豪華客船オシアノス号沈没の瞬間!ギタリストモス・ヒルズ氏が撮った船内の様子とアブラナス船長

豪華客船オシアノス号(MTS Oceanos)は、エピロティキ・ライン社が運航していたギリシャ船籍の豪華客船です。

1991年8月3日、オシアノス号は南アフリカ共和国東部の沿岸で沈没したというニュースを覚えている方もいることでしょう。

オシアノス号が沈没する様はニュースで報道され、その恐ろしさはタイタニック号の悲劇の再来とも言われました。

ここでは、オシアノス号の画像や動画を含め、近年まれに見る豪華客船沈没の経緯を詳しくご紹介したいと思います。

 

オシアノス号

-Oceanos-_-_Piraeus,_1986オシアノス号は、元々ジャン・ラボルド号(Jean Laborde)という船名でフランスの海事会社(Messageries Maritimes)の4姉妹船の4番船としてボルドーの造船会社Forges Chantiers de la Girondeによって建造され1952年7月に進水、フランス最大の港湾都市として知られるマルセイユから出航してアフリカはインド洋に浮かぶ島マダガスカル島を経てイギリス連邦加盟国で世界のセレブが詰めかけるリゾート地アフリカのモーリシャスを結ぶ航路に就航していました。

ジャン・ラボルド号は、その後船名をMykinai、アンコーナ(Ancona)、イースタン・プリンセス(Eastern Princess)と改名し、1976年オシアノス号と改名されてギリシャ船籍の豪華客船として登録されました。

 

タイタニック号

300px-Stöwer_Titanicタイタニック号(RMS Royal Mail Ship Titanic)は、イギリス船籍の客船でホワイト・スターライン社が運用していた当時世界最大級の豪華客船として知られていますが、処女航海中だった1912年に北大西洋上で氷山に接触し沈没、1,513人という犠牲者は歴史に残る海難事故となり、後の小説化、映画化によりご存知の方も多いと思います。

1985年に海洋地質学者ロバート・バラード氏率いるウッズホール海洋研究所およびフランス海洋探査協会の調査団は海底3,650mに沈没したタイタニックを発見し、バラードの呼びかけにより「タイタニック国際保護条約」というタイタニックの遺物の劣化や違法な遺品回収行為から守る条約をアメリカ合衆国と結びました。

 

クイーン・メリー号

image2クイーン・メリー号(RMS Queen Mary)は、イギリス船籍の客船でタイタニック号の沈没により倒産したホワイト・スターライン社を買収したキュナード・ライン社(キュナード・ホワイト・スターライン)が運用していた豪華客船です。

キュナード・ラインがサウサンプトン – シェルブール – ニューヨークを毎週行き来できるように計画した2隻のうちの1隻であり、建造はスコットランドのクライドバンクに位置するジョン・ブラウン・アンド・カンパニーであった。

1930年代当時、ヨーロッパは巨大で優秀な船舶を必要としていたため、クイーン・メリー号は同時期に建造されたクイーン・エリザベス号とともに1936年から北大西洋を横断する定期便客船として運用されていましたが、第二次世界大戦の勃発により兵士輸送船としてイギリス軍に徴用され、軍を退役したクイーン・メリー号は再び客船として20年間運航された後、1967年に引退し、現在は国立登録史跡として登録され、ロングビーチで博物館船兼ホテルとして静態保存されています。

 

オアシス・オブ・ザ・シーズ号とアルーア・オブ・ザ・シーズ号

Oasis_of_the_Seasオアシス・オブ・ザ・シーズ号(Oasis of the Seas)は、バハマ船籍であるが、アメリカのロイヤル・カリビアン・インターナショナル社が運用する世界最大の豪華客船として知られています。

2009年に就航されたオアシス・オブ・ザ・シーズ号は、アメリカ合衆国フロリダ州フォートローダーデールのエバーグレーズ港から出航しカリブ海航路で運航されており、乗船旅客数6,000人を超す記録を樹立したことで世界最大として知られるようになった巨大客船です。

同じくキュナード・ライン社が所有するアルーア・オブ・ザ・シーズ号は、オアシス・オブ・ザ・シーズ号より5センチ長いといわれていますが、この長さの差は同一規格で設計された両船の測定時の鋼材の温度差によるものだと考えられています。

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豪華客船の大きさの比較

映画や小説をみるとタイタニック号は、とにかく巨大な豪華客船というイメージが伝わってきますが、全長は269.1メートル、全幅28.2メートルとなっており、この大きさがどれくらいのものなのか現代の豪華客船と比較してみましょう。

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タイタニック号

重量46,328トン、全長269.1メートル、全幅28.2メートル、速力23ノット、旅客定員1324名(1等客329名/2等客285名/3等客710名)、乗組員899名

クイーン・メリー号

重量81,237トン、全長310.7メートル、全幅36.1メートル、速力28.5ノット、旅客定員2139名(1等客776名/2等客784名/3等客579名)、乗務員1101名

オアシス・オブ・ザ・シーズ号

重量225,282トン、全長361.0メートル、全幅64.9メートル、速力20.2ノット、旅客定員5,400名(最大6,300名)、乗組員2,160名

オシアノス号

重量14,000トン、全長150メートル、全幅20メートル、速力18.5ノット、旅客定員550名
これを見てわかるとおり、世界最大といわれるオアシス・オブ・ザ・シーズ号に比べれば小さいものですよ。

長く運用されてきたことで世界的に有名なクイーン・メリー号は、全長300メートルを越え、旅客定員も2000名を越すという巨大豪華客船ブームの火種となり、さらにはオアシス・オブ・ザ・シーズ号の全長は、361メートルですから333メートルの東京タワーより長いということになります。

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また、オシアノス号は比較的小さな客船と呼べるのではないでしょうか。

小さいといっても全長150メートルもありますからかなり大型です。

オアシス・オブ・ザ・シーズ号が巨大すぎるともいえますね。

 

オシアノス号沈没

oceanos-sinking01-480x355オシアノス号は、十分なメンテナンスがされておらず発電機室と汚水タンクとの間の防水隔壁には10cmの穴が開いたまま1991年8月に南アフリカのイーストロンドンから出航しました。

当日は酷い嵐であったがオシアノス号の航海は強行され、嵐で酷く揺れていたために大波を受けて船底の吸水孔に直結しているシーチェストが破損し、エンジンルームと発電機室が浸水し、ショートが発生して爆発が起き、同時に船内は停電し、乗客は異常事態に気づきましたが、船内放送はなかったといいます。

エンジンルームと発電機室が浸水した後、下水道管を通じて他の区画にも水が流れ出しました。

通常、下水道管には逆止弁が装着されているので汚水タンクからの逆流を防止できるのですが、以前に逆止弁の故障による苦情が相次いだために弁が取り外されたままになっていたというのです。

また、船内で催されるショーに出演するために船に乗っていたギタリストのモス・ヒルズ(Moss Hills)氏がブリッジに入るとすでに無人となっており、乗組員は乗客を置き去りにして救命ボートで逃げてたそうです。

乗組員は、水密区画を閉鎖せず、舷窓も開けたまま避難したために浸水が拡大し、船体が沈下、傾斜するにつれ舷窓からの浸水も大きくなり沈没に至ったといわれています。

モス・ヒルズ氏を含む残された乗客は、無線を使って救助要請をし、救命ボートで脱出できた乗客もいましたが、多数の乗客は船に取り残されたままとなり、天候が回復した翌日の朝に南アフリカ空軍と海軍のヘリコプター16機による救助活動により乗組員、乗客、全て無事という奇跡的に大惨事は免れました。

その後、オシアノス号は右側に大きく傾き船首から沈没しました。

この時の動画が全世界に報道され、奇跡的に死亡者もなく大惨事をまぬがれましたが、映像の恐怖は伝わってきます。

 

 

アブラナス船長

軍のヘリコプターが救助に到着したとき、突然アブラナス船長が現れ、乗客を押しのけて真っ先に逃げようとしたというのですから信じられません。

アブラナス船長が言うには

「あくまで事故の詳細を報告するためヘリコプターに乗った。そのあと戻るつもりだった」

「きちんと避難命令を出した。その後どうしようが自由なはずだ。船の残った客は自分の意志で避難せずに残ったのだ」

と発言していますが、アブラナス船長が戻ったという事実もなく、モス・ヒルズ氏が言うには避難命令や船内放送もなかったといいます。

モス・ヒルズ氏が撮影した船内の様子も話題になっています。

アブラナス船長の避難行動について、映画タイタニックの最後まで船に残った船長と比較して、イタリア人の印象が悪くなったという人が増えたのですが、イタリア人からコメントがありました。

そのコメントによると、イタリアと一言でいっても北と南とでは人種が違うともいえるくらい気質が異なるそうで、また南部の人間であるアブラナス船長について「ナポリターノはあんなもの」だというのです。

アブラナス船長と違い、副船長と乗組員の多くは、命を張って乗客の救助に力を注いでいようで、イタリア人にもいろいろいることはご理解いただきたいといっています。

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