コーヒーを作る時、コーヒーを「いれる」といいますが、どんな漢字を使ったらよいでしょう。
「煎れる」のか、「淹れる」のか、はたまた「入れる」でよいのか、そう聞かれると意外に悩みます。
使用する漢字が違うと、意味もいくらか異なってきます。
これは、日本がお茶の文化を有しているためで、お茶においては作り方によって使う漢字が違います。
コーヒーを煎れる
「煎れる」という場合、茶葉を火にかけて沸騰させたお湯の中に入れ、いわば煮出すことによってお茶を作ることを表わしています。
薬草茶などでは煎じる(せんじる)とも言われます。
この手法でコーヒーを作るのであれば、ターキッシュコーヒー(トルコ式コーヒー)やパーコレーターによる抽出ということになります。
ターキッシュコーヒーの煎れ方について詳しくは「ターキッシュコーヒー」の項を参照してください。
コーヒーを淹れる
「淹れる」という場合は、沸騰させた後でお湯を火から下ろしてそのお湯で、急須に入れた茶葉を浸してお茶を作ることを表わしています。
現在の普通の日本茶の作り方です。
ということはコーヒーに当てはめると、プレス式やドリップ式による抽出ということになるでしょうか。
プレス式での淹れ方について詳しくは「フレンチプレス」の項を参照してください。
ドリップ式の淹れ方について詳しくは「ペーパードリップ」、「ネルドリップ」の項をそれぞれ参照してください。
コーヒーを入れる
最後に「入れる」ですが、こちらは前述の2つの両方の意味を包含しています。
さらにはカップに注ぐことにも当てはめることができますので、最も無難な漢字の用い方であると言えそうです。
また、「入」は常用漢字(義務教育で学ぶ漢字)であるのに対して「淹」や「煎」は常用漢字ではありません。
それでもこれらの漢字にもそれぞれの趣がありますので、根強い人気があります。
お茶を点てる
ちなみに、お茶の場合は「点てる(たてる)」という表現も用いられます。
これは、お湯を加えた抹茶を茶筅(ちゃせん)で手早くかき回すことを表わしていて、なかなかに風情のある表現です。
コーヒーを点てるという表現はどうなのかと考えてみると、サイフォン式などでコーヒーをかき混ぜる場合に当てはめられるかもしれません。
アルコールランプが点灯することもあり、これはこれで趣があるといえそうです。
俳優の藤岡弘さんは、お茶を点てるようにコーヒーを入れる藤岡流珈琲道が有名です。
内容量で違うコーヒーカップの呼び名
さて、コーヒーにはコーヒーカップが欠かせません。
特に、お気に入りのコーヒーカップで飲むコーヒーは至福のひと時を与えてくれます。
コーヒーカップは17世紀ごろがその始まりと言われていて、ヨーロッパにおいて本格的にコーヒーが飲まれるようになるのと一致してコーヒーカップもどんどんと広まっていったとされています。
現在では、コーヒーカップにもいろいろな種類があり、大まかにはそのサイズで呼び方が異なっています。
内容量が45~65ccのものはデミタスカップ、75~100ccのものはセミデミタスカップと呼ばれます。
これらはエスプレッソなど濃いコーヒーにおいて主に用いられています。
また、内容量が100~150ccのものはレギュラーカップ、160~180ccのものはモーニングカップ、そして180~250ccのものはマグカップと呼ばれています。
一般的にはこれらのカップが用いられています。
コーヒーカップとティーカップの違い
紅茶用としてはティーカップがありますが、ずいぶんコーヒーカップとは形状が違います。
一般的に広口で浅いものが紅茶用、比較的狭口で深いものがコーヒー用になっています。
ティーカップが広口になっているのは、お茶の色合いやカップの模様を見て楽しめるようにするためであるとか、レモンなどを浮かべて飲むためであるとか、冷まして飲めるようにするためなどの理由があると考えられています。
一方でコーヒーは色が濃いのでカップの模様を楽しんだりはできませんし、冷めると味が落ちますので保温性も重視して狭口でやや縦長の形状になったようです。
もっとも、最近ではコーヒーと紅茶の両方いける、いくらか広口でいくらか深めのカップもあり、それなりに重宝されているようです。
コーヒーカップの特徴
なお、コーヒーカップは内側が白系統の色のものをおすすめします。
その理由はコーヒーの色でその状態を確認できることと、コーヒーの琥珀色が最も美しく見えることにあります。
一般的には、コーヒー豆の焙煎度が深くなるほどコーヒーの色は濃くなります。
それでも、煎ってから時間が経っていない鮮度の高い豆には独特の透明感があります。
コーヒーが酸化すると、この透明感は失われてしまいます。
保温しておいても同様です。
白系統の色のコーヒーカップでは、このあたりを目でも確認することができるので、おすすめというわけです。
お気に入りのコーヒーカップを何セットか持っていると、とても優雅な気分になります。
その日の気分や豆の種類・焙煎度などに合わせて、お好みのカップでコーヒーをお楽しみください。