至誠天に通ずという言葉をご存知だろうか。
有機合成化学や触媒開発という分野の研究でアベルメクチンを発見し、それを基にイベルメクチンの開発に取り組み、それらは抗寄生虫薬として活用されるようになり、寄生虫感染症の治療法確立に貢献し、アベルメクチン以外にも、生涯にわたり170を超える新たな化学物質を発見したとして2001年には日本学士院の会員に選定、2012年には文化功労者となり、2015年にはノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智氏を成功に導いた言葉として「至誠天に通ず」が注目されています。
至誠天に通ず
大村智氏はこの意味を「ある地位についたら、あらゆる努力をする。そうすれば目指したものが大体実現できる。ごまかしていい加減にやっているとだめだが、一生懸命にやっていれば必ず支援者も現れる」と、自らの経験で得た信条とともに学生に語ることも多いといいます。
「至誠通天」
とは中国の儒学者、孔子と並び「孔孟の教え」で知られる孟子の言葉です。
至誠天に通ずというのは、至誠とはきわめて純粋なまごころのことをいい、誠の心を尽くして行動すればいつかは必ず天に通じ認められるという意味です。
孟子の思想は、性善説に基づいているので、違った言い方をすれば「認められないのは誠の心を尽くしてあらゆる努力をしていないからだ」とも解釈できます。
孟子はまたこのようにも説いています。
「至誠而不動者未之有也」
至誠すなわちきわめて純粋な真心を持って行動すれば、感動しなかったという人にはいまだあったためしがない。
吉田松陰
孟子の言葉の通りに生きたといわれているのが吉田松陰で、後に吉田松蔭は「至誠にして動ごかざる者は、未だ之れ有らざるなり」と孟子の言葉を引用しています。
誠を尽くして行動すれば、人の心は必ず動かされるということです。
「人の心を動かさない事が有るとすれば、それは自らが誠の心を尽くしていないからである」というようにも解釈できます。
西郷隆盛
人を相手にせず、天を相手にせよ。天を相手にして己れを尽くし、人を咎めず、ただ己れの誠の足らざるを尋ぬべし
これは吉田松陰と同じく幕末を生きた武士、西郷隆盛の言葉です。
人を相手にせず、天を相手にしすることで他人の目を気にしたり、嘘や言い訳をするのではなく、天を相手にしてお天道様に偽りのない誠をつくして、うまくいかないのを他人の所為にしたりして咎めたりすることはせず、ただ自分が誠を尽くしているかどうかを反省するべきである。
というものです。
これはやはり孟子の「至誠而不動者未之有也」を引用した言葉ともいえるのではないでしょうか。
日本人の心
幕末の武士にはこういった誠の精神にこだわった生き方をした偉人が数多くいます。
時代は変りましたが日本人の心はいつも同じです。
私たちも過去の偉人たちの言葉を理解し、また励み、戒めとして心に持って行動すればいつかは必ず報われる。
また、他人にも愛される。 そんな自分を磨きたいものですね。
→西郷隆盛の謎! ~肖像画と名前が偽者だった理由と暗殺に隠された真実~
すばらしい!!
本当に、すばらしいことを教えていただきました。
感謝いたしております。
ありがとうございます。\(^o^)/