ビールは、健康に悪いだとか何かと社会的に有害であるとされていますが、ビール好きにとっては嬉しい朗報が飛び込んできました。
それは、1日に中ジョッキ1杯程度(400ml)程度のビールなら、飲まないよりも飲んだほうが健康に良いという研究結果が発表されたのです。
さらに、古くから愛飲されているラガービールよりも最近流行の地ビールなどに多いエールのほうがより高い効果が期待できるというのです。
また、ノンアルコールビールではその効果が低くなるといいます。
しかし、近年ビールについての研究が盛んに行われ、健康に良いとされる成分を指して「ビールは健康に良い」「○○病に効果あり」と書かれていますが、実際にその成分を1日にビールから摂取するには現実的ではないという場合も多々あります。
そんなビールが健康に良いという噂も交えてまとめてみました。
動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中に効果あり
ギリシャのアテネにあるハロコピオ大学の研究チームは、20代後半~30代前半の非喫煙者17名を対象に中ジョッキ1杯分(400ミリリットル)のビールを飲んでもらい、2時間ほど経ったところで心臓や血管などの循環器系にどのような影響があるかを調べたところ、血流は良くなり、動脈の硬さも柔軟になっていることが判明したといいます。
また、計20万人以上を対象とした過去の研究を分析してまとめた疫学欧州ジャーナル(European Journal of Epidemiology)で発表された論文では、毎日適量のビールを飲む人は心臓疾患のリスクが31%減少すると発表されています。
さらに、サッポロビールと北海道大学の研究では、ビール原料のホップに含まれる「キサントフモール」という物質に動脈硬化を予防する効果があると発表されており、総コレステロールの低下だけではなく、善玉コレステロールの一種である「HDLコレステロール」の上昇が動脈硬化を防ぎ、さらには心筋梗塞や脳卒中の危険性を低くする効果があるといいます。
心筋梗塞や脳卒中は、動脈硬化によって引き起こされるので、動脈硬化に効果があるという結果は、ビール好きにとって朗報といえます。
また、ワインにも心臓疾患に対する効果があるといわれていますが、米栄養士会、登録栄養士のアンドレア・ジャンコリ氏(Andrea Giancoli)は、ワインにはないビールだけの利点として、ビールはワインより水分が多く満腹になりやすいため、人によってはアルコール摂取量を控えやすいといっています。
これは、あくまで適量のビールを対象に効果があるといっているわけで、多量に飲んでは意味がありませんのでご注意を。
ノンアルコールビールやウォッカでは通常のビールほど効果は得られない
ハロコピオ大学の研究チームは、上記と同様の実験をノンアルコールビールと少量のウォッカでも行ったといいます。
結果は、動脈の硬さに関してはどちらも一定の効果がみられたものの、ビールほどではなく、血液の流れについてはノンアルコールビール、ウォッカともに特に良い効果は得られず、メリットがあったのは通常のビールのみという結果になったというのです。
さらに、種類豊富なビールの中でもキレのあるラガー系よりコクのあるエール系のほうが循環器系にはより効果的であるという結果もでています。
ウォッカに血流を良くする働きが無いというのは以外な結果ですが、動脈硬化に関してはやはりビールのほうが一歩リードしているようです。
中でも最近流行のエールのほうが効果が高いというのは、嬉しいかぎりです。
糖尿病や高血圧の予防に効果があり、ダイエットにも効果的
スペインのエストラッチ博士とラムエラ博士は、57歳以上の男女1249人を対象にビールの調査を行ったところ、エールビールやラガービールを適量に摂取することで、糖尿病や高血圧にかかりにくくなり、体の脂肪が減ったという人もいたというのです。
博士たちが主張するには、ビールには葉酸、鉄分、カルシウム、そして様々なビタミンが含まれており、それらが循環器システムを保護してくれるのだそうで、ビールによる肥満は共に食べる油っこいおつまみや単なる飲みすぎによるものだと説明しています。
また、ビールがダイエットにも効果があるという発表は、ビール好きにとっては朗報であり、女性のビールブームを生み出すかもしれません。
ホップによる骨粗しょう症予防と肉筋の老化予防の効果
ハーバード大学の研究により、1日2杯のビールを飲むと糖尿病予防になるという発表がありましたが、これはビールの泡の部分を指しています。
ビールの原材料であるホップには、糖尿病予防だけではなく、多量に含まれるケイ素が骨粗しょう症に効果があるといわれています。
ホップに含まれる大量のケイ素は、骨細胞の働きを助け、骨がもろくなるのを防いでくれるというものです。
その他、徳島大の寺尾純二教授の研究チームは、ホップに多く含まれる「プレニル化フラボノイド」が寝たきりの原因になる肉筋の老化を抑えるという研究結果を発表していますが、ホップに由来する成分の研究結果はマウスを使ったもので、これら動物実験の結果を人間にあてはめると、筋肉の老化を防ぐにはホップの乾燥粉末で毎日1キログラム必要であることが問題です。
ホップ1キログラムをビールに換算すると83リットル~2万リットルという膨大な量になり、人間が1日に摂取できる量ではありません。
ホップに含まれる成分を研究することで骨粗しょう症予防や筋肉の老化などに効果のある健康食品の開発に期待はできますが、ビールが健康に良いというには83リットルものビールを毎日飲むのは現実的ではないため、これはビールの健康効果とは呼べません。
フムロンによる風邪予防への効果
サッポロビールが札幌医科大学と共同でおこなった研究によると、ビールに含まれるフムロンという成分が風邪予防に効果があると発表しました。
ビールの原料であるホップに含まれるフムロンと呼ばれる成分には、急性呼吸器感染症を引き起こすRSウィルスの増加を防ぐ作用があり、このRSウィルスが風邪のような症状になるというのです。
しかし、このフムロンも上記のケイ素同様、ビールの中に含まれるフムロンはごく少量で、風邪予防の効果を得るためには350ml入りの缶ビールを30本も飲む必要があり、これも現実的ではありません。
風邪予防のために毎日缶ビールを30本も飲んでいたら他の病気になることは容易に想像できます。
適量を守ろう ~ビールは健康に良い!ウソを切り真実を知る~ まとめ
ビールは健康に良いという結果は確かではありましたが、1日に400~500ミリリットル程度の適量ならば良い効果が期待できますが、飲み過ぎには注意ということです。
また、ビールに含まれる成分が研究結果により健康に良いといっても、現実的に摂取できない量だったものも中にはありました。
あくまでも適量を守ることが大切です。
適量を守るとどんなアルコールでも健康に良いのでしょうか?
気になるところですね。
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