酒粕の栄養価と効能!肝臓・便秘・美肌によい?!の記事で酒粕の栄養価と成分についてお話しましたが、どのような病気に効能が期待できるのでしょうか。
酒粕の栄養価と成分についてはこちら
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以下にまとめてみました。
糖尿病と肥満予防
愛媛大学医学部奥田教授の研究によると、酒粕の成分にはインスリンに似た働きをする物質が含まれていると発表しました。
糖尿病は、すい臓で作られるはずのインスリンの減少により、体内の血糖(ブドウ糖)が脂肪細胞に取り込まれずに尿に出てしまう病気です。
ブドウ糖が脂肪細胞に取り込まれなくなると、筋肉はエネルギー源を確保できないことになり、いくら食べてもエネルギー不足となります。
一方、インスリンとは逆の働きをするホルモンがあり、それは脂肪を分解します。
正常な方はこのホルモンとインスリンとのバランスがとれた状態ですが、インスリンが減少することによりこのホルモンの働きが活発になり、急激に痩せたりするのです。
酒粕に含まれるインスリンに似た働きをする物質は、このホルモンの働きを弱める働きが確認されました。
このホルモンの働きを弱めることによってインスリンの働きを正常に戻すことができるという期待から酒粕が糖尿病予防に役立つのではないかと考えられています。
奥田教授は、酒粕の中にαアミラーゼの働きを抑制する物質が含まれている事も発見しています。
私たち人間が食べたものはでんぷんに変ります。
このでんぷんが消化酵素αアミラーゼにより分解されると血糖(ブドウ糖)になります。
つまり血糖(ブドウ糖)が作られるのはαアミラーゼの働きなので、そのαアミラーゼの働きを阻害することによって血糖の量を調節し、肥満予防にもつながるのです。
インスリンに似た働きをする物質と血糖を制御するαアミラーゼの両方の効果をバランスよく含む酒粕は、糖尿病でお悩みの方の強い見方なのです。
ガン予防とガン細胞除去
愛媛大学医学部奥田教授の研究で、酒粕はリンパ球の働きを活性させ、強める効果があることを発表しました。
月桂冠総合研究所の研究では、酒粕の中にα-ハイドロオキシ酸というガンを予防する働きのある物質が発見されました。
秋田大学医学部滝沢教授の研究では、清酒の中にガン細胞を抑制する物質が含まれることを発見しました。
また、国立ガンセンター平山博士の長期調査の結果、日本酒を飲む人の方が飲まない人より大腸ガンや胃ガンになる危険性が少ないと報告しています。
これがどのようなことかと説明すると、体内にあるリンパ球は、正常な細胞とガン細胞を見分けてガン細胞だけを殺すのです。
酒粕に含まれるα-ハイドロオキシ酸やグルコサミンなどの働きによりガン予防につながり、リンパ球の働きを活性促進することでガン細胞を退治するというのです。
アレルギー体質の改善
また、月桂冠総合研究所の研究では、日本酒や麹の中に、カテプシンBの働きを阻害する物質が含まれている事を発見しました。
リンパ球は、ウイルスやアレルギーの原因となる外敵の侵入にも効果があり、それら外敵を退治します。
一度入った外敵に対抗する抗体がつくられ、その後も抗体とリンパ球により外敵を排除します。
この仕組みが敏感に働きすぎて影響を及ぼすのがアレルギーといわれていますが、アトピー性皮膚炎や花粉アレルギーは、カテプシンBという酵素によって作り出される免疫グロブリンが原因でアレルギー症状が引き起こされるといわれています。
酒粕には、このカテプシンBの働きを阻害する物質が含まれていることから様々な花粉アレルギーやアトピー性皮膚炎の体質の改善に効果があると考えられています。
高血圧症からなる狭心症・心筋梗塞・脳溢血の予防
月桂冠総合研究所川戸博士の研究では、日本酒から3種類、酒粕から6種類のペプチドという物質を発見し、高血圧のマウスに与えて血圧の降下を確認しました。
ペプチドにはどういった効果が期待できるのでしょうか。
正常な方は、腎臓で作られるレニンという物質がたんぱく質を分解し、アンジオテンシンという物質を作ります。
このアンジオテンシンが交感神経を刺激して血圧を上げます。
これとは逆に腎臓で作られるカリクレインという物質が同じく腎臓で作られるキノーゲンという物質によりキニンという物質が作られます。
このキニンが血管を拡張させる働きがあるので血圧が下がります。
このように正常な人の血圧は、アンジオテンシンとキニンによりバランスよく制御されていますが、ここにアンジオテンシン変換酵素という酵素が入ると血圧を上げるアンジオテンシンの働きを強め、血圧を下げるキニンの働きが弱まり、制御のバランスが崩れて高血圧となるのです。
酒粕に含まれるペプチドは、このアンジオテンシン変換酵素の働きを阻害する効果があり、血圧を正常に保つことができるというのです。
この効果は、市販されている血圧降下の薬に匹敵するとも期待されており、生活習慣病の中でも高血圧は、狭心症、心筋梗塞、脳溢血などを引き起こす危険性がある恐ろしい因子なのでまさに酒粕パワーといえるでしょう。
また、脳梗塞予防として日本酒や酒粕の中には、体内でウロキナーゼの合成を促進させる酵素やプラスミノーゲンに働いて血栓を溶かす物質も含まれている事がわかっています。
脳梗塞は、他の臓器から血栓と呼ばれる血のかたまりが脳内に入り血管を詰まらせる脳塞栓と脳内の血管自体に動脈硬化が起きて血栓が出来る脳血栓の二つがあり、どちらも脳内の血管が詰まることによって起こります。
ウロキナーゼという酵素が分泌されると血液のかたまりを溶かしてスムーズに血が流れるようになり、固まってしまった血栓は、プラスミノーゲンという物質が溶かします。
酒粕には、このウロキナーゼとプラスミノーゲンの働きを促進する物質が含まれていることから脳梗塞予防にも優れているというのです。
このほか、狭心症や心筋梗塞の原因として悪玉コレステロールによって血管の内膜が硬くなる動脈硬化がありますが、月桂冠総合研究所川戸博士らの研究によると、酒粕には血清や肝臓中の総コレステロールの上昇を著しく抑え、善玉コレステロールを増やす働きがある事を発見し、マウス実験で確認しました。
また、倉敷芸術科学大学須見教授は、日本酒は動脈硬化、脳卒中の予防に効果があると報告しています。
アルツハイマー型認知症や老年性痴呆症の予防
月桂冠総合研究所の研究では、酒粕の中にプロリルエンドペプチターゼの働きを阻害する物質が含まれている事を発見し、マウスによる実験でその効果を確認しました。
アルツハイマー型認知症の治療法は不明とされており、原因もわかっていません。
認知症の治療法の鍵としてパソプレッシンというタンパク質の研究が進められており、大脳にある記憶の保持、学習機能、神経伝達に関与しているのがパソプレッシンというホルモンと考えられています。
パソプレッシンは、プロリルエンドペプチターゼという酵素によって分解されるのですが、正常な人は、これらがバランスの取れた状態で働いています。
しかし、何らかの原因でバランスが崩れ、プロリルエンドペプチターゼがパソプレッシンを異常に分解する事によって記憶の保持や学習機能を低下させ、これが認知症に関係がある可能性があると考えられており、酒粕がアルツハイマー型などの認知症や老年性痴呆症などの予防に役立つのではないかと期待されています。
骨粗しょう症予防
月桂冠総合研究所の研究で、日本酒を造る麹の中や酒粕からカテプシンLの働きを阻害する物質を発見しました。
骨は常に作り変えられています。
古くなった骨が血液中に溶けだすことを骨吸収といい、新たに骨になる細胞を作ることを骨形成といいます。
この骨吸収と骨形成を繰り返して丈夫な骨が生まれます。
しかし、年齢を重ねて老年になると骨のコラーゲンを破壊するカテプシンLという物質を分泌すようになり、骨吸収と骨形成のバランスが崩れ、骨吸収の方が早くなることを骨粗しょう症といいます。
骨形成より骨吸収のほうが早くなるということは、骨は血液中に溶け出すのが早くなるということですから、骨はスカスカになるのです。
酒粕は、骨の組織を破壊するカテプシンLの働きを阻害する物質が含まれるので骨粗しょう症の予防にも効果があると考えられています。
美白効果
シミやソバカスは、アミノ酸の一種であるL−チロシンにチロシナーゼという酵素が作用してドーパクロムというメラニン色素になる前の物質が生成され、このドーパクロムがメラニン色素に変わる事で皮膚のメラニン色素が沈着してシミやソバカスになります。
このチロシナーゼという酵素の働きを阻害する物質の代表格といえるのが遊離リノール酸で、酒粕にはこの遊離リノール酸が大量に含まれていることから、酒粕には美白効果が期待できるといわれています。
なんとまぁ色々な病気に対して効能があるものです。
酒粕は、スーパー健康食品ですね。
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