「ココア」とはカカオ豆及びカカオ豆を原料とするチョコレート類、ココア、ココアバターを減らした固形物、粉末ココアパウダー、ココアパウダーを溶かし込んだ飲料のことを指します。
どちらが飲み易いかと言えば、粘性を低くしてあるココアの方ですが、「ココア飲料」と「ホットチョコレート」には厳密な区別はありません。
「チョコレート」とは、カカオ種子を発酵・焙煎したカカオマスを主原料として、砂糖やココアバター、粉乳等を混ぜ込んで練り固めたものです。
チョコ、ショコラ(フランス語ではココア、またはチョコレートを指す言葉)とも呼ばれます。
チョコレートの原料であるカカオ農園がマヤ人によって作られ、カカオ豆は飲料の原材料となりました。
初めはコーンミールやトウガラシを入れて飲んでいたものを、チョコレートの苦味を嫌ったスペイン人が砂糖を入れて飲み始めたのをきっかけに、この飲み方が他のヨーロッパの国々に引き継がれていきました。
当初は消化薬として扱われていたチョコレートですが、砂糖を入れて飲み易くなった頃からヨーロッパの王侯貴族や富裕層のみの贅沢な嗜好品として認識されるようになりました。
イギリス人が固形のチョコレートを考案するまで(イギリスのフライ社が製造したチョコレートは、現在のブラックチョコレート)は、チョコレートは飲み物だったのです。
19世紀後半になると、職人による小規模的なものから、大企業の工場大量生産へと生産体制が変わり、チョコレートは庶民の手に入るお菓子へと姿を変えていきました。
2月14日はバレンタインデーですよね。
日本では当たり前のように、意中の男性にチョコレートを贈る習慣が定着していますが、欧米では「女性から男性に贈り物をして愛の告白をする」という習慣であり、チョコレート限定ではありません。
ローマ帝国時代、一人の兵士とキリスト教徒の娘が恋に落ちました。
当時のローマ軍人はキリスト教信仰を禁じられており、当然、二人の結婚は叶わぬものでした
が、掟を破った二人は聖バレンチノ教会で司教の洗礼を受けて結ばれます。
ですが、残念ながら二人はこの世では添い遂げることはできませんでした。
「聖バレンチノ司教」は、その後もローマ帝国の意向に逆らい、迫害を受ける恋人たちを結婚させますが、273年の2月14日、遂に反逆罪で処刑されてしまいます。
この聖人の命日である2月14日を「愛の日」と定め、愛する者同士互いに贈り物をし合うという習慣が生まれました。
食材データ
種類:飲料
旬の季節:年中
主な効能
体を温める
疲労回復
ストレス緩和
即効性の栄養補給
栄養成分
ココア
「ココア」には、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンEなどのビタミン類と、カルシウム、鉄、カリウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラル類が含まれています。
古代からの長い飲用経験がある「ココア」は、手軽に飲めて美味しく、世界中の人から愛されている飲み物です。
カカオフラバノール等のポリフェノール、微量ミネラル等を含むほか、不溶性食物繊維が豊富です。
不溶性食物繊維の約60%を占める「リグニン」という成分が整腸作用(便秘の解消)を促します。
緑茶や紅茶と同様、抗酸化作用(活性酸素を除去)のあるカテキン類を豊富に含んでいます。
ココアのカフェイン含有量はコーヒーや紅茶に比べ、ごく微量です。
健康な成人1回の摂取量は200mg以下、1日あたりでは400mg以下であれば安全上の懸念はないとされていますので問題ありません。
ココアには、コーヒーや紅茶に含まれていない「テオブロミン」という特徴的な成分が含まれています。
苦味成分でもある「テオブロミン」は自律神経を調節し、リラックス効果をもたらしますが、と同時に中枢刺激作用があり、気管支拡張や利尿作用を誘発します。
妊婦や子供は、多飲しないようにしましょう。
「ココア」には歯周病菌を始めとする多くの抗菌効果があることが、動物実験等において実証されています。
- ピロリ菌が無菌マウスの胃内に感染、定着するのを抑制した。
- 試験管内及び臨床試験において、ココアのインフルエンザウイルス感染抑制効果を確認。
- 2週間のココア飲用により、口腔内の歯周病関連菌が減少した。
因みに、漢方学の陰陽論で言うと、ココアは体を温める「陽性食品」だそうです。
科学的にも、生姜と同様、ココアが体を温める機能食品であることが知られています。
双方の飲料摂取後、手の甲表面温度上昇の立ち上がりと温度低下を計ったところ、生姜が、急速に温度低下が始まるのに対し、ココアは緩やかな温度低下が続き、冷えを長い時間抑制することがわかりました。
ココアを日頃から飲むことで冷え性改善効果が期待できます。
ココアに含まれるカカオマスポリフェノールが、余分なコレステロールや発ガン性物質の抑制に働きかけ、高脂血症や糖尿病などの生活習慣病を防ぐのにも役立ちます。
チョコレート
「チョコレート」はタンパク質、炭水化物、脂質、ミネラルを含み、運動時の栄養補給や、疲労時の即効性回復に役立つ高エネルギー食品です。
山で遭難した人が持っていたチョコレートを食べて数日間も命を繋ぎ、無事に救助されたという事例もあります。
ミネラルでは「クロム」と「銅」の割合が高く、「クロム」は糖尿病や動脈硬化の予防効果があり、「銅」は貧血予防や免疫力向上、成長促進する効果があります。
即効性の高い栄養源ですし、チョコレートに含まれている脂質や糖分を過剰摂取すれば、肥満の恐れが生じます。
チョコレートの原料であるカカオの「カカオポリフェノール」には抗酸化作用があり、発ガン性物質の抑制やストレスの緩和に働きかけます。
チョコレートに含まれる「テオブロミン」の作用により、子供がチョコレートを食べ過ぎると中枢神経が刺激され、いつもよりはしゃぐことがあり得ます。
因みに、漢方学の陰陽論で言うと、チョコレートもココア同様、体を温める「陽性食品」。
雪山登山の非常食には必須と言えましょう。
特徴
ココアの特徴
純ココアは溶かす際にダマになりやすいので、予め砂糖とよく混ぜ込んでおいてから、水や牛乳を加えましょう。
ココアパウダーをコンデンスミルクに練り込みペースト状にしてからお湯を加えてもダマになりにくく、簡単に溶けます。
牛乳や湯を注ぐだけですぐ飲める「インスタントココア」なら、飲む時の手間が省けますが、甘味の微調整が難しいです。
純ココアは粉っぽい風味。
調整ココアはホットチョコレートに近い口当たりです。
チョコレートの特徴
固形チョコレートは熱に弱く溶けやすいので、冷蔵庫で保存しましょう。
溶けて再結晶化したもの、過度に冷却したもの、長期間保存したものは白い色(ブルーム)が付着することがあり、風味や味が落ちてしまいます。
ですが、食べても問題はありません。
共通の特徴
人間を除くほとんどの動物(犬、猫、鳥類。特に犬)はチョコレートを食べると中毒症状を起こします。
中毒症状は、嘔吐、下痢、興奮、フラフラする、震えや痙攣などです。
最悪、死に至る危険性があります。
ココアやチョコレートに含まれている「テオブロミン」成分を代謝できないのが原因です。
種類
アメリカ、ドイツ、イギリス、ブラジル、フランス、イタリア、日本などで生産されています。
ココアには「ピュアココア」、「ココア(調整ココア、インスタントココアを含む)」などの種類があります。
チョコレートには「ブラックチョコレート(ビターチョコレート)」、「ミルクチョコレート」、「ホワイトチョコレート」などの種類があります。
レシピ
ピュアココア (純ココア)
脂肪分が22%以上のものを純ココアと呼ぶ。
砂糖を含んでいないので、ミルクココア(調整ココアなど)よりカロリーが低い。
ホットココアとして飲むほか、ティラミスなどのお菓子にも使われる。
チョコレートケーキ
チョコレートと同様、高カロリー食品。
ダイエット中の方は避けた方が無難かもしれない。
ホットケーキミックスで簡単に作れる。
ココア・チョコレート ミネラル含有で即効性の高いエネルギー源 まとめ
「ココア」には、整腸作用、抗菌作用、冷え性改善、抗酸化作用があります。
「チョコレート」は即効性のある高エネルギー食品で、疲労回復、栄養補給、ストレスの緩和に効果的です。