二日酔いで「もうお酒は飲まない!」とか「二度と飲みすぎない!」と思ったことはありませんか?
酷い二日酔いなんかした次の日は「もうお酒を見るのもイヤ」とか「お酒の匂いを嗅いだだけで気分悪い」って思うことってありませんでしたか?
それであなたは、お酒をやめましたか?
こんなにつらい二日酔いに苦しみ、つらい想いをしたのに、しばらくするとまた同じことを繰り返してしまいます。
「自分は学習能力がないのか?」と疑ってしまいます。
実際、人間には学習能力があり、一度味わった苦い思い出を二度と繰り返さないよう避ける機能があるはずなのに、なぜまたお酒を飲んでしまうのでしょう。
なぜ、繰り返してしまうのか謎ですよねぇ。
この謎のメカニズムを解き明かしていきましょう。
飲酒による良い面と悪い面
お酒を飲むと酔います。
酔うことによって体験した記憶には、良い記憶と悪い記憶があります。
例えば、楽しいお酒は、普段よりも会話が弾んだり、新しい友達が増えたり、いつもより料理が美味しく感じたりなどいつもと違った良い記憶が残ります。
逆に酔うことで友達と喧嘩してしまったり、帰り道に倒れて怪我をしてしまったり、飲みすぎて頭痛や嘔吐など気分が悪くなってしまったりと悪い記憶が残る場合もあります。
特に二日酔いになるほど飲みすぎてしまった時には、同席した仲間や周囲の人におかしな発言をしてしまったり、自分が嫌われるような行為をしたことを後悔することもあります。
二日酔いのメカニズムについては「二日酔いの頭痛の原因とその理由」、二日酔いの回復方法については「スプライトは二日酔いに効く」をご覧いただくとして、後悔をするほど悪い記憶があるのに何故またお酒を飲んでしまうのでしょうか。
飲酒による記憶のメカニズムは、最近の研究で少しずつわかってきています。
その答えのひとつとして、人は飲酒によって体験する悪い記憶よりも良い記憶を重視するというのです。
良い記憶は残りやすい
お酒の席での良い経験や失敗談、それらの体験が今後の飲酒にどのような影響を及ぼすと思うかなどを回答してもらう「飲酒に関するオンライン調査」というアンケートをワシントン大学の心理学者らが500人の学生を対象にを行いました。
その結果、例えば精神的に解放された感覚により会話が弾んだりジョークを言い合えるといった普段よりもざっくばらんで楽しい雰囲気など、お酒を飲んだときに得られる良い点のほうが、より人の印象には残りやすく、同じ楽しみがまた味わえるだろうという次回の飲酒へのの期待につながっていることがわかりました。
つまり「酔う=楽しくなる」という期待のほうが二日酔いなどの悪い記憶を上回っているのです。
悪い記憶は消えてしまう
悪い記憶を考えてみましょう。
二日酔いや嘔吐、お酒の場での喧嘩やトラブルなど悪い記憶や後悔に関しては、人は簡単に軽視してしまう傾向があることもわかりました。
飲んだ翌日の後悔に関して詳しく知りたい方は「飲酒は羞恥心を鈍らせる魔物」の記事を読んでみてください。
「もう飲みすぎない!」と安易に宣言することによって「自分には二度とあんなことは起こらないだろう」「もうあんな間違いを犯すことはない」などという楽観的な考え方をするように働き、結局以前と同じように二日酔いになったり喧嘩をしたりということを繰り返してしまう結果になります。
酷い二日酔いで、お酒を見るのもイヤと思うほどでも、いざお酒を目の前にしてしまうとついつい限度を過ぎて飲みすぎてしまうのは、お酒を飲むことによって楽しかった記憶を再び思い出し、悪い記憶を簡単に消し去ってしまう脳の働きがあるというわけです。
この良い記憶を重視し、悪い記憶を消し去る脳の働きは、脳の病気といわれる薬物依存症による精神疾患と同じものといえるので、いつでも誰でもアルコール依存症になる危険性があるといえます。
学習能力
人間には学習能力があります。
二日酔いやちょっとしたトラブル程度の事件は忘れてしまい、楽しかった記憶だけが残ってしまうことで、同じ過ちを繰り返してしまう傾向にあるのです。
ワシントン大学の心理学者らが500人の学生を対象にを行った結果、前回の飲酒により嘔吐や頭痛などの身体的な悪影響が非常に重かったときにだけ、人は飲酒を思いとどまる傾向があるようです。
つまり飲酒により身体的に重症になったり、取り返しのつかないほどの失敗をしない限り、多少の二日酔い程度では楽しかった記憶のほうが印象に残っているため、同じことを繰り返してしまうわけです。
この繰り返しを何度もしてしまう方はアルコール依存症の危険性がありますので「アルコール依存症」の記事を参考にしてください。
二日酔いの後にお酒はもう二度と飲みすぎないと思う!まとめ
お酒を飲むのが怖くなるほどの辛~い経験をしないと飲酒をやめられないという結果がでていますが、みなさんにも思い当たる節はあるとおもいます。
このことを踏まえることによって少しの悪い記憶でも酒の量を思いとどまることをお勧めします。
いずれにしても、お酒は良い点と悪い点を同時に含んでいることを思い出し、ほどほどに楽しく飲むよう心がけたいものですね。
→最適な飲酒量で健康になる秘訣! ~お酒が脂肪肝のリスクを減らす~
ちなみに、音楽を聞きながらお酒を飲むとついつい飲みすぎてしまうという研究結果もあります。
→音楽で変わる味覚と飲酒量! ~酒の味は味覚ではなく精神で味わう~ 甘味を増す効果のあるBGMを消せば飲みすぎない