コーヒーが体に良いということはだんだんと知られるようになってきたことですが、その主な要因としてコーヒーに含まれるカフェインとポリフェノールを挙げることができます。
ここでは特に、ポリフェノールに注目してみましょう。
コーヒーに含まれるポリフェノール
コーヒーに含まれているポリフェノールの量は、実はカフェインよりも多くてコーヒー1杯(140cc)あたり300mg以上もあります。
これはポリフェノールの数値としては赤ワイン(100mlあたり290mg)に匹敵し、どの飲料よりも多くなっています。
お茶(100mlあたり123mg)と比べると2倍ほどもあります。
ちなみに、果汁10%ジュースでは、100mlあたり42mgほどしか含まれていません。
コーヒーに含まれているポリフェノールの代表はクロロゲン酸ですが、これらのポリフェノールがコーヒーの色や香り、味に影響を及ぼしています。
抗酸化作用でガン予防に効果あり
ポリフェノールは植物が作り出す物質で、その効果として最もよく知られているのは、強力な抗酸化作用です。
体を老化させるといわれている活性酸素を抑制する効果があります。
様々な研究によると、他にも抗菌・抗ウイルス活性、抗ガン作用、抗肥満作用、脂肪代謝調節作用、口臭抑制作用、抗疲労作用、血圧降下作用などが報告されています。
コーヒーを飲むことがガンや2型糖尿病、動脈硬化、肝疾患(肝がん、肝硬変)といった病気の予防に有効であるという研究もたくさんありますが、これらはコーヒーに含まれているポリフェノールの作用によるものではないかとも言われています。
→コーヒーはあらゆる「がん」に予防効果があるのか!?~肝臓、大腸、肺、直腸、すい臓、子宮体がんの研究結果~
フレンチパラドックス
フレンチパラドックス(フランスの逆説)という言葉があります。
油の多いフランス料理を食べているフランス人の心疾患による死亡率が低いことからできた言葉ですが、これはフランス人がよく飲む赤ワインに豊富に含まれているポリフェノールによる抗酸化作用によるものではないかと言われています。
このことが知られるようになってから、赤ワインが世界的に流行しましたが、コーヒーにもこのような作用を持つポリフェノールが豊富に含まれています。
花粉症予防にも有効
最近では、花粉症にもポリフェノールが有効であると言われています。
花粉症が増加している要因はとても複雑です。
ある報告では、ディーゼルの排気ガスに含まれる微粒子をはじめとする大気汚染が、スギ花粉に対するヒトの抗体を増加させるということです。
これにより、アレルギー反応が誘発されます。
さらに、水質や土壌の環境汚染、食生活の欧米化、農薬や食品添加物などによる化学物質の過剰摂取、ストレスの増大などの要素が絡み合って、ヒトの免疫力が弱くなったことも花粉症の原因ではないかと考えられています。
つらい花粉症の症状を抑えるのにもポリフェノール豊富なコーヒーが役立つかもしれません。
新鮮な豆と焙煎が鍵
ちなみに、コーヒーポリフェノールの代表であるクロロゲン酸は、アラビカ種のコーヒーの生豆には10gあたりおよそ300mg含まれています。
ただし、焙煎の過程で失われてゆき、中煎りでは10分の1ほどに減少してしまいます。
深煎りではさらに少なくなります。
加えて、焙煎してから時間が経つにつれ、コーヒー豆は酸化してゆき、ポリフェノールはどんどん消えてゆきます。
これは、香りの減少で裏付けられます。
こうしたことから、ポリフェノールを重視してコーヒーを飲む場合は、焙煎はなるべく浅めで、そして新鮮なうちに抽出して飲むことが重要ということになります。
コーヒーポリフェノールの健康効果!~花粉症に効果あり!?抗酸化作用で2型糖尿病、動脈硬化、肝疾患予防に効く~まとめ
とは言っても、コーヒーは健康食品としての側面がありますが、本来は嗜好品です。
飲みたい時に、飲みたい味のものを飲むのが一番です。
おいしいコーヒーを楽しんだ上に健康にも良い効果がある、そういうことです。
赤ワインポリフェノールをたくさん摂りたいと思っても、お酒の飲みすぎは逆に良くありませんし、チョコレートに含まれるカカオポリフェノールをたくさん摂りたいと思っても、同時に砂糖を大量に摂取してしまいます。
こうしたことを考慮すると、良質のコーヒーをブラックで飲むほうが体への負担は少ないといえるかもしれません。
コーヒーポリフェノールの効果についてちょっと分かったところで、これからも安心してコーヒーを楽しんでゆきましょう。
また、コーヒーにはコーヒーポリフェノールだけではなく、健康の「希望の光」と呼ばれるアディポネクチンなるホルモンを増加させる効果があると証明され、世界中の研究者が注目しています。
→アディポネクチンの効能と増やす方法!検査でわかるメタボ予防と増やす食材!コーヒーが効果的?