音楽(BGM)を流している飲食店はたくさんあります。
美味しい料理に良いお酒を飲みながら彼女や彼氏と食事をする。
こんなときに音楽がムードを盛り上げてくれるということもあるでしょう。
中には、ジャズバーやブルースバーなど趣味の音楽を聞きながらお酒を飲むお店も数多くあります。
雰囲気の良い店で、ムードがよく、BGMも最高!
といいつつ酒がすすみ、飲みすぎてしまった。なんていう経験はないでしょうか。
実は「音楽が流れている場所では飲酒量が増加する」ということが最新の研究で明らかになったというのです。
音楽によって味が変わる
静かなほうがおちついて飲める。という方もたくさんいると思います。
しかし、なぜ音楽が流れていると飲酒量が増えるのでしょうか。
イギリスにあるポーツマス大学のロレンツォ・スタッフォード博士(Lorenzo Stafford)は、環境によるお酒の味の変化についての実験を行いました。
その実験とは、まず被験者たち男女80人に「静かな場所」「音楽のみが流れている場所」「音楽とテレビのニュース音声が同時に流れている場所」といった異なる環境で色々な種類のお酒を飲んでもらい、甘さや苦さなどの味を記録してもらうというものです。
その結果、「音楽のみが流れている場所」という環境では、その他の環境と比べてお酒の味を甘いと感じる傾向が著しく増すことがわかったというのです。
これは、同じお酒でも異なる環境下で飲むと、人が感じる味覚に違いが表れるということを意味しており、さらにお酒の味を甘いと感じる状況を作り出しているのが単なる音で、周囲がうるさいほうがより甘味が増すのであれば、被験者たちは「音楽とニュース音声の両方を聴いている場所」で一番甘さを感じたはずですが、結果は「音楽のみが流れている場所」が一番甘さを感じたのです。
この結果は、驚くべき事実といえるのではないでしょうか。
ビールの味が飲酒への欲求を増すことについては「ビールが世界中で愛されている理由」をご覧ください。
人間は本能的に甘味を好む
ロレンツォ・スタッフォード教授の実験結果は、直接的に飲酒量が増加するというものではありませんでしたが、間接的にはどうでしょうか。
甘みと飲酒量は、どのような効果があるのでしょうか。
人間の味覚として舌の味細胞が感知するのは、甘味、塩味、酸味、苦味の4つ、あるいは「旨味」を加えて5つといわれています。
そして、人間が生まれて初めて感じる味覚は、甘味なのです。
赤ちゃんが初めて口にする食べ物は、母乳ですよね。
この母乳には、ほのかな甘味が含まれています。
ここで塩味を赤ちゃんに与えてみると、その赤ちゃんにとって初めての食べ物だった場合、赤ちゃんの脳はこれまでに受けたことのない情報としてとらえ「不快」と感じ、味覚経験の少ない赤ちゃんや子供にとっては「まずい」と判断してしまうのだそうです。
また、これら5つの味覚をより少量でその味を感じる順に並べると、苦味>酸味>塩味>旨味>甘味という順番になり、人間の祖先は狩猟、採取生活をしていたことから、本能的に危険な食物摂取から身を守るため、苦味や酸味を「嫌な味=毒=不可食」と判断し、甘味を「好ましい味=毒ではない=可食=美味しい」と判断していたといわれています。
そうです。
人間は本能的に甘味を好むのです。
音楽が流れている環境で甘さを最も感じたということは、「甘味=毒ではない=可食=美味しい」と判断し、お酒を飲みやすい状態にあるといえます。
音楽で変わる味覚と飲酒量!まとめ
人間は、音楽の影響で毒の要素を含むお酒でさえ甘味を感じ、毒ではない、美味しいと判断することで、自然と飲酒量が増える可能性があるというわけです。
また、人間の味覚に影響を及ぼしているのは、単なる「音」ではなく「音楽」であるというのも人間が持つ味覚と外部からの音楽という精神的な心地よさが味覚を変えるという密接な関係があった興味深い結果といえるでしょう。
逆にいえば、飲酒量を抑えたければ音楽を消すと良いということです。
みなさんも音楽が流れている環境では、いつもより注意して飲み過ぎないように心がけてください。
BGMで心地よくなってついつい飲みすぎてしまうと大変なことになるかもしれませんよ。
飲酒時の失態は誰にも見せたくないものですから。
→飲酒は羞恥心を鈍らせる魔物! ~酔った勢いで失態を気にしない大胆な人間になる~