酔った勢いでバカなことをして翌日に後悔するなんてことは、お酒を飲む人なら誰でも一度くらいは経験しているのではないでしょうか。
これは、めったにお酒を飲まない人も、お酒が強く酒豪と呼ばれる人も関係ありません。
ついつい「酔った勢い」っていうやつです。
もしかしたら、飲んだら失態ばかりで毎回後悔するなんていう人もいるかもしれません。
それほど恐ろしいのが「酔った勢い」というものです。
飲酒は羞恥心を麻痺させる
お酒を飲んだときの失態は、お酒そのものに酷い言動を引き起こすような成分が含まれているというわけではありません。
飲酒によって脳が麻痺し、羞恥心が鈍ることが失態の原因になっているのです。
飲酒による感覚の麻痺は、心が大らかになったり、緊張をほぐしたり、普段は話が苦手な人でも楽しく話せたり、と良い使われ方をすることもあります。
しかし、酒は魔物と覚えておいてください。
脳にアルコールが流れることにより感覚が麻痺すると、羞恥心が鈍ることになり、結果として酔った勢いで失態を犯し、翌日に後悔するなどということになるのこともあります。
ちょっとした失態ならまだいいのですが、多量の飲酒により血中に流れるアルコール濃度が高くなると理性も麻痺し、取り返しのつかない後悔を犯してしまうことにならないように注意が必要です。
ミスを犯しても平気
ミズーリ大学の心理学者、ブルース・バーソロー博士(Bruce D. Bartholow)率いる研究チームは「飲酒時の脳の働きを調べるための実験」という興味深い実験を行いました。
研究チームは、まず被験者たちをお酒を飲むグループとお酒を飲まないグループの二つに分け、お酒を飲むグループがある程度酔いがまわったところで全員にテストを受けてもらい、答えを間違えたときの脳の反応や心理状態などを調査しました。
お酒を飲んでいないグループの人たちは、テスト問題に間違えて答えてしまったとき、脳内ではミスを犯したという警告信号が発せられ、ミスを脳全体の機能に知らされるように働いていました。
これは通常の状態といえます。
しかし酔ったグループの人たちは、同じようにテスト問題に間違えて答えてしまったときに発せられるはずの警告信号が通常よりも弱まっていたというのです。
バーソロー教授によると、これは酔った被験者たちの感覚が鈍り、答えの間違いに気付いていないということではなく、間違いを認識していながらもその事実が気にならなくなっているというのです。
通常、人間はミスを犯すと次は間違えないようにと注意深くなるものですが、飲酒後の被験者のグループではそういう反応は薄れ、間違えても気にしたり恥じたりする機能が鈍っていることで平気になっているということです。
飲酒による脳の働きの低下については「飲酒により脳の働きが悪くなる」をご覧ください。
使い方によっては良い結果が得られることもある
この羞恥心が薄れることで気にしたり恥じたりする機能が鈍るということは、決して悪いことばかりではなく、このお酒という魔物をうまく制御できれば良い側面を引き出せるともいえます。
その良い側面とは、気にしすぎなくなることで心が大らかになったり、緊張をほぐしたり、不安を解消してくれるといった効果も期待できます。
普段は話が苦手な人でもお酒を飲むと急に饒舌になったりするのはこのせいです。
ただし、これはうまく制御できたときのことで、飲酒は「諸刃の剣」ということを忘れないようにしましょう。
「二日酔いの後にお酒はもう二度と飲みすぎないと思う!」という記事で書いたように飲酒による良い記憶が酒を求めてしまうということもありますので飲酒を制御するのは大変困難です。
飲酒は羞恥心を鈍らせる魔物!まとめ
「物は使いよう」とよく言いますが、適量の飲酒はこれに当てはまるといえるでしょう。
しかし、酒は魔物ということも忘れず、精神的、身体的にも良い条件で楽しい酒が飲めるよう、飲み過ぎないことが肝心です。
飲酒量は適量であれば健康に良いという結果もでていますから、酒は飲んでも呑まれるなというわけです。
「健康になるためにお酒を飲んでいる」なんて言い訳はしないように(笑)
→最適な飲酒量で健康になる秘訣! ~お酒が脂肪肝のリスクを減らす~