えもいわれぬ香りと芳醇なコク、そして苦味と上品な酸味。
コーヒーは、多くの人を魅了してやみません。
美味しいコーヒーを探し求め、それを飲むことに情熱を傾ける人も大勢います。
そこで、美味しいコーヒーをどうやって選んだらよいかを考えてみましょう。
全てのコーヒーは豆から
今回は、コーヒー豆の生産過程について取り上げたいと思います。
美味しいコーヒーも、元の姿はコーヒー豆、つまり農産物です。
品種もいろいろありますが、この豆の出来がコーヒーの味を左右しますし、栽培される土地によって味や風味が異なることも当然です。
それで、まずはコーヒー豆についての理解を深めてみましょう。
コーヒー豆ができるまで
・発芽から苗
苗床に蒔かれたコーヒーの種は、1~2か月程度で発芽し、まっすぐな茎が伸びてきます。
発芽からさらに2か月程度たってやっと双葉が現われます。
苗が30~40センチ程度に成長するのに半年ほどかかりますが、それまではポットなどに移して、直射日光を避けて大切に栽培されます。
・苗から木
30~50センチ程度に成長した苗は、1本ずつ丁寧に農園に植え替えられます。
それから3年ほどたつと、実ができるようになります。
コーヒー農園では2~3メートルの高さになるよう剪定して育てるのが一般的です。
4年目以降はなる実の量も増え、安定してきます。
この状態できちんと手入れをすれば20~30年は収穫が可能といわれています。
・開花
種を蒔いて3年目くらいから花が咲くようになります。
コーヒーの花は白くて小さく、ジャスミンに似た淡い香りがします。
この時期は、農園全体が白い花と甘い香りに包まれ、独特の雰囲気を醸し出しますが、数日で花は散ってしまいます。
・結実
花が散ったあと、緑色の小さな実が現れ、6~8か月の時間をかけて赤く熟していきます。
赤く熟した丸いコーヒーの実は、サクランボに似ていることからコーヒーチェリーと呼ばれています。
・収穫
ほとんどの地域で、収穫は手作業で行なわれます。
人の手で一粒ずつ収穫することもあれば、熟した果実を棒切れなどで叩き落として収穫することもあります。
大きな農園などでは機械が使われることもあります。
・精製と乾燥
コーヒーの実から生豆を取り出す作業が精製です。
大型の水槽に実を漬け外皮を洗い取る水洗式(ウォッシュド)と呼ばれる方法で行なう農園もあれば、非水洗式(ナチュラル)で行なう農園もあります。
乾燥は天日乾燥または乾燥機によって行ないます。
このあたりの工程は、コーヒー豆の品質と味の決め手となるため、非常に重要です。
・選別
乾燥した生豆は脱穀し、選別機で欠点豆を取り除いた後、大きさや形、比重などで等級に応じて分類されます。
その後さらに手作業で選別する、ハンドピックと呼ばれる作業が行なわれます。
・カップテスト
最後に味見、つまりカップテストが行なわれます。
各地の農協や工場などでカップテストが行われ、香りや味がチェックされます。
コンテストが開催されることもあります。
また、輸出規格に合致しているかも判別されます。
それから生豆はコーヒーの消費国へと輸出されてゆくことになります。
まとめ
このようにコーヒー豆ができるまでに、たくさんのことが行なわれています。
次にコーヒーを飲む時に思い出してみてください。
いつものコーヒーも、また違った味わいになるかもしれません。