているそうですよ。
カニ肉の素材と旨味を一際引き立ててくれる酢醬油でアッサリ食べるのもお勧めですね。
一般的に見て、カニは低脂肪で高タンパクな食材です。(毛ガニはカニみそが多い分、他のカニに比べてカロリー高め)
ご飯一杯(150g)で252kcalとして、カニの剥き身を一度に200~300g食べたら約130~200kcal……
まあ、ご飯一膳食べるよりは低いカロリーです。
「ご飯を食べず、カニだけ食べる」ことに専念すれば、肥満などの生活習慣病で悩む人にも、意外なダイエット食としての利用価値がありそうです。
良質なタンパク質が、疲労回復や滋養強壮、免疫力の向上に働きかけます。
また、糖質や脂質の代謝に必須であるビタミンB群、貧血を防ぐ鉄分、皮膚や粘膜の健康維持に働き強精作用もある亜鉛、骨や歯を強くするカルシウムなどのミネラル成分も豊富です。
肝機能を高める・コレステロール値を下げる・動脈硬化を予防する、といわれるタウリンも多く含まれています。
また、カニの殻には「キチン・キトサン」という動物性の食物繊維が含まれています。
この「キトサン」には余分な脂質や糖質を体内に吸収しにくくさせる働きがあり、ダイエット中の方からも注目されている成分です。
更に、キトサン分子には重金属や化学物質を吸着して排出してくれるデトックス効果や、生体内に侵入した異物(細菌・ウイルス・がん細胞)を食べて消化するマクロファージを活性化させる働きもあるとされます。
マクロファージが活性化すれば、免疫力がアップします。
特に、ガン細胞への抑制作用を持つNK細胞(ナチュラルキラー細胞→自然免疫の主要因子)を活性化させると言われています。
キトサンの主な原料はカニの殻なので、そのまま食べるのは無理ですし、食べても体内でほとんど分解されません。
キトサンが体内に吸収するように精製されたサプリメントで摂るのが普通です。
特徴
毛ガニ、ズワイガニ、タラバガニ、花咲きガニなどの数多くが食用にされます。
調理法は、刺身で食べるほか、天ぷら、焼きガニ、汁物、カニ鍋などバリエーションに富んでいます。
カニ一匹(一杯)の流通形態のほかに、冷凍品や缶詰なども充実しています。
カニの殻から抽出されたキトサンなどがサプリメントして有効利用されていますが、カニ食物アレルギーを引き起こしやすい食材としても知られており、カニアレルギーの方はカニ由来のサプリメントを飲用してはいけません。
毛ガニ
毛ガニの魅力はなんといっても、「コクがあって甘い濃厚なカニ味噌を満喫できること」、その一語に尽きます。
カニミソは肝膵臓と呼ばれ、肝臓と膵臓が一緒になったような器官です。
毛ガニは北海道の特産品の一つで、甲羅に生えている毛が名前の由来です。
高価格で取引されます。
ズワイガニ
ズワイガニは、日本海全域に分布しています。
山陰地方で「松葉ガニ
、北陸地方では「越前ガニ」と呼ばれており、足の数は10本です。
タラバガニ
カニの王様とも言われるタラバガニは、実はヤドカリの仲間。
カニの足は通常は8本ですが、タラバガニは6本です。
北海道の特産品の一つ。
鱈(タラ)が良く獲れる漁場に生息しているので、鱈場蟹(タラバガニ)と言われるようになりました。
花咲ガニ
タラバガニ同様、ヤドカリの仲間です。
漁獲地である根室の地名の「花咲」が名前の由来とする説と、茹でたときに赤くなり、花が咲いたように見えるから、という説があります。
種類
熱帯から極地まで、世界中の海に様々な種類が分布しており、沿岸域の陸上、深海や洞窟、淡水域にも生息が見られます。
毛ガニ、ズワイガニ、タラバガニ、花咲ガニ、上海ガニ、ワタリガニなど多種多様ですが、食べることができるカニはごく僅かな種類です。
レシピ
カニ鍋
カニの旨味がこっくりと滲み出たカニ鍋。
大勢でワイワイとつつくも良し、お一人さまでじっくりと味わうも良し。
カニ鍋の〆は、やはり卵をふわっと散らした雑炊で!
カニ酢
甘酸っぱいカニ酢につければ、カニ臭さがちょっと苦手な方も大丈夫。
酢と醤油だけのシンプルな物や、出汁主体で柔らかい口当たりの物などをお好みで。
カニ【蟹】 低脂肪で高タンパク。意外に低カロリーなダイエット食 まとめ
カニは低脂肪で高タンパク。意外に低カロリーです。
良質なタンパク質が滋養強壮に効きます。
カニミソを味わうなら毛ガニ、しっかりとした身を味わって満腹感を得たいならタラバガニがお勧めです。
カニの天ぷらやしゃぶしゃぶ、焼きカニもとても美味です。
カニやエビなどの甲殻類を食べると直観力がアップする、と風水では言われているそうですよ。