「いびき」のほとんどは本人に自覚症状がなく、周囲の人から「あなた、いびきかいていたよ」と指摘されて初めて気がつくことが多いようです。
いびきを自分で聞くことはあまりないですからね。
でも、気がついたのがもし恋人だとしたら、冗談ではなく「穴を掘って隠れたくなる」ほど恥ずかしい思いをしますし、女性だったら恋人にいびきを聞かれるのが怖くて眠れなくなる…
なんてこともあるかも知れません。
恥ずかしさのあまり「いびきなんてかいてない!」と言い張り、ケンカになってしまった…
なんてことも聞いたことはありませんか?
実は、いびきは一緒に寝る人の睡眠を邪魔するというだけのものではないのです。
いびきを放置しておくと、周囲への迷惑は言うまでもなく、本人にとっても思いがけない病気の発症につながってしまうことがあるのです。
なので、いびきをかいているとわかったら、まずはその原因をはっきりさせることがとても重要になります。
そこで今回は「いびき」について詳しく調査してみました。
原因や改善法、病院での治療法など、自分自身がいびきをかいている方は無論ですが、身近にいびきをかく人がいるという方にも、是非参考にして頂きたいと思います。
いびきの原因とは?
次のようなことが主な原因でいびきは起こります。
気道が狭い
口や鼻から取り込んだ空気が、肺に達するまでの通り道のことを「気道」と言います。
この気道が狭くなると、空気が通る面積が狭くなるので、音が出やすくなってしまうのです。
息を吐くとき、口を開けると音は鳴りませんが、口を窄めると音が出ますよね?
要は口笛ですが、それと同じ原理です。
気道が狭くなってしまう原因は、肥満のせいで喉に脂肪が付いてしまったことや、顎が小さいとか、舌や口蓋垂(のどちんこ)、扁桃腺、咽頭扁桃(アデノイド)が大きいとか、口呼吸をしていることなどが考えられます。
鼻に原因がある
アレルギーや風邪などの疾患によって鼻が詰まった場合、鼻呼吸するのが苦しいのでどうしても口呼吸になってしまう傾向があります。
そのせいで気道が塞がりやすくなり、いびきもかきやすくなってしまうのです。
飲酒の影響
アルコールを摂ると体内に水分を溜めてしまうので、むくみやすくなります。
その結果、気道が狭くなっていびきをかきやすくなってしまうということです。
ストレス
精神的、肉体的にひどく疲れている時は、睡眠によって疲労回復しようとする体の働きが強くなるので、睡眠は深くなりがちです。
そうなると、舌や喉の緊張が弛みやすくなるので、いびきをかくことがあるのです。
加齢によるもの
高齢になると、口の筋肉が衰えてくるので、舌や粘膜が下がって気道を塞いでしまい、いびきをかきやすくなるそうです。
あなたのいびきはどの種類?
いびきと一口に言っても、実は種類があります。
ご存知でしたか?
その種類によって原因や症状が違ってきます。
まずは自分のいびきはどのタイプなのかをちゃんと理解することが一歩目です。
単純いびき
一般的に「いびき」と言われるものです。
いびきはかくけど、すっきりと目が覚めて、寝不足だと思わなければ、単純いびきと言えるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群
名前のとおり、寝ている時に呼吸をしていない状態になる疾患のことを指します。
無呼吸状態が長く続けば、酸素が行かないことで、脳にダメージを与えてしまいますし、夜に熟睡できなかった分、日中に強い睡魔に襲われることがあり、日常生活に支障が現れてしまいます。
上気道抵抗症候群
この病気の発症原因はよくわかりませんが、心臓や脳に疾患がある場合や、糖尿病の初期症状として現れるケースがあるそうです。
睡眠時無呼吸症候群のように、呼吸が止まるようなことはないのですが、脳がずっと動いている=覚醒状態になってしまうので、十分な睡眠を取れなくて、昼に強烈に眠くなるなどの症状が現れます。
いびきの症状をチェックしてみよう
いびきは周囲からの指摘で気付くことが多いようですが、睡眠時以外の体調の変化からでも、ある程度症状を知ることができると言われています。
そこで次に簡単に自分でできるいびきチェックを紹介しますね。
次の質問にYESが当てはまる数をカウントしましょう。
- 周囲の人から「いびきかいてたよ」と言われたことがある
- 太っている、または最近太ってきた
- 首が太い、または短い
- あごが小さい、または細い
- 夜中に目が覚めてしまうことがある
- ストレスを感じている、またはストレスを溜め込みやすい性格だと思ってる
- しっかり寝たはずなのに、朝起きると疲れがとれていない、睡眠が足りないと感じることがある
- 目が覚めると喉が乾いていたり、喉が痛いことがある
- アレルギー性鼻炎や、扁桃腺、アデノイドなどの持病がある
- 日中、我慢できないほど眠くなることがある
- お酒を飲む機会が多い
①から⑪までの質問がありますが、あなたはどのぐらい当てはまりましたか?
YESの数が多いほど、いびきをかいている可能性が高いと思われます。
いびきをかきやすい人の5つの特徴
いびきをかきやすい人の特徴は、
- 肥満
- 口呼吸
- アルコールをよく飲む
- 鼻に疾患がある
- ストレスが溜まっている
などが主なものと考えられています。
この他にも、仰向けで寝る人や、首が太い・短い人、鼻が曲がっている人、あごが小さい人など、元々の骨格のせいでいびきがかきやすくなっている場合もあるそうですよ。
いびきでわかる健康リスクや病気とは?
アルコールや疲労などが原因の一時的ないびきは、誰でも起こり得るので、特に心配する必要はありません。
しかし、慢性的・長期的にいびきをかいている人の場合は注意が必要となります。
「いびき」は自分では気付きにくいようですが、自分の出した大きな音で、寝ている途中に驚いて飛び起きてしまったりすることはありませんか?
冗談で「自分のいびきで目が覚めた」という人もいるようですが、仮に睡眠時無呼吸症候群を患っている場合などは、ほんの一時とは言え、酸素の供給がストップしてしまうわけですから、体にも大きな変化をもたらすことになります。
睡眠にとって重要なのは「時間よりも質」と言われています。
例え8時間という充分の時間を睡眠に当てていたとしても、途中で何度も目が覚めてしまったら、悔しいけどそれは十分な睡眠をとっているとは言えません。
睡眠によって脳や体がちゃんと休めないと、いずれは不眠症などの病気を引き起こす原因にもなりかねません。
また、脳の血管障害の影響で意識障害が起こると、筋肉が弛んで舌が落ちこむため、いびきをかくことがあります。
普段はいびきをかかない人が、いきなり大きないびきをかいたり、起こそうとしても目が覚めない場合などは、このような病気の可能性があります。
すぐに救急車を呼びましょう。
うるさい「いびき」の対処法
夫婦や恋人同士では、寝室が一緒のことの多いと思いますが、いびきが喧嘩や不仲の原因になってしまうこともあります。
勇気を出して「いびきをかいてたよ」と注意しても、本人は自覚がないことも多いので、なかなか防ぐことができないようです。
このような時の対処法としては、耳栓をして自分が音を遮断してしまう方法や、いびきをかいている人の枕や布団を少しだけ引っ張るとか、鼻をつまむなどの方法があります。
いびきをかいていることを指摘しても、本人がなかなか信じようとしないときには、その様子を携帯電話やビデオなどで撮影しておくのも証拠としては強力です。
それを見せることで、本人が「自分はいびきをかいている」と認識し、かかないように努力してくれるようになるかも知れないからです。
と言っても、こっちにとって迷惑であることだけ相手に押し付けるのではなく、一緒に改善していく手段を探そうとすることが必要ですね。
いびきを治す努力ってできるの?~7つの改善法~
自分がいびきをかいていることを自覚したら、周囲へ迷惑をかけないようにするためにも、改善するよう努力する必要がありそうですね。
では、いびきを改善するにはどんな方法があるのでしょうか。
枕を変えてみる
高い枕を使っていると、あごを引く体勢で寝ることになるので、気道が狭くなり、いびきをかきやすくなるそうです。
枕を少し低いものに変えるか、思い切って枕をなしで寝てみましょう。
横向きに寝る
天井を見て、仰向けに寝る癖がついている人も実はいびきをかきやすいと言われています。
そういう場合は横向きで寝てみましょう。
慣れなくて寝付けないときには、枕と肩の高さを調整したり、足に毛布などを挟んでみるのも良いようです。
鼻呼吸をする
口呼吸をすると、喉が乾きやすくなっていびきが出るようになります。
寝ている時は意識するのはさすがに難しいですよね。
でも日常的に口呼吸になっていないか自分でチェックして、できるだけ鼻呼吸をするように気をつけてみましょう。
寝るときにマスクをかけると、口は開いても喉は渇かないので、効果的だと思いますよ。
肥満を解消する
脂肪は喉や首周りにもつくので、太っている場合は、当然その分だけ気道が塞がりやすくなって、いびきもかきやすくなってしまうのです。
太らないよう、気をつけてください。
アルコールを止める
アルコールは体内に水分を溜めてむくみの原因になるだけではなく、筋肉を弛緩させる作用を持ってもいるので、気道が塞がれ、舌が喉の奥の方へ落ちやすくなってしまうそうです。
たばこを止める
たばこに含まれる有害物質が気道を傷付けると言われています。
そのせいで気道に炎症が起こり、腫れてしまうことで空気の通り道が狭くなってしまいます。
それがいびきをかきやすくなる原因と言われています。
睡眠薬を止める
睡眠薬にも筋肉を弛緩させる作用があります。
いびきをかくので眠りが浅いからという理由で睡眠薬を服用すると、それが逆にいびきを引き起こしてしまう可能性があるのです。
いびきを病院で治療する方法とは?
自宅でできる改善法を試してみても、なかなかいびきが治らない場合や、いびきのせいで体調不良に陥った時などは、自分で治療するのではなく、病院でしっかりと治療を受けるように心がけてください。
では、いびきの治療法には一体どんなものがあるのでしょうか。
マウスピース治療
就寝時にマウスピースを装着して、あごが沈まないようにして、いびきをかいたり無呼吸になるのを防ぐ方法です。
手術の必要もなく、高い効果が期待できるので、いびき治療法としてよく選択されますが、顎関節症などのあごに持病のある方や、虫歯、歯周病などの方には良くない恐れもあります。
病院での治療で用いられるマウスピースは医療器具なので、通販などで気軽に購入できるものとは違います。
CPAP療法
CPAP療法はシーパップと呼ばれ、寝ている時に専用の機械を装着して、送りこまれた空気によって一定の圧力をかけて気道を広げるという治療法です。
睡眠時無呼吸症候群と診断された場合に選択される治療法ですが、この方法で根治(再発の恐れのない完治)するものではないそうです。
外科的手術
鼻の疾患がいびきの原因の場合は、レーザー治療などを用いて鼻を手術し、鼻づまりを改善することもあります。
それによっていびきが改善されるようです。
いびきの治療は保険適応?病院選びのポイント
いびきがひどすぎて、病院に行こうと思っても、一体何科に行けば良いんだろうと悩んでしまいますよね。
実は受診する科は「いびきの原因」によります。
肥満が原因なら内科ですし、あごが小さい、噛み合わせが悪いなどの原因であれば歯科または口腔外科になります。
鼻や喉の疾患、または睡眠時無呼吸症候群じゃないかと思う時は耳鼻咽頭科または呼吸器科になります。
最近は睡眠障害を扱う専門科を設置している病院も増えてきたので、近所にそういう科がある場合は、そこを受診するのがよいと思われます。
健康保険の件ですが、残念ながらいびきの治療には適用されない場合が多いと言われています。
睡眠時無呼吸症候群のような病名が付くと、その治療については健康保険の適用内とされるそうですが、レーザー治療を受けたりマウスピースを作ってもらう時には、その費用は全額自己負担になる可能性があります。
前もって医師に詳しく相談するようにしましょう。
毎日の習慣で改善する「いびき」の予防法
毎日の習慣にすると、いびきの予防や改善に効果のある「いびき体操」というものがあります。俗に「あ・い・う・べ」体操と呼ばれています。
簡単にできますし、いびきだけではなく虫歯や口臭、風邪、インフルエンザなどの予防にも効果があるなかなか良い体操です。
早速今日から試してみませんか?
- 目と口を大きく開きながら「あー」と言います。この時、声は出さなくてもOKです。
- 口を真横に開きながら「いー」と言います。
- 口を窄めて「うー」と言います。
- 最後に、舌を出しながら「べー」と言います。
10回で1セットになります。
一日3セット行うようにしましょう。
自宅でできる!うるさい「いびき」7つの改善法~病院治療と保険~まとめ
「いびき」は自分の近く眠る人の睡眠を妨げてしまうものです。
自分は十分寝ているし、特に体調も悪くないからとそのままにしてしまうと、大切な家族や恋人を不安にさせることにもなる恐れがあります。
パートナーから「いびきをかいてた」と指摘されたら、恥ずかしいとか、面目を潰されたと怒ったりしないで、前向きに対処や予防、治療を行ってください。
たかが「いびき」と思っていても、大変な病気の原因にもなりかねないのです。
きちんと対応すると自分は元より、周囲の人も幸せにすることができるのではないでしょうか。