コーヒーに含まれるカフェインについての研究があちこちで行なわれています。
中でも興味深いものの一つがカフェインが記憶力に与える影響です。
北海道大学などのチームによると、カフェインの働きを研究することで認知症や記憶障害等の症状を改善する薬の開発につながる可能性があるということです。
カフェインが海馬の働きを助ける
脳内で記憶や学習のプロセスに重要な役割を果たしているのが海馬と呼ばれる部位で、この部分の神経細胞はちょうど心筋の細胞が収縮するのと同様のメカニズムで記憶を形成しているとされています。
この部分の働きが、コーヒーなどに含まれているカフェインによって増強されるということです。
コーヒーを飲んで勉強するというのは、こうしてみると理にかなっているのかもしれません。
アルツハイマー病に効果あり
アルツハイマー病を専門とするアメリカの研究センターでも、同様の研究と動物実験が行われています。
アルツハイマー病は、脳内にたんぱく質の一種であるアミロイドベータが異常に蓄積することによって神経細胞が死んでゆき、その結果として症状が出てくるとされています。
この研究チームは、生まれつきアミロイドベータが蓄積しやすい体質を持つマウスを選び、1日あたり1.5mg程度のカフェインを水に溶かして4~5週間投与しました。
その結果、カフェインを投与したほうのマウスは、そうしなかったマウスに比べて記憶力の低下の改善がみられました。
また、記憶に関係するとされる脳内の海馬や大脳皮質周辺では、アミロイドベータ蓄積してできる老人斑が4~5割も減少したということです。
さらに、カフェインがアミロイドベータを生成する酵素の働きを抑制することもわかりました。
必要量を簡単に摂取できる
この研究でマウスに投与されたのと同じ比率で人間がカフェインを摂取するには、コーヒーでは毎日5杯程度になります。
実際にはカフェインはいろいろな食品や飲料に含まれていますので、3~4杯で効果を期待できそうです。
この研究にかかわった教授も「カフェイン入り飲料は広く飲まれており、病気の予防や進行抑制の効果を注目していきたい」と述べています。
アメリカではアルツハイマー病の患者に対してカフェインを投与する臨床試験も行なわれるということで、今後の研究発表が待たれるところです。
まとめ
単純にコーヒーで記憶力アップということではないのかもしれませんが、こういう情報に接すると、コーヒー好きとしてはうれしくなりますね。