インドネシアコーヒーの歴史
インドネシアでコーヒー豆の栽培が始まったのは、オランダ統治時代のことです。
1699年に、オランダ人の手によって、アラビカ種のコーヒーノキが移植されるようになったのがきっかけでした。
1830年ごろには、ジャワ島で大規模生産を目的としたプランテーションが行われ、スマトラ島にも波及します。
インドネシアは世界でも有数のコーヒー生産国にのし上がりますが、1908年にサビ病が原因で壊滅的な被害を受けます。
病害に強いロブスタ種の栽培が増えたのは、この辺りからですね。
第二次世界大戦後には生産が一時的に途切れてしまいますが、1949年のオランダからの独立に伴い、コーヒーの生産も復活します。
現在では、世界第4位の生産量と輸出量を誇る、コーヒー豆大国です。
インドネシアの島々の火山が生んだ肥沃な大地で、最高品質の豆を栽培しています。
インドネシアのコーヒー豆の品種と銘柄
インドネシアで栽培されるコーヒー豆の品種は、ロブスタ種(カネフォーラ種)とアラビカ種の2つに分けられます。
ロブスタ種は、生産量の約9割を占める品種です。
対して、病害で栽培が激減したアラビカ種は、1割ほどの生産にとどまっています。
それぞれの品種から誕生した、インドネシアコーヒーの有名な銘柄は、以下の通りです。
マンデリン
インドネシアのスマトラ島の高地で栽培される、アラビカ種のコーヒー豆です。
名前の由来は、マンデリン族が栽培していたことにあります。
生産量が少ないうえに高品質であることから、インドネシアが誇る高級豆となっています。
「ゴールデンマンデリン」という最上級もあります。
テイストは、深いコクと独特の深い苦味が特徴で、深焙煎がおすすめですね。
苦味好きな方や、ミルクを入れて飲みたい方に人気となっています。
トラジャ
インドネシアのスラウェシ島、トラジャ地方で栽培されるアラビカ種のコーヒー豆です。
オランダ王室御用達としても有名な、高級豆ですね。
芳醇な香りとコクを持つ銘柄で、まろやかな苦味とほのかな酸味が、コーヒー好きを魅了します。
コピ・ルアク
インドネシアのスマトラ、ジャワ、スラウェシなどの島々で生産される高級銘柄です。
コーヒーの果実を食べた、野生のジャコウネコの排泄物から採取した種を利用して作ります。
極上の香りと独特なコクが特徴であり、魅力でもあります。
ロブスタ種由来のものとアラビカ種由来のものがありますが、味わいはアラビカ種が上だとされています。
インドネシアのコーヒー豆の処理法
インドネシアのコーヒー豆の処理法には、「スマトラ・プロセス」と呼ばれる珍しいものがあります。
通常の方法だと、コーヒーの果実から果肉を取り除いた後に、じっくりと乾燥させて処理していくのが定番です。
しかしインドネシアでは、コーヒー豆を短時間で乾燥させた後、半乾きのままで脱穀していきます。
生豆の状態で処理することによって、マンデリンなどの深い苦味が生まれてくるのです。
インドネシアのコーヒー豆の等級付け
インドネシアでは、300gという基準量の中の欠点豆の数で等級が決まります。
サイズが大きく、欠点豆が少ないものほど、等級が上がる仕組みです。
「G1~G5」までの5つのグレードで表記され、数字が小さいほど等級が上となります。
また、同じ「G1」でも、特に風味が優れているものは、「SP(スペシャル)G1」と表記されます。
インドネシアのコーヒー豆の味と焙煎法
インドネシアのコーヒーと言えば、深みのある苦味が最大の特徴です。
その秘密は、焙煎で酸味を苦味に変えていくことにあります。
深焙煎にすることで、インドネシアのコーヒー以外では味わえない、重厚な苦味が誕生します。