アズキ。
そう聞いて何を思い浮かべますか?
超有名なアイスキャンディー「あずきバー」?
それともお汁粉やお赤飯?
アズキの煮汁を飲むダイエット方法?
アズキを使って、海の音響効果?
戦時下では、基本的に食料の差し入れは禁止されていたので、疎開先の子供達の健康を心配した母親達が、お手玉の中にアズキを入れて送っていたそうです。
ろくな物を口にできず痩せ細り、あまりの飢餓感に耐え切れなくなった子供達は、お手玉の縫い付け糸を解いて、見つからないよう、こっそりとアズキを食べていたとか。
アズキには不溶性食物繊維という食物繊維が含まれています。
「食物繊維」と聞けば、腸の蠕動運動を促すので便秘が解消され、健康にも良しとされます。
ですが、「不溶性」という言葉からもわかる通り、水に溶けない食物繊維を含むアズキの食べ過ぎは、さぞかし胃腸に負担がかかったことでしょう。
お手玉に入っていたのが生アズキなのか、炒ったアズキなのか詳細はわかりませんが、とにかくお腹に物を入れることしか考えられずに口にしていたのでしょうね。
飽食の時代と言われる今から考えると、まさに想像を絶する状況です。
日本では、アズキは縄文時代から食べられていた豆で、遺跡からも発掘されており、古事記や万葉集にはアズキのことが書かれています。
アズキの主な成分は、糖質とタンパク質です。
タンパク質が20%の割合を占めており、高タンパク低脂質で、栄養価が高い豆(アズキ100gで339キロカロリー)です。
ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、亜鉛、カリウム、鉄などの成分も多く含まれており、アズキの赤い外皮には、ぶどうやブルーベリー、アサイーに含有されていることで有名なアントシアニンも豊富に含まれています。
ビタミンB群は、糖を燃やし、効率よくエネルギーに変換するように働きます。
アントシアニンは、眼精疲労や血行促進に効きます。
また、特筆すべきはアズキの皮に含まれるサポニンという成分です。
サポニンには高い利尿作用があり、漢方で言うところの「水毒」によるむくみや浮腫に効果があるとされます。
サポニンには溶血作用がありますので血栓ができにくくなり、血液がサラサラになる効果も期待できます。
昔は、産後の肥立ちが悪い女性に積極的に食べさせたそうです。
出産時にできた血栓が体内の血流で詰まるのを防ぐため、そしてアズキを食べることで母乳の出が良くなることを、昔の人は経験上知っていたからに違いありません。
食材データ
種類:豆類
旬の季節:秋
主な効能
利尿作用
むくみの改善
二日酔いの改善
母乳の出を良くする
消炎作用(化膿前の腫れ物に外用薬として用いる)
栄養成分
アズキは栄養価が高く、ビタミン、ミネラル、食物繊維が豊富です。
他の豆類と同じく、高タンパク低脂質です。
食材としての利用だけでなく、漢方薬としても利用されます。
「アズキ」ではなく「赤小豆(せきしょうず)」と呼ばれる生薬名となり、心臓や小腸に効能が出やすいとされています。
アズキにはカリウムも含まれていますので、その作用により、むくみや尿量の減少が改善されます(利水消腫作用)。
カリウムには利尿作用のほか、便通改善や緩下剤としての作用もあります。
アズキに含まれるサポニンには、抗炎症作用・溶血作用・脂質代謝改善効果がありますので、化膿性疾患や乳腺炎の予防、痔などの患部の炎症状態の痛みの緩和などにも効果が期待できます。
強心薬や去痰薬として、また、脚気や下痢の方にも処方されます。
アズキが配合される漢方薬名は、「赤小豆湯」、「麻黄連軺赤小豆湯」。
サポニンという成分は、多くの植物に含まれている配糖体(糖類と炭水化物の複合体)です。
水に溶けると泡立つ特性を持っています。
高い利尿作用を持つサポニンが体内の水分量を調節し、むくみや浮腫の軽減に働きます。
また、サポニンには脂質の代謝を促す効果もありますので、高脂血症や高血圧、肥満予防にも期待できます。
サポニンはアズキの外皮の部分に多く含まれていますので、サポニン効果を最大限に活かすためには皮つきのまま食べましょう。
アズキにはビタミンB群も多く含まれています。
ビタミンB1が不足すれば、大したことでもないのにキレやすくなる、だるくなり無気力になる、更に症状が悪化すれば脚気などの病気を引き起こします。
ビタミンB2が不足すれば、口角が切れやすくなる、口内炎になるなどの症状が出ます。
アズキの茹で汁の効能としては…
50gのアズキを600㏄の水に入れ、半量になるまで煎じます。
煎じたものを飲用すれば、利尿が促され、ひどい「むくみ」や二日酔いの改善に期待できるとされています。
アズキの煮汁には、D-カテキンという紅茶の色素と同じものが含まれおり、発がん抑制効果があるといわれています。
アズキを煮るのが面倒な方は、アズキを炒っておいて冷暗所に保管しておき、お茶のようにして飲むのはいかがでしょう?
化膿性疾患の症状(おできや吹出物)には、アズキをつぶして粉にして、それに水を加えて練った状態にしてから、患部に貼っておくと良いでしょう。
特徴
低温に弱く霜害を受けやすいため、霜の降りなくなった時期を見計らって種を撒きます。
アズキにはサポニンだけでなく、カリウムも多く含まれています。
カリウムは体内の余分な塩分や水分を排出し、浮腫の改善やむくみの予防に効果があります。
カリウムはバナナに含まれていることが知られていますが、意外にも、アズキにも豊富に含まれています。
100g中のカリウムの量を比べると……
アズキ(乾燥) 1500mg
バナナ 360mg
また、ビタミンB群の中では、特にビタミンB1が多く含まれています。
鉄分は、ほうれん草の2.7倍と言われています。
アズキの栄養を効率よく取り入れるには、甘味を抑えた煮物などがお勧めです。
種類
原産地は東アジア。
国内の生産量はほぼ北海道が占めています。
そのほか、「丹波」、「備中」が挙げられます。
大納言、中納言、白小豆、黒小豆などの種類があります。
レシピ
おはぎ
お彼岸になくてはならぬ「おはぎ」。
箱をパカッと開けた時、ズラリと並ぶおはぎに甘党ならば垂涎もの。
やや甘味を控えれば、あんこ味、きなこ味と次々に手が伸びそう。
春は「ぼたもち」、秋には「おはぎ」と呼ばれます。
ぜんざい
これを食べた僧侶があまりの美味しさに「善哉」と褒め称えたことから「ぜんざい」と呼ばれるようになったという説もあり、冬のおやつの定番。
餅入りの熱ーいぜんざいをフウフウ食べれば、凍えた体が芯から暖まります。
アズキ粥
アズキ粥は中国から伝来。
日本では小正月に邪気払いのために食べる習慣があります。
アズキ茶
利尿作用でむくみに効き、冷え性にも効果があります。
悩める女性の味方、アズキ茶。
アズキ羊羹
老舗羊羹も良いですが、こしあんと寒天があれば意外と簡単に作れるので、急なお客様へのおもてなしにも。
緑茶と相性バッチリです。
赤飯
言わずとしれた、ハレの日の膳。
赤い色が喜びの日を引き立てます。
腹持ちがよく栄養価も高いので、缶詰やフリーズドライ製品化され、非常食としても。
アズキ【小豆】 サポニンで血液サラサラ、利尿効果でむくみ改善! まとめ
アズキに含まれるサポニンには、血液をサラサラにして高脂血症を予防したり、血液中に血栓ができにくくする効果もあるので、高血圧などの予防にも期待されます。
アズキに含まれるカリウムには高い利尿作用があります。
むくみやすい方にはお勧めの食材です。
アズキと言うと、ついお汁粉やおはぎなどの甘味に注目しがちな食材ですが、煮出して汁を飲んだり、お茶として飲むなどの一工夫で、労せずに体調管理ができそうですね。