コーヒーは体を冷やす?温める?どっちが本当!?カフェイン効果

あなたは、コーヒーを一日に何杯飲みますか?

「あまりコーヒーは飲まない」という人も、「一日に必ず3杯は飲まなければ落ち着かない」という人もいるでしょう。

ですが、コーヒーが私たちの生活に欠かせない嗜好品として根付いるのは確かですよね。

さて、普段から何気なく飲んでいるコーヒーですが、それが体に及ぼす影響を気にしたことがありますか?

口から摂取される食べ物や飲み物によって、体は冷えたり、温かくなったりします。

簡単な例を挙げれば、真夏にカッチカチに凍ったアイスキャンディーを食べると、体内にこもった熱を下げて、しばらくは涼しくなれますよね。

では……コーヒーは?

コーヒーは体を冷やすのか? それとも温めてくれるのか?

コーヒー愛飲家や、冷え性の人にとっては、特に興味を惹かれる話題でしょう。

 

コーヒーは体を冷やすといわれる理由

最近の風潮として、「コーヒーは体を冷やすものである」と確信めいて言われていませんか?

その根拠として、「南国で収穫されるから」というのが一つの大きな理由として挙げられています。

夏野菜と呼ばれる主に夏に収穫されるトマトやきゅうりは体を冷やす効果があるといわれているからでしょう。

 

コーヒーの産地は南国?

下記に、コーヒーの産地を幾つか挙げてみましょう。

  • マンデリンやトラジャで有名なインドネシア
  • インドモンスーンで有名なインド
  • ブルーマウンテンで有名なパプアニューギニア
  • モカ・マタリで有名なイエメン
  • コナで有名なハワイ
  • その他アフリカ諸国(ルワンダ、マラウイ、エチオピア、ケニア、タンザニア)
  • 中南米(ブラジル、ジャマイカ、コロンビア)

などがコーヒーの産地として有名です。

→コーヒー豆の種類とおすすめの産地~ニュークロップが人気!豆の大きさ、熟成など条件によって味も香りも変わる珈琲の奥深さ~

確かに赤道付近の国で収穫されています。

ですが、コーヒーは暑い国で種を蒔いて放っておけば勝手に育つ、というものではありません。

気温、日照、雨季と乾季、降水量、土壌、標高などの様々な条件が揃った場合のみ、生育するのです。

気温について言えば、コーヒーの生育は気温に影響を受け、しかも平均気温22℃程度の高地に適応性があります。

日照について言えば、仮に直射日光がコーヒーの葉に過剰に当たりすぎれば、葉の温度が上昇し、光合成は低下してしまいます。

雨季と乾季について言えば、乾季の終わり頃の降雨によって、コーヒーの花が一斉に開きます。

降水量について言えば、年間1200から1600㎜程度の降水量が必要となります。

土壌について言えば、溶岩や火山灰の風化した土質は排水性が良いため適しています。

標高は1000から2000mの高地で栽培されることが多く、赤道から遠ざかる栽培地は気温が下がり、低地栽培になります。

こうして見てみると、コーヒーは熱帯地域で汗水垂らしながら栽培し、収穫しているわけではありませんよね。

平均気温22℃。必ずしも「南国!」とは言いきれない気候です。

ということは、コーヒーを取り巻く環境の厳密な気温云々を指すのではなく、ざっくり言って「南国産」、「南方の食べ物」というのが実はキーワードなんです。

→コーヒー豆を知る!~コーヒー豆を理解して美味しいコーヒーを~

 

東洋医学における分類

東洋医学においては、食べ物を3つの性質に分けて考えます。

陰、陽、平の3つです。

陰(涼・寒)は体を冷やす食べ物。

陽(温・熱)は体を温める食べ物。

そして平は、そのどちらにも属さないのですが、調理法によって陰になったり、陽になったりと変化する食べ物です。

その東洋医学の分類により、「南方産の食べ物は体を冷やす」と明確に定義づけられており、「南方の人は普段から暑くて仕方がないので、体を冷やす(涼しくする)食べ物を好み、摂取し、またそれらを積極的に栽培し、収穫する」とされます。

コーヒーは、まさに南方の産物であるため、おのずと体を冷やす食べ物の分類に割り振られてしまう、というわけです。

 

カフェインによる血管拡張効果

「体を冷やす」根拠のその他の要因としては、カフェインの過剰摂取により血管拡張が起き、体温が急激に奪われる、また、やはりカフェインの過剰摂取による利尿作用で体温が奪われる、なども挙げられます。

 

コーヒーは体を温めるといわれる理由

今度は、「体を温める」という根拠を挙げてみましょう。

 

カフェインによる血行促進作用と興奮作用

血行促進と興奮作用!

字面だけ見ても、なんだか体温が上がる気がしますよね?

さて、カフェインとは、コーヒー豆や茶葉、カカオの実などに含まれる成分です。

苦味のある白色結晶で、中枢神経の興奮や強心・利尿作用があります。

なるほど、カカオ70パーセント以上含有の高カカオチョコレートが苦いわけですよね。

カフェインには毛細血管を拡張し、血行を促進する働きがあります。

血行促進効果のほか、脂肪燃焼効果もあるとされます。

血行がよくなれば、自然に体が温まりますよね。

カフェインには体熱産生作用があり、3~4杯のコーヒーで、10パーセント程度の熱産生アップが見込めるという研究もあるんですよ。

カフェインの血行促進と興奮作用の上手な活用法として、低血圧や低体温の人が、朝、熱々のコーヒーを飲んで体に「喝!」を入れる、というのもお勧めです。

アイスコーヒーではなく、必ずホットで飲んでくださいね。

起き抜けに冷たい飲み物を飲むのは、コーヒーであろうがなかろうが、体を冷やす原因となります。

 

カフェインの利尿作用

漢方でよく言われる症状に、水毒というものがあります。

体内の水分代謝がうまくいかず、排出されるべき水分を過剰に溜め込んでしまっている状態です。

本来は、汗や尿として排出されなければならない水分が鼻水になり、その鬱陶しさにイライラしたり(アレルギー性鼻炎)、鼻水のせいで頭痛が起きたり膿が溜まったり(蓄膿症など)、足がパンパンにむくんで立っているのもつらかったり(手足の末端部分のむくみ)といった様々な症状を引き起こすのが水毒です。

冷えが原因なのは勿論、甘い物や味の濃い物、油分、アルコールの過剰摂取も水毒の原因となります。

水毒で更に冷えが助長され、冷えと水毒の悪循環が無限ループで繰り返されます。

そんな時、カフェインの過剰摂取を避けつつも、その利尿作用を上手に活用することで、余分な水分を体外に排出し、冷えを改善することが可能でしょう。

利尿作用→体温が下がる→冷え、と一概に考えるのは間違いであり、この場合の利尿作用は、むしろ体を温めてくれる効果の方が大きいのです。

 

その他の理由

コーヒーは、ノルウェーなどの寒い国で積極的に飲用されています。

ドイツでも、砂糖やミルクを入れず、とびきり苦いブラックコーヒーを消化剤の代わりと称して、デミタスカップで食後にククッと一気飲みする人もいます。

もしもコーヒーで本当に体が冷えるのなら、寒い国では飲用されないのではないでしょうか。

更に、コーヒーに含まれるコーヒーポリフェノールには抗酸化作用があり、体内の細胞が錆びつくのを防ぎ、また血管拡張作用もあるので、冷えの改善に役立つと考えられます。

→コーヒーのストレス軽減効果~ホットコーヒーは心も温める!?愛飲者には自殺が少ない理由~

 

結局、一概には言い切れないのか?

「体を冷やす」根拠と「体を温める」根拠の両方を見てきました。

前述、利点として挙げたカフェイン効果ですが、過剰摂取すれば交感神経を強く刺激し、自律神経のバランスが崩れ、血液の流れが悪くなります。

そこで引き起こされる血行不良から、冷え性になってしまいます。

更に、利点として挙げたカフェインの利尿作用も、コーヒーの過剰摂取で水分を排出し過ぎると体の熱を奪って冷えの原因になってしまいます。

一般的な成人の場合、カフェイン摂取量は一日400mgまでとされています。

コーヒーマグカップ3杯分が目安です。

カフェインの過剰摂取は、興奮、覚醒、めまい、下痢、吐き気、不安、震え、不眠、心拍数の増加、血圧の上昇などの弊害をもたらします。

結局、何事も程々に、ということでしょう。

頭を抱え込んで考えることはなく、とりあえず「温かいコーヒーを飲めば、体が温まる」という基本さえ押さえておけば大丈夫ですよ。

 

コーヒーは体を冷やす?温める?どっちが本当!?まとめ

2016年に国立がん研究センターの研究チームが、「日本人でコーヒーを一日3杯以上飲む人は、脳腫瘍発症リスクが低い」という研究結果を発表しました。

これは、コーヒー成分の一部がガン抑制に役立っている可能性を指摘しています。

→コーヒーはあらゆる「がん」に予防効果があるのか!?~肝臓、大腸、肺、直腸、すい臓、子宮体がんの研究結果~

その一方、一日7杯以上の過剰摂取は逆にリスクが高まると海外では報告されています。

つまりは、ほどほどの飲用が体にとって一番良い、ということですね。

体温が1℃下がると免疫力は30%も低くなる、と言われています。

温かいコーヒーを適度な飲用量を守りながら飲み、ストレスなく生き生きと毎日を暮らすことが、冷え性の改善や免疫力アップに繋がると考えられます。

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