ペーパードリップは手軽で一般的ですが、もっと美味しいコーヒーを飲みたいなら、おすすめはネルドリップです。
少々手間はかかりますが、むしろそれがゆったりとした時間を演出し、コーヒーを飲むひとときを特別なものにしてくれます。
ネルドリップで最高の一杯を淹れるためには、道具選びから使用後のお手入れまで、いくつかのポイントをしっかりと押さえておく必要があります。
順番に取り上げてみましょう。
ネルドリップに使用する道具選び
ネルドリップとは紙ではなく布のフィルターで抽出を行なう方法のことです。
ネルとは、手触りが柔らかくて起毛しているフランネルという織物のことで、ネルシャツのネルと同じものです。
ネルには素材や種類がいくつかありますが、木綿の平織りタイプのものがおすすめです。
ネルはペーパーと比べてフィルターの目が粗いため、コーヒーの微粒子が通り抜けることができ、滑らかな口当たりのコーヒーになるといわれています。
このネルを使用したネルフィルターとネルドリップ専用のサーバーをまずは用意する必要があります。
最近ではコーヒーサーバーにネルフィルターをセットできる便利なタイプも販売されていますので、こちらを利用しても良いでしょう。
新品のネルフィルターは使う前に軽く水洗いし、コーヒーで20分ほど煮沸します。
こうすることで糊や汚れなどが取り除かれるだけでなく、コーヒーともなじみやすくなります。
もうひとつ、細口のドリップポットが必要です。
その形状から鶴口ポットとも呼ばれます。
この形状のポットは、ドリップする時に、お湯を糸のように細くゆっくり出すことができるという特徴があります。
そのため、蒸らしや抽出などの各部分で、ちょうど良い湯量に調節することが可能になり、自分好みの味を追求するのに欠かせないアイテムとなっています。
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美味しいネルドリップの淹れ方
挽き方は粗挽きがおすすめです。
細かくすると微粉が混じり、雑味が多くしつこい味になってしまいます。
豆は直前に挽くのが美味しく淹れるポイントです。
1人前では18g程度をネルに入れますが、お好みや焙煎の度合いで量を加減してもよいでしょう。
一度に何杯分か淹れる場合は、粉の量を単純に倍増していくと濃くなりすぎるので、1杯あたりの粉の量はいくらか減らします。
お湯の温度と量を調節する
ベストな湯温は約90℃で、お湯が粉に到達するころには80℃くらいになります。
それで、沸騰させた湯をいったん火からおろし、沸騰がおさまるのを待ってから湯を落とすようにします。
出来上がりは、デミタスカップの場合は50cc、レギュラーの場合は100ccほどが1杯分となりますので、それを目安にお湯を沸かします。
しっかり蒸らす
お湯の1滴1滴を粉の上に置いていくイメージで、中心部からゆっくりと湯を落とし、粉全体を十分に蒸らします。
蒸らしはネルドリップにおいて最も大切です。
蒸らし時間は2分くらいがベストで、コーヒーの味が十分に引き出されます。
といっても、蒸らしが長すぎると逆に雑味が入ってしまうので注意が必要です。
蒸らし時間によって味も変化しますので、何度かトライしてみてちょうどよいところを見つけるのも楽しいものです。
ドリップする
ネルを持っている方の手を「の」の字を書くようにゆっくり動かし、ポットは定位置に固定してお湯を丁寧に落としてゆきます。
サーバーにネルをセットできるタイプの器具の場合は、ポットの方を動かします。
お湯が粉全体に行き渡ると、最初の濃いコーヒーがぽとりと落ちてきます。
数滴出たのを確認したら湯量を増やし、一気に抽出します。
このとき、お湯の太さを一定に保ちながら注いでいくのがコツです。
ちょうどよい量のコーヒーが抽出されたらお湯を注ぐのをやめ、温めておいたカップに注いで完成です。
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使用後のお手入れと保存方法
ネルドリップは道具のお手入れと保存方法が決め手になります。
ネルは乾燥させないことが最も重要なポイントです。
乾燥するとネルに残っているコーヒーの油分が空気中の酸素に触れて酸化してしまい、風味がはなはだしく損なわれますので、適切な方法でお手入れをして保管しなければなりません。
コーヒーの抽出後はまずコーヒーの粉を捨て、表裏をしっかりと水洗いします。
それから水を張った容器の中にネルを入れ、冷蔵庫で保管するようにします。
ネルが空気に触れないよう、完全に水に浸しておくようにしましょう。
水は毎日取り換える必要があります。
次に使用する際には、ネルに一度お湯を通してから、できるだけ固く絞って水気を切り、しわを伸ばしてセットします。
この絞りが不十分だと水っぽいコーヒーができてしまうので要注意です。
コーヒーマイスター玄豆屋ご主人の動画です。
まとめ
ネルドリップという抽出方法は、コーヒー本来の味を引き出すことができ、コーヒーの微妙な味の違いを楽しむのに最適です。
それに加えて淹れる人の個性が出やすいので、コーヒー通には人気の淹れ方です。
確かに手間や時間は少々必要とされますが、むしろそのことがゆったりとした雰囲気を生み出し、コーヒーの楽しさを増し加えてくれるに違いありません。