昨今、ストレスの多い生活を多くの人が送っています。
そんな時、1杯のコーヒーがストレスを和らげてくれるとしたらどうでしょう。
そんなコーヒーとストレス軽減に関する研究がある教授によって実際に行なわれました。
コーヒーにはストレスを和らげる効果がある
この研究では被験体としてラットが用いられました。
まず、ラットを板に固定して動けない状態にし、100分間拘束します。
当然、ものすごいストレスをラットは感じるわけで、実際に高い数値のストレス反応が計測されました。
次に、ラットを4つのグループに分け、それぞれ異なる成分を投与した後で同じ実験を行ない、ストレス反応を計測して最初の値と比較しました。
その結果は興味深いものでした。
クロロゲン酸(いわゆるコーヒーポリフェノール)を投与したラットにはあまり変化は見られませんでした。
一方、生理食塩水を投与したラットはストレス反応の数値が15%減少しました。
しかし、コーヒーを投与したラットの場合は63%も、カフェインを投与したラットは66%もストレス反応の数値が減少したのです。
このことから、コーヒーには確かにストレスを和らげてくれる効果があること、そしてその効果は主としてカフェインから来ることが明らかとなりました。
ストレスの多い職場でよくコーヒーが飲まれるのは、実は理にかなった対処法だったということになります。
コーヒーの愛飲者には自殺が少ないという話もあります。
コーヒーポリフェノールの他の効果については「花粉症に効果あり」、「肝臓に効果あり」の項を参照してください。
体が温まると心も温まる
ホットコーヒーにはカフェインによる効果に加えて、その温度による効果もあるようです。
科学誌「サイエンス」には、アメリカのエール大学の心理学の教授がコロラド大ボールダー校の教授とともに行なった研究の結果が発表されました。
この研究は、物理的な温かさと心理的な温かさの関連について検証するというもので、この実験にはコーヒーが使用されました。
その内容は、被験者にホットコーヒーあるいはアイスコーヒーをある程度の時間手に持ってもらい、その後に別の人の性格を判断させるという方法によって行なわれました。
この実験の結果も興味深いものでした。
温かいコーヒーにより手が温まると、他の人をより心が温かい人だと判断する傾向が見られたのです。
また、手が温まるとなぜか、他の人に対して寛大になったり、人を信じやすくなったりするということです。
体が温まると心も温まるということのようです。
確かに、1杯のホットコーヒーはストレスを和らげる助けになっているようです。
コーヒーの香りにはリラックス効果がある
コーヒーにはもうひとつ、大きな要素が含まれています。
それは香りです。
アロマテラピーのような効果がコーヒーの香りにもあるようです。
この点に関連して、杏林大学の精神神経科の古賀教授は、ちょっとした実験を行なっています。
教授は20代の女性9名に対して、ブルーマウンテン、グアテマラ、ブラジルサントス、マンデリンなど6種類のコーヒーの香りをかいでもらい、その後に脳のα波を測定したということです。
その結果、すべてのコーヒー豆の香りにリラックス効果があることが分かりました。
この実験の際には、ブルーマウンテンとグアテマラの香りのリラックス効果が特に高かったということです。
新鮮な豆を選ぶ
香りについていえば、グレードの高い新鮮な豆ほどかぐわしい香りがします。
特に焙煎直後は素晴らしい香りが漂います。
しかしコーヒー豆が酸化したり古くなったりするほど、この香りがどんどん失われてゆきます。
そうなると、抽出したコーヒーからは、ほとんど香りが感じられなくなってしまいます。
当然、香りによるリラックス効果も期待できないということになります。
まとめ
このように、含まれているカフェインやその温度、良い香りなどの相乗効果によってコーヒーはストレスを和らげてくれるのです。
ちょっとイライラしているなと感じたら、一息ついて、ぜひおいしいコーヒーを1杯味わってください。