「エビで鯛を釣る」
これは、「鯛のように大物の魚を釣るのに、小エビを餌にすれば釣れる=大きな利益を受けるのに、小さな労力や投資で済む」ことの喩えです。
エビを気軽に釣り餌にして鯛に食べさせてしまうのは、あまりにも勿体ない。
なぜなら、エビは高タンパクで低脂肪、糖質ゼロで、食べれば強壮効果や免疫力アップにも繋がる健康に役立つ強い味方だからです。
日本人のエビ好きは世界でも大変有名です。
エビ煎餅や、超有名なカルビーのかっぱえびせんなどのスナック菓子を筆頭に、桜エビならかき揚げにしたり、お好み焼きに投入したり、また麺類の薬味としても重宝がられています。
養殖も盛んに行なわれていますが、世界各地からブラックタイガーなどの色々なエビを輸入し、日々、消費しています。
また、エビの長いヒゲやその形状から「長生きの象徴」として見立てられます。
ヒゲが長く伸びて腰が(エビのように)曲がるまで長生きすることを願い、正月飾りやおせちに使われ、縁起物としての役割を果たしています。
食材データ
種類:甲殻類
旬の季節:年中
主な効能
糖尿病、高血圧症の予防
強壮、免疫力強化
毛髪の成長促進
栄養成分
クルマエビ類は泳ぐのが得意、イセエビ類は歩くのが得意です。
英語では、海底を歩くイセエビ類など大型のものは「lobster」、海中で群れを成して泳ぐ桜エビ類など小型のものは「shrimp」、クルマエビ類などの中型のものは「prawn」と呼んで区別しています。
クルマエビは天ぷらや刺身に。
大正時代に漁獲が盛んになったことで名付けられた大正エビはフライや鬼殻焼きに。
甘エビは加賀料理には欠かせませんし、手長エビは佃煮にすると美味です。
前述の桜エビなら、かき揚げのみならず、炒飯や焼きそばにも相性バッチリ。
桜エビの芳しさが単調な味に変化をつけ、食欲をそそります。
エビには独特の甘味と旨味があります。
これは、エビに含まれるグリシン、アラニン、プロリン、セリン、ベタインなどの様々なアミノ酸の働きによるものです。
グリシンが多く含まれるエキスほど美味だとされます。
グリシンは、抗酸化作用を持ち、不眠の改善や美肌効果、抗うつ効果などがあります。
アラニンは、アルコール分解速度を促し、肝機能強化にも働きます。
長時間の運動時にも役立つ成分です。
甘味を持つアラニンは、天然食品添加物としても重宝されています。
プロリンは、コラーゲンの主要構成成分の一つということから推察される通り、美肌効果があります。
セリンは、脳を構成している神経細胞の材料になります。
睡眠を促す働きを持ち、また、アルツハイマー予防効果も期待されています。
ベタインは、肝機能向上効果や、高脂血症の改善、動脈硬化予防に役立ちます。
また、エビにはタウリンも豊富に含まれています。
タウリンは肝機能を高め、動脈硬化予防に役立ち、強壮効果もあります。
カニやエビなどの甲殻類の殻には、キチン質が含まれています。
摂取することで、コレスステロール値を下げる、血圧を下げる、免疫力を高めるなどの効果が見込めます。
イセエビ、桜エビ、シバエビ、ブラックタイガーにはミネラル成分である銅が多く含まれており、銅が鉄分の吸収を促進するので、貧血予防に役立ち、髪や肌を健やかに保ちます。
エビ好きの人にとって忘れてならないのが「エビ味噌」です。
「エビ味噌」の部位は、カニ味噌と同様の器官で「中腸腺(別名:肝膵臓)」と言い、肝臓と膵臓の機能を併せ持っています。
エビの体のほぼ中央部に位置し、エビが餌として食べた物の消化吸収を助ける働きと、栄養の貯蔵庫としての役割を果たしている器官です。
産卵前や脱皮前には中腸腺(肝膵臓)は肥大し、産卵後や脱皮後に退縮します。
エビの中腸腺(肝膵臓)は「エビ味噌」と呼ばれており、その部位を食べれば、とろっとした濃厚な旨味を味わえるだけでなく、栄養の貯蔵庫であるため、その滋養強壮効果はてきめんです。
また、カニの中腸腺なら「カニ味噌」、イカの中腸腺なら「イカごろ」と呼ばれ、珍味として喜ばれています。
特徴
エビは、アスタキサンチンという天然色素カロテノイドを含んでいます。
エビを加熱することで、エビに含まれているタンパク質とアスタキサンチンとの結びつきが切れ、アスタキサンチン本来の赤い色になるとされます。
アスタキサンチンは、活性酸素を消去する「強力な抗酸化作用」を持っています。
脳と目に直接的に働きかけ、脳血管を若々しく保つばかりか、紫外線から肌を守り、老化を防いでくれます。
アスタキサンチンを利用したサプリメントや化粧品もありますよね。
ブラックタイガーなど大型のエビの場合、下処理により、「有頭エビ」と「無頭エビ」に分けられることが多いです。
有頭エビは頭がしっかりしているものを選びましょう。
無頭エビは殻が透き通り、色艶が良いものを。
頭が黒かったり、背ワタが溶けているものは避けてください。
頭と背ワタは傷みやすいです。
エビは、食物アレルギーを起こしやすい食品ですので注意が必要です。
種類
河川から深海まであらゆる水環境に生息し、泳ぐ種類と歩く種類のエビを合わせると、およそ2500種にものぼります。
日本各地の漁場はもちろん、オーストラリア、ニュージーランドなど、世界中からエビを輸入しています。
食用で有名なのは、イセエビ、クルマエビ、シバエビ、トヤマエビ(通称:ボタンエビ)、大正エビ、サクラエビ、ブラックタイガー (別名:牛エビ)が挙げられます。
レシピ
桜海老のかき揚げ
少ない油でカラッと揚げればサクサク熱々のかき揚げの出来上がり。
桜に因んで春に食べたくなる一品。
海老のてんぷら
下処理段階でエビの腹側の筋を切っておけば、エビが丸くならずにまっすぐ揚がる。
天つゆも良いが、揚げ立てを塩で食べるのも美味。
抹茶粉末&塩なら、さっぱりとした味わいが楽しめる。
車海老のおどり
包丁を使わず手で仕上げる場合には、予め氷水に浸けておくとエビが仮死状態になるので扱いやすい。
残った頭は塩焼きに。
エビ【蝦】 味噌は栄養の貯蔵庫。滋養強壮効果あり、髪も健やかに まとめ
エビは、どの種類のエビでも高タンパクで低脂肪、糖質ゼロです。
但し、プリン体を多く含むため、尿酸値の高い方は食べ過ぎに注意しましょう。
刺身や寿司で食べる和食、グラタンやパスタなどの洋食、プリプリのエビ餃子やピリ辛のエビチリが絶品な中華など……
エビは、どの料理法でも美味しく食べられる万能食材です。