令和元年の両国国技館は、いつもとひと味違いました。
米国のトランプ大統領が訪日し、大相撲夏場所千秋楽を観戦するため、5月26日に両国国技館を訪れたのです。
米国の大統領が観戦するのですから、当然日本の総理大臣である安倍首相が案内役を努めることとなります。
日米を代表する二人の相撲観戦は、厳戒態勢が敷かれ、金属探知機で入場者の手荷物検査をする警備員らが目立ちました。
敷地内では警視庁、相撲の親方衆も警備に当たり、警戒を強めるただ事ではない一日となったのです。
一般客は、手荷物検査を受ける必要があり、厳重な検査のため、長蛇の列となったと報道されましたが、無事終わってみると、日本相撲協会の八角理事長もホッと一安心したかの様子で「トランプ大統領と安倍首相を5月場所千秋楽にお迎えすることができ、誠に光栄の至りです」との話したといいます。
さて、トランプ大統領の相撲観戦により、大賑わいとなった相撲ですが、元々は東京都墨田区両国にある回向院(えこういん)というお寺の境内で相撲が開催されていました。
その後、明治39年(1906年)に初代国技館建設に着工し、明治42年(1909年)5月31日に完成しました。
なお、開会式は6月2日に行われました。
両国国技館
明治42年5月31日、初代両国国技館が完成、6月2日に開会式。
枡席約1,000席を含む13,000人が収容可能で、3,000人程度しか収容できなかった回向院境内の時の3倍以上の収容能力を要する大相撲会場となりました。
大正6年(1917年)11月29日、両国国技館の1階にあった売店から出火し、回向院本堂も含め全焼します。
国技館が全焼してからは一時、靖国神社境内に仮小屋を建てて相撲興行を行ったといいます。
二度の再建と太平洋戦争を経て、昭和60年(1985年)にようやく新国技館が完成します。
現在の両国国技館に至るまでいくつもの波乱があった両国国技館。
その歴史の魅力に足を運ばれたトランプ大統領。
初代両国国技館完成を記念する5月31日を目の前にしての千秋楽観戦でした。