ホウレンソウは、ヒユ科ホウレンソウ属の緑黄色野菜。
原産地は現在のイランで、北アフリカ経由でヨーロッパに、シルクロード経由で東アジアに伝わりました。
ホウレンソウには「西洋種」と「東洋種」があり、日本には江戸時代初期に「東洋種」が長崎に伝わりました。
あの有名な武将「伊達政宗」もホウレンソウを食べていたそうです。
現在では、東洋種と西洋種の交配種が主流となって生産され、消費されています。
ホウレンソウ、と言えば、アメリカではアメリカン・コミックの代表的な登場人物「ポパイ(Popeye)」ですね。
小男の水兵(または船乗り)のポパイがホウレンソウ(の缶詰)をむぎゅっと握ってホウレンソウをグビリと一飲みすると、びっくり仰天! 超人パワーが炸裂です。
ポパイの恋人のオリーブが、大男のブルートに言い寄られるのをブッ飛ばしたり、引っさらわれるのを取り戻したりと大活躍。
「ホウレンソウを食べれば、ポパイのように強くなれるわよ」と、ホウレンソウ嫌いの子供達を持つ母親が呪文のように呟きながら、子供たちに食べさせたとか。
ホウレンソウを嫌いなのは子供達ばかりではなかったようです。
あのシュルレアリスムの鬼才、サルバトール・ダリがレシピ本「ガラの晩餐」にこう書いています。
「はっきりと分かりやすい形状のものしか食べたくないのだ。『ホウレンソウ』と呼ばれる忌まわしくみっともない野菜が嫌いだ。それは、自由と同じく形がないからね」
確かに、ホウレンソウは調理によってはグダグダになりますものね。
食材データ
種類:葉菜類
旬の季節:冬
主な効能
栄養補給
胃腸病、痛風、内分泌の病気の予防と改善
栄養成分
ホウレンソウは、β-カロテン、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12及びニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、葉酸、コリン、イノシトール等の総称)、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンKなどのビタミンを豊富に含んでいます。
その中でも特に、葉酸とビタミンKの含有量が高いです。
葉酸はビタミンB12とともに赤血球の形成を助けます。
別名「造血のビタミン」とも呼ばれており、成長を促進し、貧血を予防する効果があります。
ビタミンKは止血作用を持ち、別名「止血のビタミン」。
骨の健康維持にも働きます。
ミネラル類では、鉄、マンガン、亜鉛、リン、マグネシウム、ヨード(ヨウ素)、カルシウム、ナトリウム、カリウムなどを豊富に含んでいます。
貧血予防に効く鉄、骨の健康を保つマンガン、成長促進効果のある亜鉛やヨード(ヨウ素)、丈夫な骨や歯の形成に必要なカルシウム、マグネシウム、リンなどを存分に含む超健康食材がホウレンソウなのです。
また、レバーや牛乳、チーズなどに含まれるアミノ酸「ロイシン」や、サワラやサバにも含まれるアミノ酸「リシン」もホウレンソウに含まれており、私たちの身体の構成に一役買ってくれます。
ホウレンソウはヨーロッパの国では「胃腸の箒(ほうき)」と呼んで親しまれている野菜です。
食物繊維が胃腸を整え、蠕動運動を促し、快適な排便に働きかけます。
ビタミンやミネラル類も豊富ですし、「ホウレンソウの葉を6枚食べれば、1日に必要なビタミンAや鉄分を摂ることができる」そうです。
前述した「造血のビタミン」の葉酸は貧血予防に働くだけではなく、動脈硬化予防や、脳機能の改善効果もあります。
食物繊維やカリウムを多く含むホウレンソウを食べれば、体内の尿酸が排泄されやすくなりますので、血液中の尿酸値が高い状態で引き起こされる「痛風」を始め、そのほかの生活習慣病予防にも役立ちます。
ホウレンソウに含まれる「クロロフィル(葉緑素)」は植物に含まれる天然色素です。
クロロフィルは抗ガン効果、デトックス効果、貧血予防効果のほか、コレステロールやダイオキシンなどの不要物質を体内から排出してくれます。
特徴
ホウレンソウの旬は本来11月~2月。
ですが、現在はハウス栽培により、年中入手可能です。
収穫前のホウレンソウを冷温にさらす「寒締め(かんじめ)」と呼ばれる処理により、低温ストレスを受けたホウレンソウに糖度、ビタミンC、ビタミンE、βカロチンの濃度上昇が見られます。
濃度上昇が起きると、特に根本部分の甘みが強くなり、栄養価も高くなります。
購入の際は、全体的にピンとして張りのある緑色の濃いホウレンソウを選びましょう。
茎が太く、根本部分の赤味が強いものがお勧めです。
ビタミンCなどが減少するので、短時間で茹でるのがポイントです。
アクの主成分である「シュウ酸」も、短時間で茹でることで除去できます。
ホウレンソウにはシュウ酸が多く含まれているため、過度に食べ過ぎると、カルシウムの吸収を阻害します。
また、シュウ酸が体内でカルシウムと結合することにより、腎臓結石や尿路結石になることがあります。
シュウ酸は水溶性なので、茹でることにより、茹で汁にシュウ酸を溶け出させることができるのです。
種類
中国、アメリカ、日本、トルコ、インドネシア、フランスなどが生産地です。
国内では、千葉県、埼玉県、群馬県、宮崎県、茨城県、岐阜県などが挙げられます。
原産地とされるイラン(昔はペルシャと呼ばれた)から伝わった2手のルートにより、「東洋種」と「西洋種」に分かれます。
原産地から中国方面に伝わったのが「東洋種」。
葉は薄く柔らかく根が赤く、アク味が少なく食べやすい品種です。
角種、次郎丸、豊葉、赤根ホウレンソウ、兎城などがあります。
原産地からヨーロッパに伝わったのが「西洋種」。
葉は厚く、アク味が強い品種です。
黒葉ミンスターランド、ノーベル、ピロフレーなどです。
上記2種のほか、お互いを掛け合わせて作られた「交配種」があります。
「交配種」は、丈夫で育てやすくアク味が少ないので食べやすいです。
レシピ
ホウレンソウのおひたし
和食の定番のおかず。
カロリーが低いのでダイエットの方にもお勧め。
飽くまでも手早く茹でるのが調理のコツ。
グダグダ煮ていれば、ビタミンCなどの豊富な栄養分が溶け出し、失われてしまう。
ホウレンソウの白和え
木綿豆腐や絹ごし豆腐、こんにゃくなどと一緒に味噌で和えても美味しい。
ホウレンソウ【ほうれん草】 胃腸の箒! 腸機能を整え、超健康に まとめ
ホウレンソウはビタミン、ミネラルを豊富に含む超健康食材。ヨーロッパでも長く愛されている食材で、「胃腸の箒」とも呼ばれ、食物繊維の働きにより、腸機能の向上や便秘の改善などが見込まれます。
但し、過剰摂取には注意しましょう。
ホウレンソウに含まれているシュウ酸が体内のカルシウムと結合し、腎臓結石や尿路結石を引き起こすことがあるからです。