原爆Tシャツ

BTSの原爆Tシャツは表現の自由に反するとTBSに対して訴えかけています。
発端はTBSの音楽番組「ミュージックステーション」に出演予定だったBTS(防弾少年団)が急遽出演を中止されることになりました。
理由としてはBTSメンバーが着ていたとされる「原爆Tシャツ」にあるようで、これがネット上で波紋を呼んでいるということです。

さて、ここで言論の自由とはなにか、表現の自由とはなにか。
どこまでが自由なのか。
曖昧でよくわからないですよね。

 

噂の原爆Tシャツ

まずは波紋を呼んだという原爆Tシャツをみてみましょう。

原爆Tシャツ

原爆Tシャツには原爆投下によるキノコ雲と万歳をする人々の写真があり、なにやらアルファベットがたくさん書かれています。
このアルファベットの詳細をみてみると。

  • PATRIOTISM 愛国心
  • OURHISTRY 私たちの歴史
  • LIBERATION 解放
  • KOREA 韓国

という文字が書かれていることがわかります。
また、原爆と万歳の写真は、「原爆により終戦して韓国が解放され万歳している」というようなメーセージがあるように思えます。

しかし、これはこれで「表現の自由では?」と考えさせられますが、本当はどうなのでしょうか。

 

表現の自由

日本には言論の自由というものがあります。
日本国憲法でいうところの表現の自由にあたります。
日本国憲法 第二十一条に記載されています。

日本国憲法 第二十一条
集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。
検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。

これを読むと、集会、結社、言論、出版、放送、インターネットなど一切の表現の自由が保障されているということになります。
表現の自由には他に「宗教の自由」「学問の自由」「思想の自由」など数え上げればキリがないほどの自由が保障されているのです。

また、「検閲をしない」とありますから、中国のように情報を操作するようなこともできないということです。
お金で解決できるような経済的自由権よりもさらに手厚く保護されているのが表現の自由です。

 

民主主義における大前提

表現の自由というのは民主主義にとっても大切なことです。
もし、国会で表現が規制されているなら、どのような議論が行われたのか、私たち庶民にはわからなくなります。
政党でも同じように「税金を上げる or 下げる」や「移民を受け入れない or 受け入れる」などの表現の自由がないとどの政党を選んでよいのかわかりません。
一個人でも同じです。
あなたがどのような考えがあるか表現することで、私が知ることができるからこそ私があなたを友達と呼ぶか、またはそうでないかを決めることができるのです。

もし、これが規制されたり、中国のようにネットに検閲が入れば「何が起こっているのか」「ニュースで話題の人がどのような人なのか」を知ることができなくなり、好き嫌いを選ぶこともできなくなります。

表現の自由というのは民主主義国家においての大前提なのです。

 

表現の自由には条件がある

表現の自由は保障されていますが、いったいどこまでなのでしょうか。
無条件に表現できるならなんでも言えますよね。

実は無条件ではありません。
他人を不利益にする表現は罰せられます。

「殺すぞ!」と表現すると脅迫罪ですよね。
他人を陥れる行為や言動なども相手に不利益が認められれば犯罪となります。
他にワイセツ物陳列罪があります。
いくら表現したいからといっても裸で出歩いては逮捕されます。
ごく一般の方ならわかると思いますが、こういった意味では表現の自由には条件があるといえるのです。

BTS(防弾少年団)の原爆Tシャツは表現の自由によりOKということになります。

 

表現の自由は正しくなくても良い

表現の自由が適応されるのは国家対国民の場合です。
国民と国民の言い争いは民事になりますし、国民による民間企業と国民の間には適応されないので間違った表現でも良いのです。
表現の自由というのは正しいことを言わなければならないわけでもなく、間違った表現でもよく、それこそが自由というにふさわしく、また真理であるともいえます。
例えば「BTS(防弾少年団)は韓国人だから日本に来るな」という言論や表現も自由です。

但し、「正しいものは残り、間違ったものは残らない」ともいえるのではないでしょうか。
ヘイト問題も女性差別問題なども個人の考えですから自由です。
しかし、「韓国人は嫌い」と言うくらいならともかく、「韓国人は死ね」などと表現する人とお付き合いしようと思うでしょうか。
「天皇陛下は廃止すべきだ」と言っても「韓国人は死ね」と言っても逮捕されるわけではありませんが、他人が賛成すれば人が集まり、反対すれば人が遠のくのはごく自然なことです。

 

テレビ局は民間企業

今回のTBSの「ミュージックステーション」に関しても同じです。
ミュージックステーションに原爆Tシャツを着たBTS(防弾少年団)を出演させても国家は検閲しませんし、警察も逮捕をしません。
ただ、テレビ局は民間企業です。
番組視聴者の中で物議を呼ぶような危険を犯したくないのでしょう。
BTS(防弾少年団)が原爆Tシャツを着て日本の番組に出演することにより、「日本人は馬鹿だ」と韓国人は大笑いするかもしれません。
逆に、そういった意図は全くなく、あくまでファッションで軽い気持ちだったというのならテレビ局にとってはなおさら危険です。
どちらにせよ民間の放送局にとってはファンを楽しませる利益よりも不利益を避けたと言えるでしょう。

多くの人に危険視されている人物はどこのテレビ局でも出演させたがらないのは当然のことですね。

※追記: 原爆Tシャツのデザイナーも謝罪し、終息に向かうかとも思われましたが、やはり原爆というキーワードが失策だったようです。
ミュージックステーションは年末のスーパーライブのBTS出演案も白紙に戻した他、FNS歌謡祭も出演依頼を撤回、大晦日恒例のNHK紅白歌合戦でも出演依頼を見送ったそうです。
こうなると出演させた番組が避難をあびることとなりますのでBTSの日本でのテレビ露出は全滅と考えていいかと思います。
触れてはならないところに触れてしまったということでしょうか。

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