味が良いため、高い評価を得ている魚に「アジ」が挙げられます。
アジは、日本人には御馴染みの魚です。
過去をさかのぼり、縄文時代の人々も食べていたとされる証拠に、遺跡からはアジの骨が出土しています。
昔の人はどういった食べ方をしていたのでしょうか?
やはり、単純にアジを焼いて食べていたのでしょうか?
アジの栄養を効率良く体内に摂りこむ調理法に、アジの干物が挙げられます。
天日で干すことにより、魚臭さが飛び、太陽光での殺菌効果もあり、更には旨味成分や栄養素がギュギュッと凝縮されて美味しく召し上がれます。
「アジの干物」にお味噌汁、ご飯に漬物…これぞ「The日本の朝食!」という感じがしませんか?
ですが、最近では「骨を取るのが面倒」…アジに限ったことではなく、魚全般ですね…
また、「朝食はパンに限る!」という人も増え、朝からアジを食べる習慣も少なくなってきたようです。
食材データ
種類:魚類
旬の季節:晩春~晩秋
主な効能
動脈硬化、高血圧、肝臓病の予防改善
認知症の予防
視力・眼精疲労の回復
栄養成分
アジは世界中の暖かい海域に広く分布している魚です。
日本では北海道南部以南に分布しており、ほぼ各地の海域に棲んでいます。
南に行くほど海外では東シナ海や朝鮮半島まで広く分布しています。
「アジ」といえば、「マアジ」を指すことが多いですが、日本の近海にはムロアジ、メアジなどの20種ほどのアジ仲間がいます。
海岸から50〜100メートル程度の浅い岩礁や、海藻が繁茂している場所を生活圏としている根着きタイプのマアジと、暖流に乗って回遊する外洋回遊タイプのマアジがいます。
根着きタイプのマアジは、海底の岩場周辺のエビを常食としており、脂が乗っていて美味しいです。
「キアジ」、「キンアジ」などと呼ばれます。
回遊タイプのマアジは体色が青黒いので「クロアジ」、「ノドグロ(ノドクロ)」などと呼ばれます。
「ノドグロ(ノドクロ)」は口の奥が黒いので「喉黒」と呼ばれており、さっぱりとした上品な味わいの高級魚です。
アジにはアラニン、グリシン、グルタミン酸などのアミノ酸や、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)という必須脂肪酸が多く含まれています。
DHAとEPAのどちらも血液をサラサラにする効果があります。
DHAは、血管などの細胞膜を柔らかくする作用があり、それが血流を促すことにつながります。
EPAを摂取すると、血小板凝集抑制作用*により、血液中に血栓ができにくくなるため、血流が良くなります。
*血小板凝集抑制作用とは、多数の血小板が寄り集まって塊になることを防ぐ作用のこと。
「血小板」は血液細胞成分の一つです。
怪我をして出血した際、血管壁に血小板凝集が起きて止血されます。
DHAとEPAが摂取されると、小腸から肝臓を通って血液に入ります。
DHAは脳や網膜に働きかけ、海馬の活性化や視力向上に作用します。
EPAは血液中に働きかけることで、血栓をつくらせない作用や、中性脂肪を溜まりにくくする作用があります。
DHAとEPAを同時に摂取することで相乗効果が期待できます。
また、アジに含まれているアミノ酸が、DHAとEPAなどの必須脂肪酸とうまく混ざり合うことで、コクのある旨味が引き出されるのです。
更に、アジにはタウリンも多く含まれています。その含有量は、サバやサンマよりも多いそうです。
タウリンはアミノ酸の一種であり、身体の健康を維持するための働き(恒常性維持機能)をもっています。
気温の変化などに対応し、例えば、運動などで脈拍が乱れた場合にも、体を元の状態に戻そうと働くのです。
タウリンには肝機能強化の効果もあり、疲労回復にも役立ちます。
タウリンには動脈硬化予防や、網膜を守って新陳代謝を高める作用もありますので、角膜の修復にも効果があるといわれています。
- 「アジの味、鴨のごとし」…鴨の肉のようにアジが美味しいという喩え。
- 「アジは味なり」…儒学者である新井白石の言葉。
- 「アジは味に通ず」…と言われ、昔から庶民に愛されてきた。
などなど。
味が良い魚なので「アジ」と呼んだ、という説があります。
魚へんに参ったと書いて「鯵」なので、あまりの美味しさに参ってしまうから、という落語のオチみたいな説も存在しています。
また、アジは光に集まってくる習性が強いので、魚が良く集まる所を意味する「アジロ=網代」から、アジの名が由来してきた、という説もあります。
アジが良いだけではなく、体にも良い。
アジを食べることでDHAとEPA、タウリンなどの成分が有効に働けば、動脈硬化防止や高血圧予防に役立ちますし、脳血栓や心筋梗塞のリスクを下げ、更には視力低下防止や肝機能強化にも期待できるでしょう。
特徴
「アジ」と言った場合、日本では「マアジ」を指すことが多く、アジにはゼイゴと呼ばれる棘状のものがあるのが特徴です。
ゼイゴは、アジの尾ヒレの付け根部分からエラまである固い鱗です。
地方により、アジをブランド化しています。(「関アジ」など)
旬のマアジはとても美味です。寿司ネタにも適しています。
「ムロアジ」は、干物や加工食品として重宝されています。
「シマアジ」は、アジの中でも高級食材とされています。
アジ(を含む青魚)は、目が澄んでいて、エラは鮮紅色、その体に光沢と張りがあるものを選びましょう。
エラやヒレがピンとしており、ゼイゴもしっかりして、アジの腹が丸く高く盛り上がっていれば、そのアジの味の美味しさは保障されています。
釣ってきたばかりの鮮魚だから下処理をしなくて良い、というものではありません。
内臓があるままでは、どんどん鮮度が落ちていきます。
アジのはらわたにはアニサキス寄生虫がいる場合がありますので、買ってきたら(釣ってきたら)すぐに内臓を取り除いて適切な処理をしておきましょう。
種類
海外の産地では、ノルウェー、オランダ、アイスランド、台湾、中国、韓国などが挙げられます。
国内では、鳥取県、長崎県、鹿児島県、千葉県、島根県などが挙げられます。
アジの仲間は百数十種類ほどあると言われています。
食用としては、マアジ(外洋)、マアジ(瀬付き)、ムロアジ、メアジ、シマアジが挙げられます。
レシピ
アジの開き
大きさも手頃で食べやすいアジの開き。
両面に少量の酒を塗ってから焼くことで魚臭さが飛び、とても美味しく仕上がります。
アジフライ
バリバリ食べたいアジフライ。
下処理では、喉に刺さりそうな骨は全て除去しておきましょう。
揚げる前、残しておいても良いのは尻尾だけ。
魚の骨の事故にはくれぐれも気をつけて。
アジのナメロウ
元は、漁師の船上料理と言われています。
新鮮なアジをおろし、味噌と香味野菜を混ぜてたたき合わせれば、絶品の酒のつまみの完成です。
滑らかな舌触りと旨味は、まさに「なめろう」と言い得て妙。
アジの塩焼き
定番中の定番、アジの塩焼き。
皮をパリッと焼き上げましょう。
適度の塩味が、ふっくらとしたアジの身を引き立てます。
アジ【鯵】 タウリン含有で、動脈硬化や肝機能強化に効果的 まとめ
調理法によっても、アジの栄養成分の摂取量が変わるそうです。
刺身で食べればビタミンB1が摂れますし、アジフライにして食べればカルシウムが多く摂れるそうです。
アジを含む青魚には、他の魚にはない特徴的な成分が多く含まれており、DHAやEPAなどが挙げられます。
ですが、青魚は「足が速い」のも事実です。
また、アジには他の魚に比べ、プリン体が多いと言われています。
プリン体は尿酸値を上げる作用があり、痛風や尿管結石の発症につながります。
尿酸値の気になる方は食べ過ぎにはくれぐれも注意しましょう。