厚生労働省の発表によれば、20歳以上の日本人のうち6人に1人が糖尿病、または糖尿病予備軍だということです。
日本では、糖尿病のほとんどは2型糖尿病と言われるもので、普段の生活習慣に起因するものが多くなっているようです。
ちなみに1型糖尿病というものもあり、こちらはインスリンを分泌する膵臓のβ細胞が破壊されることにより発病するもので、こちらは生活習慣とはあまり関係がありません。
このタイプでは、インスリンを補わないと生命を維持できないことが多く、1日に1~数回は自分でインスリンの注射を打たなくてはなりません。
また、若いうちに発病することが多いようです。
2型糖尿病の予防効果
最近、糖尿病の予防効果があるとして注目されるようになったのがコーヒーです。
糖尿病といっても、生活習慣に起因する2型糖尿病のほうになりますが、世界各国で研究が行なわれ、その効果が報告されています。
いくつか代表的なものをご紹介しましょう。
糖尿病の発症率が1/2に
オランダで行なわれたある研究では、17,111人の男女を対象として約7年間の追跡調査が行われました。
その結果、1日に7杯以上コーヒーを飲む人は、2杯以下の人と比べて、2型糖尿病を発症する率が2分の1だったということです。
この結果はランセット誌に掲載されましたが、それによると、コーヒーに含まれるクロロゲン酸やマグネシウムなどの成分が、糖尿病の発病を防いでいると考えられています。
コーヒーの消費量が世界一 ~フィンランド~
フィンランドにおいても、国立公衆衛生研究所によって大規模な調査が行なわれています。
この調査では、35~64歳の14,600人を対象に調査が行なわれましたが、その結果が2004年にアメリカ医師会誌(JAMA)に発表されました。
それによると、1日3~4杯のコーヒーを飲んだ場合、飲まない人と比べて女性が29%、男性は27%糖尿病の発病率が低くなっていました。
1日10杯以上飲んだ場合では、女性でなんと79%、男性でも55%発病率が減少したということです。
かなりの量のコーヒーを飲んでいるようですが、実はフィンランドはコーヒー消費量が世界一で、1人当たり年間で11kgものコーヒー豆を消費しています。
平均で1日9杯だそうです。
フィンランドならではの調査ではありますが、有意義なデータが得られたのは興味深いことと言えます。
糖尿病になるリスクを4割軽減
日本における研究も進んでいます。
九州大学大学院の医学研究院の古野純典教授などによる研究では、4,736人の男性を対象に調査が実施されました。
その結果と、2型糖尿病が発症する相対危険度はコーヒーを飲まない人を1とすると、1日に1~2杯飲む人は0.72、3~4杯飲む人では0.67、5杯以上飲む人の場合は0.64と言う結果になりました。
つまり、1日に5杯のコーヒーを飲むことで、糖尿病になるリスクはおよそ4割も低下するということです。
紅茶や烏龍茶よりもコーヒーが効果大
虎の門病院の分泌代謝科で行なわれた調査では、糖尿病と診断されていない40歳と50歳の男女が対象となりました。
この調査では、コーヒーを飲む回数が週に5回以上の人は、週に1回未満であった人と比べて、2型糖尿病を発症するリスクがおよそ半分ほどに低下したという結果が出ています。
興味深いのは、このような結果が得られたのはコーヒーだけで、紅茶やウーロン茶にはこのような傾向はなかったと報告されていることです。
血糖値の制御に効果的
熊本県立大学の奥田拓道教授などによる研究では、ラットに麦芽糖とコーヒー豆の抽出物を同時に与えた時と、麦芽糖だけを与えた時の血糖値の変化の違いが調査されました。
その結果、コーヒーが血糖値の抑制に効果的に働いていることが明らかになりました。
またこの実験では、コーヒーの成分であるクロロゲン酸と血糖値の関係も調査され、血糖値の抑制にはクロロゲン酸がたいへん効果的であるということも分かっています。
生活習慣病に効果のあるクロロゲン酸
糖尿病というのは、糖分をエネルギーに変える役割を持つホルモンであるインスリンの分泌や働きが悪くなる病気です。
それで、コーヒーが糖尿病の予防に効果があるのは、コーヒーに含まれているクロロゲン酸が血糖値を効果的に抑制するからではないかと言われています。
血糖値が気になる方は、意識してコーヒーを飲むようにするのも一つの方法だということですね。
ちなみに、クロロゲン酸が糖尿病をはじめとする生活習慣病の予防に効果があるということで、最近ではコーヒー豆からクロロゲン酸を抽出するための技術が研究され次々と開発されているようです。
生豆を粉砕することなく抽出する技術もあるようですが、抽出後の生豆を焙煎してコーヒーを淹れたらどうなるのでしょうか。
クロロゲン酸をはじめとするポリフェノールがコーヒーのあの香りや味わいをもたらしていることを考えると、きっと相当物足りないと思われますが、そのうち安価なコーヒーの原料として流通するのでしょうか。
そうだとしても、コーヒーの効果がほぼ失われているわけですので、それを飲む価値はないかもしれません。
糖尿病を発症している方のコーヒーとのお付き合い
さて、糖尿病の予防としてコーヒーを飲むのが効果的だということでしたが、すでに糖尿病になってしまっている人についてはどうなのでしょうか。
コーヒーの別の有効成分としてカフェインがありますが、このカフェインは炭水化物の利用効率を下げ、血糖値を高くしてしまう恐れがあります。
糖尿病とうまく付き合うためには、血糖値のコントロールがとても重要になってきますので、食事中や食後のコーヒーは控えた方がよいでしょう。
コーヒーに限らず、紅茶や緑茶、他の清涼飲料や栄養ドリンクに含まれるカフェインにも注意が必要です。
アラビカ種を空腹時に飲む
それでもコーヒーが飲みたいという場合は、空腹時に飲むようにしましょう。
空腹時であれば、コーヒーを飲んでも血糖値の変動はほとんどないということです。
また、インスタントコーヒーや缶コーヒーによく使われるロブスタ種のコーヒー豆は、アラビカ種のコーヒー豆に比べてカフェインの量がおよそ2倍です。
なるべくインスタントコーヒーや缶コーヒーを避け、新鮮でグレードの高いアラビカ種の豆を使用した淹れたてのコーヒーを飲むようにしましょう。
やや薄めに(アメリカン)抽出するようにすれば、より安心です。
ただし、お医者さんからコーヒーを控えるようにと指示されている場合は、お医者さんの指示に従うようにしてください。
飲んでいる薬との相性などもありますのでぜひご留意いただきたいと思います。
コーヒーが糖尿病に効果あり!?~すでに糖尿病を発症している方の上手なコーヒーとのお付き合い~まとめ
コーヒーは2型糖尿病の予防に効果があるということが、さまざまな研究により明らかになっています。
しかしながら、砂糖やクリームをたっぷり入れてしまうと逆効果になり、むしろ悪影響が及びます。
加えて、コーヒーだけでは予防には不十分です。
普段の食生活や適度な運動が重要な要素であることを忘れないようにしたいものです。
また、人の健康に最も重要なホルモン「アディポネクチン」の優れた成人病予防の効果に世界中の研究科が注目しています。
→アディポネクチンの効能と増やす方法!検査でわかるメタボ予防と増やす食材!コーヒーが効果的?