ブリは、スズキ目アジ科に分類される海水魚。
回遊性の大型肉食魚で、日本では冬場の重要な栄養源です。
「寒ブリ、寒ボラ、寒ガレイ」のことわざ通り、ブリは寒い季節が旬なのです。
北海道から九州までの広い海域を回遊し、冬に獲れる「寒ブリ」はとても美味しいです。
成長するに従って名前の変わる「出世魚」であるばかりか、大きくなるほど脂がのって旨味が増します。
ぷりぷりのブリの「刺身」、出汁にさっとくぐらせてから食べる「ブリしゃぶ」などの代表的な調理法が頭に浮かぶことでしょう。
ですが、食べ過ぎると結構な高カロリーを摂取することになります。
ブリは脂質やタンパク質を豊富に含んでいるからです。
カロリーが気になる方は、蒸したり茹でたりして食べましょう。
「ブリ」の名前の由来には諸説あり、江戸時代の学者「貝原益軒」が「脂多き魚なり、脂の上を略する」と言ったことから、「アブラ」が「ブラ」へ、さらに転じて「ブリ」となったという説。
また、「魚へんに『師』=鰤」と読ませるあたり、「ブリが師走に脂がのって旨くなるから」という説。
「身が赤く『ブリブリ』しているから」というダジャレ(?)説も。
八代将軍「徳川吉宗」や、九代将軍「徳川家重」もブリ料理を堪能していたようです。
その時代のレシピ本「黒白糖味集」に、「当座鰤煎炙(*)」というブリ料理が紹介されています。
荒波を泳いで身が引き締まった寒ブリを鍋で焼く調理法です。
*「煎炙」→魚を直火で焼かず、鍋に入れて焼くこと
富山県の氷見のブリが美味しいのは、「冬に産卵のために北海道から一直線に九州へ向かう途中、群れごと富山湾に突っ込んでしまうから」だそうですよ。
富山県の「県の魚」の一つに「ブリ」が認定されています。
11月下旬、富山湾に雷雨とともに押し寄せるブリの群れを、地元の人は「ブリ起こし」と呼んで歓喜をもって迎えるのだとか。
そんなブリには、合唱曲「寒ブリのうた」があります。
聴いて面白かったので、歌詞をご紹介しておきましょう。
時雨て~ 時雨れて~
氷見の海~
雪降る~ 雪降る~
氷見の海~
ぶんぶんぶんぶん ブリブリ♪
ぷるんぷるんぷるんぷるん ブリブリ♪
氷見の海は ブリの海だよ~真冬の暗い空に ブリ起こしの雷が
荒れて~ とどろいて~ ブリを呼び~
ぶんぶんぶんぶん ブリブリ♪
ぷるんぷるんぷるんぷるん ブリブリ♪
ブリたちが来る 群れをなして来る~
来る 来る 来る来る来る♪
群れをなして来る~
氷見の海原は~ ブリの通り道~
押し合いへし合い 押し合いへし合い
ブリたちの大群が寄せて来る~
来る 来る 来る~海の命があふれて~
生きてる 跳ねてる寒ブリ
こぼれる涙もあるだろうに
大きな目玉を見開いて
力一杯 力一杯
冷たい海を~ 冷たい海を~
泳いで育った 越の寒ブリ
越の寒ブリ~♪冷えるよ~ 冷えるよ~
氷見の海~
雪降る~ 雪降る~
氷見の海~ぶんぶんぶんぶん ブリブリ♪
ぷるんぷるんぷるんぷるん ブリブリ♪
氷見の海は ブリの海だよ~
ソレ!
ぶんぶんぶんぶん ブリブリ♪
ぷるんぷるんぷるんぷるん ブリブリ♪
氷見の海は ブリの海だよ~
ぶんぶんぶんぶん ブリブリ♪
ぷるんぷるんぷるんぷるん ブリブリ♪
ブリの海だよ~♪
冬の荒波を思わせる悲哀溢れる壮大な美しいメロディーが打って変わり、軽く弾むように、「ぶんぶんぶんぶん ブリブリ♪ ぷるんぷるんぷるんぷるん ブリブリ♪」のサビ。
一度聴いただけで強烈なインパクトです。
食材データ
種類:魚類
旬の季節:冬
主な効能
滋養強壮
動脈硬化、血栓症の予防
健脳
栄養成分
北海道から九州までの広い地域を回遊する魚で、3~5月頃にかけて九州で産卵したのち、孵化した稚魚が餌を求めながら北上します。
餌を十分に食べて成長したブリは、冬に産卵するため再び南下して九州に向かいます。
産卵前のブリは「寒ブリ」と呼ばれ、栄養をたっぷりと蓄えていてとても美味です。
ブリは成長するに従い名前を変えていく「出世魚」でもあり、関東では15㎝以下を「モジャコ」、20cm級を「ワカシ」、40㎝級を「イナダ」、60㎝級を「ワラサ」、80㎝以上を「ブリ」と呼びます。
関西では「モジャコ」、「ワカナ」、「ツバス」、「ヤズ」、「ハマチ」、「メジロ」ときて、80㎝以上のものを「ブリ」と呼びます。
日本各地によっても、ブリの呼び方は異なります。
また、養殖物を「ハマチ」、天然物を「ブリ」と呼ぶ場合もあります。
前述しましたが、日本海のブリ……特に富山県の氷見港のブリは「能登寒ブリ」と言われ、身が引き締まり、脂が乗って絶品です。
ブリには、動脈硬化や血栓予防効果のEPA(エイコサペンタエン酸)、健脳効果のDHA(ドコサヘキサエン酸)が多く含まれています。
「ブリの煮つけ」にすると、ブリの身がとろけて柔らかくなり、タレも煮詰まって美味しくなります。
滋養強壮にとても良いですね。
特徴
タンパク質、脂質が多い魚なので、油を使った調理法ではかなりのエネルギー摂取量です。
ビタミンでは、貧血予防効果のあるビタミンB12、ミネラルでは、老化や病気予防効果、ガン予防効果のあるセレンの成分値が高いです。
ブリは3年ほど経なければ、10kgを越えて成長しません。
ブリの卵を鰤子(ブリコ)と呼びます。
料理法は多岐に亘り、「刺身」、「カルパッチョ」、「ブリしゃぶ」、「ブリの照り焼き」、「ブリ大根」などが挙げられます。
出世魚なので縁起担ぎとして、西日本のおせち料理には欠かせません。
九州北部では、嫁ぎ先の家から嫁の実家へブリを贈ることにより、「嫁ブリが良い」ことを、嫁の実家に伝える習わしがあるそうです。
種類
日本、中国、インドネシア、韓国などで漁獲されます。
国内では、島根県、鳥取県、長崎県、石川県、千葉県などで漁獲されます。
養殖ブリは、鹿児島県、愛媛県、長崎県、大分県などです。
ブリの別名:「イナダ」、「オオイソ」、「オオイナ」、「オオブリ」、「サンカ」、「サンネンゴ」、「ツバエソ」、「ツバス」、「ニネンゴ」、「ニマイヅル」、「ハマチ」、「フクラギ」、「メジロ」、「モジャコ」、「ヤゾウ」、「ワカシ」、「ワカナゴ」、「ワラサ」等々。
地域によって呼ばれ方も違います。
レシピ
ブリの照り焼き
焼き色を付けたブリに醤油や酒などの調味料を絡ませるシンプルな料理。
焼く前に予めタレを滲み込ませておくと手っ取り早い。
油と一緒に調理するため、カロリーは高め。
おひたしなどを添えて。
ブリ大根
富山県の郷土料理。
ブリの切り身、アラを大根と一緒に煮込んだ料理。
ブリの臭みを消すため、ショウガを加えて煮込む。
時短のため、圧力鍋を使うと中まで柔らかくなり、食べやすくなる。
ブリ【鰤】 脂質やタンパク質に富む魚。過食は結構な高カロリーに まとめ
「寒ブリ、寒ボラ、寒ガレイ」のことわざ通り、ブリは寒い季節が旬。
冬場の大切な栄養源です。
富山県氷見港の寒ブリは特に美味しく、「寒ブリのうた」で歌い上げられているほど。
脂質やタンパク質に富み、栄養たっぷりの食材ですが、カロリー高めなので食べ過ぎには気をつけましょう。