南部鉄器は、岩手県の伝統工芸品です。
南部鉄器の鉄瓶などは近年、海外でも注目され、輸出に伴い国内の供給が低下し、すぐには手に入らなくなっています。
そんな海外発信から日本で人気になってきたわけですが、以前からプロの料理人には南部鉄器の調理器具が愛用され続けていました。
特に南部鉄器の技術を用いたフライパンは、保温性に優れ、熱を均一に伝えるため、プロの料理人から絶大なる評価を得てきたのです。
なぜ、南部鉄器のフライパンが優れているのか?
南部鉄器のフライパンの特徴
南部鉄器のフライパンには、プロの料理人から愛される優れた特徴があります。
① 強い火力で短時間に調理できる
鉄は熱に強く、熱伝導も良いので短時間で高火力が出せるだけでなく、食材に均一に熱が伝わります。
② 熱の保持力が高い
通常のフライパンは、厚みが2~2.5mmです。しかし、南部鉄器のフライパンは4mm前後の厚いものが多いので、熱をしっかり保持し、ムラの無い柔らかい熱が食材に均一に伝わって料理を美味しく仕上げます。
③ 油なじみがよい
南部鉄器は、油なじみのよい特性があり、焦げ付きにくいのです。
南部鉄器は、砂型によって鋳造しますが、その工程によりできた無数の小さな穴に油が入り込むため油がよく馴染むのです。
フッ素樹脂コートのような表面加工ではなく、南部鉄器という素材そのものの持つ特性です。
④ 風味がよい
南部鉄器のフライパンは、長年使うと油が染み込み、油が加熱された良い風味が料理をさらに美味しく仕上げます。
⑤ 健康によい
南部鉄器から自然に抽出される程よい濃度の鉄分が毎日の鉄分補給に役立ちます。
この鉄分は、第二鉄イオンと呼ばれ、吸収率が良く微量でも鉄分補給に効果があると言われています。
南部鉄器の使い方
初めて使う時は、普通の鉄のフライパンのように空焼きはせず、少量の油をなじませる程度にしてください。
調理するときは、普通の鉄のフライパンのように十分加熱してから油を入れるようなことはせず、南部鉄器の場合、熱している途中から油を入れて鉄板に油を馴染ませるようにして十分に加熱してください。
鉄器が十分に熱を蓄え、食材に均一に熱が伝わるよう、十分に加熱した後に火加減を調節して食材を入れてください。
南部鉄器のお手入れ
汚れをお湯で洗い流します。
このとき、洗剤は使わないでください。
お湯とささらで汚れを落すのが鉄器を良い状態で長持ちさせるコツといわれています。
錆び付いた場合は、サビが落ちるまで乾いた布で磨いてください。
鋳物のサビは粉が吹いたように表面に出るだけで内部にサビが進むことはほとんどないそうです。
収納するときは、汚れと水分を落としてから紙に包んで収納してください。