歩くサメと聞いてみなさんはどのような生物を想像するでしょうか。
おたまじゃくしの成長過程のように足がついているサメでしょうか。
ワニのように四つんばいで歩くサメでしょうか。
歩くサメと言葉だけ聴くと想像は膨らむばかりです。
歩くサメを発見
インドネシア東部、ニューギニア島の西側に位置するマルク諸島の小さな島、ハルマヘラ島の沖合いで歩くサメの新種が発見されました。
歩くサメといっても足があるわけではなく、ひれを小さな足のように使って海底を歩き回るのです。
発見したのは、環境保護団体コンサベーション・インターナショナルという団体で、同団体は以前から生物の短期調査プログラムを実施しており、開始から20年の年月を経て新種としての発表をしました。
この成果により、研究者のみならず一般人にも多大な反響を呼んでいます。
生物学者や研究者の間では、海から陸へと最初に上がった動物の原型ではないかと考えられているそうです。
モンツキテンジクザメ
新種の歩くサメは、モンツキテンジクザメ。
泳ぎは苦手なようで、チェンデラワシ湾の海底に敷き詰められた珊瑚礁を徘徊しながら小魚やカニ、巻貝、海老などの甲殻類を捕食するという。
同団体の生物学者、研究者らによると、茶と白色のこのサメはテンジクザメ目テンジクザメ科モンツキテンジクザメ属に分類されるエポウレットシャークの一種で、体長は最大で80センチにしかならず、人間に危害を加えることはないと報告されています。
そもそもテンジクザメ目テンジクザメ科に分類される種は、他のサメより比較的小型な種で、成魚になっても体長は約120センチ程度で、体長の大半を尻尾が占めていると言っていいほど非常に長い尻尾を持っているのが特徴です。
泳ぎが苦手と解説しましたが、適から逃げる時には泳ぎます。
しかし、やはり泳ぎは苦手。 逃げるスピードが遅いそうです。
また、テンジクザメ目には多くの種類が存在し、世界最大のサメとして知られるジンベエザメもテンジクザメ目にあたりますが、一口にテンジクザメ目といっても多種多様な種があり、7科13属44種が含まれます。
ちなみにジンベエザメは、テンジクザメ目ジンベエザメ科です。
テンジクザメは酸素が無くても生きられる!?
歩くサメこと、テンジクザメの外観上の特徴として「歩く」ということが注目されていますが、他に大きな特徴があります。
研究者の実験によると、テンジクザメは低酸素の環境になると、心拍数や呼吸回数を激減させ、更に全身の血管を拡張することで代謝機能を制御することができ、ほぼ無酸素の水中で1時間以上生きることができたと報告されています。
この結果は、酸素が無い環境でも短時間なら生きることが可能ということですよね。
また、代謝機能を制御し、ひれを足のように使ってペタペタと歩くことで、海底のみならず干潮時の潮溜まりを移動することも可能だといいます。
私たちはサメというと映画ジョーズを思い浮かべますが、性格は間逆でいたって温厚です。
先の項で述べたように、泳ぎは苦手で動きが遅いので浅瀬に居ると我々人間でも簡単に捕獲できるそうです。
海底を歩くサメ!エポウレットシャークの新種をインドネシアで発見!まとめ
ひれによる歩行というと、太古の地球で脊椎動物が海から陸に上っていく進化を想像してしまいます。
いつの日か進化したテンジクザメが陸上生活するようになるのかもしれません。
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